[FT]スリランカ首相「中国から数億ドルの融資提案」

[FT]スリランカ首相「中国から数億ドルの融資提案」
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『スリランカのウィクラマシンハ首相は、中国から同国に「数億ドル(数百億円)」の融資を提供するとの提案があったことを明らかにした。生活必需品が不足するスリランカの窮状を解消するためだ。

ロイター通信のインタビューに応じるスリランカのウィクラマシンハ首相(24日、同国最大都市コロンボ)=ロイター

スリランカ政府は経済破綻を回避するために緊急支援を求め、国際通貨基金(IMF)との交渉を続けている。ウィクラマシンハ氏は5月、同国の首相に任命されたばかりだが、中国の提案について最終合意を目指していると語った。だが、中国側との協議はなお初期の段階だという。

「財務省が中国側と細部を協議」

ウィクラマシンハ氏はインタビューで、中国からの融資提案について「かなりの額になるだろう。数億ドルを見込んでいる」と説明した。「生活必需品や肥料の輸入に役立つはずで、財務省が中国側との協議で細部を詰めている」

スリランカは最近、アジアでは20年ぶりに、外貨準備の枯渇を理由に外貨建て債券がデフォルト(債務不履行)に陥った。外貨不足で輸入が滞り、燃料、医薬品、食料を含む幅広い必需品の国内での供給が不足している。

スリランカの対外債務残高は2021年末時点で500億ドルを超えた。債権者の内訳をみると、民間の投資家が最も多く、多国籍金融機関が次ぐ。その次に日本、中国、インドなどの主権国家が連なる。

スリランカは、中国主導の広域経済圏構想「一帯一路」を軸に同国との関係が強い。これが隣国インドとの摩擦につながっていた。インドは中国と緊張関係にあり、同国のスリランカにおける活動を、インドの安全保障を巡る脅威だとみなしている。

スリランカのラジャパクサ大統領は市民らの激しい抗議を受けている。ウィクラマシンハ氏は首相就任後、資金調達のため、友好国との関係の円滑化に努めてきた。スリランカはIMFに40億ドルの支援を求めている。ウィクラマシンハ氏は、早ければ6月にもIMFと合意できるよう期待していると話した。

中国から追加融資を受け入れれば、インドとの関係が一段と複雑になる可能性もあるが、ウィクラマシンハ氏はこれを否定した。インドは22年分として、スリランカに総額30億ドル超の融資枠、スワップなどの支援を提供している。

ウィクラマシンハ氏はインドのスリランカ支援が「一定の水準を超える」ことはないだろうとも指摘し、日本や中国にも追加の資金援助を求める必要があるとの見通しを示した。

ウィクラマシンハ氏は「スリランカとインドの関係は特別で、インドの安保を侵害しない限り、両国はうまくやっていける」という考えを示した。
日本、インドを含めた債務再編を模索

スリランカは22年、中国に対し、残高が計約35億ドルにのぼる債務再編を求めた。だが、中国側は拒み、代わりに新たな支援と追加融資を提案した。

スリランカの対中債務の状況に注視している関係国の政治家やアナリストらは、中国政府が対ザンビア融資と同様、一帯一路参加国への融資を巡る損失の計上に消極的だと指摘する。

スリランカで2週間以上、空席だった財務相を25日付で兼任したウィクラマシンハ氏は、中国政府や民間投資家を含む債権者にスリランカが負う債務の再編を打診するのはIMFとの交渉で合意した後になると主張した。

ウィクラマシンハ氏は、再編協議のなかで中国がほかの債権者と同等の扱いを受け入れることに同意するどうかはわからないと付け加えた。同氏は「それを交渉で中国に納得させることはできないかもしれない」と認めた。そのうえで「(中国を含めた)債権国は同じ条件で扱わなければならない」と強調した。

IMFから援助を引き出す場合、財政支出の削減、国営企業の民営化など政治的に難しい改革の実行を迫られる可能性が高い。ウィクラマシンハ氏は党首を務める統一国民党に所属する唯一の国会議員で、同氏が国会で十分な支援を得られないのではないかとの見方もあるが、同氏はこれを一蹴した。

ウィクラマシンハ氏は「私は足元の危機を解決するため、請われて首相に就いた」と言い切った。スリランカの国会議員は「この危機がどれだけ深刻なのかをまず理解したうえで、それをどうやって切り抜けるのか理解しなければならない」と語った。

「危機下で選ばれた首相と、選挙を経て選出された首相は、まったく違う」

By Benjamin Parkin & Mahendra Ratnaweera

(2022年5月27日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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