ウクライナ穀物輸出、トルコが協力意向 ロシアとも協議

ウクライナ穀物輸出、トルコが協力意向 ロシアとも協議
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR30CNM0Q2A530C2000000/

『【イスタンブール=木寺もも子】トルコのエルドアン大統領は30日、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話協議し、ロシアが封鎖する黒海からウクライナの穀物を輸出するのに協力する意欲を伝えた。同日、エルドアン氏と電話協議したロシアのプーチン大統領も海上輸送でトルコと協力する用意があると表明した。

世界5位の小麦輸出国であるウクライナ産の穀物は、ロシアによる黒海、アゾフ海の封鎖で外国船籍の船も足止めされるなどして輸出に困難が生じている。価格上昇が起き、アフリカなど購買力の低い国が食糧危機に陥る可能性が指摘されている。

トルコの声明によると、エルドアン氏はゼレンスキー氏に対し、黒海で安全な航行ルートを確保して食糧を輸出することが重要だとの考えを伝えた。輸送のため、ウクライナとロシアに加えトルコと国連が参加する「センター」を黒海から地中海へのルート上にあるイスタンブールに設ける案が議論された。

ロシア側の発表によると、同日のプーチン氏とエルドアン氏の電話協議でも穀物輸出の問題が話し合われ、プーチン氏はトルコと協調することで海上輸送を妨げずに行う用意があると述べた。

トルコはロシア、ウクライナ両国と友好関係を維持しており、英国のウォレス国防相もトルコなど第三国が輸送船を先導する案に期待を示していた。ただ、ロシアはウクライナ産を含む黒海からの穀物輸出再開にあたり、米欧による制裁の解除を求めてきた。実現するかは不透明な面もある。

【関連記事】プーチン氏「制裁解除で穀物輸出も」 独仏首脳に

多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

竹内薫のアバター
竹内薫
サイエンスライター
コメントメニュー

別の視点

「世界5位の小麦輸出国であるウクライナ産の穀物は、ロシアによる黒海、アゾフ海の封鎖で外国船籍の船も足止めされるなどして輸出に困難が生じている」。

戦争は決して対岸の火事ではなく、食糧価格の高騰、地域によっては飢餓に至る恐れもあります。

トルコはいわゆる「欧米」ではないため、今回は仲介役になることができており、その立ち位置は貴重だと思います。

2022年5月31日 9:32

伊藤さゆりのアバター
伊藤さゆり
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事
コメントメニュー

別の視点

ロシアの黒海封鎖で輸出できなくなっているウクライナ産農産物の輸出ルートの確立は開催中のEU首脳会議の議題の1つでもある。

プーチン大統領が、独仏首脳に突きつけた黒海を通じた「穀物輸送回廊」確保の条件は「制裁解除」だが、EUから見れば食料供給を武器とし、西側の結束を乱そうとするロシアが合意を確実に履行する保証もなく、受け入れられない。

EUの輸出ルート確立のための「連帯レーン」戦略は、鉄道や道路を通じたウクライナからEU圏内への輸送能力拡充、国境検問手続き円滑化など。黒海封鎖による迂回で生じた渋滞緩和は期待できるが、ウクライナの農産物の9割を占める黒海ルートを代替できるものではない。

2022年5月31日 8:21

渡部恒雄のアバター
渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
コメントメニュー

ひとこと解説

ウクライナとロシアからの穀物の輸出停滞は、穀物価格の上昇と購買力の低い国での食糧危機を引き起こす可能性が懸念されており、深刻なリスクです。

そもそもアフリカ、中東、中南米では、ロシアへの制裁に参加しない国家がほとんどですが、欧米の制裁が自国に苦境をもたらすという認識が広がれば、ますます欧米の制裁への賛同は弱くなるという悪循環を引き起こすと思われますので、穀物の輸出停滞の解決は人道上も国際政治上も重要な課題だと思います。

2022年5月31日 8:17 』