タイ南部、独立派と和平協議近く始動 自治権軸に調整

タイ南部、独立派と和平協議近く始動 自治権軸に調整
イスラム武装勢力「現実的な選択肢」、陸軍大将「年内にも望ましい結果期待」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGS192S80Z10C22A5000000/

※ なるほど…

※ 地図見ると、南部はマレーシアと陸続きだもんな…。

『【バンコク=井上航介】イスラム武装勢力によるテロが続いてきたタイ南部で、政府と主要勢力の和平協議が6月にも本格化する。イスラム教の断食月(ラマダン)中の暴力停止が履行され、信頼醸成が進んだためだ。武装勢力側は分離独立の要求を自治権獲得に切り替えて交渉する方針。政府側がどこまで譲歩するかが焦点となる。

「年内にも望ましい結果が期待できる」。政府側の交渉責任者ワンロップ陸軍大将は取材に対し、主要武装勢力パタニー・マレー民族革命戦線(BRN)との和平協議が進むとの見方を示した。6月にも隣国マレーシアでBRN側と会い停戦条件を詰める。
4月下旬、バンコクで取材に応じるワンロップ陸軍大将

BRN幹部のハールーン師も取材に応じ「自治権獲得が現実的な選択肢だ」と述べた。分離独立を求め、タイ当局や仏教徒への銃撃やテロを繰り返してきたが、方針転換したもよう。イスラム法(シャリーア)に従った統治を念頭に「住民との対話で決める」という。

南部のヤラー、パタニー、ナラティワートの3県と、ソンクラー県の一部で、BRNを含む複数の武装勢力が分離独立を求めてきた。タイは仏教徒が人口の9割を占めるが、この地域に限ればイスラム教徒が9割。もともと交易で栄えたイスラム王国だったが、18世紀にシャム(タイの古称)が征服し、1963年の旧英領マレーシアの独立を機に分離独立機運が高まった。
5月、タイ・マレーシア国境付近で取材に応じる主要武装勢力パタニー・マレー民族革命戦線(BRN)のハールーン師

2004年にタクシン政権が強引な制圧に乗り出すとテロが先鋭化した。民間団体ディープ・サウス・ウオッチによると、04年以来の独立運動に絡む死者は7000人を超え、犠牲者数ではアジアの継続中の紛争地で最多との分析もある。和平を探る動きはこれまでもあったが、テロ攻撃などが起き失敗に終わった。

今回は、ラマダンを含む4月3日~5月14日の間に約束した暴力削減を政府、BRNともに初めて履行し、和平進展に期待が膨らむ。プリンス・オブ・ソンクラー大のシーソムポップ助教授は「双方が実質的な交渉の前提となる信頼関係を構築できた」とみる。

和平協議に乗り出す背景には、双方に漂う膠着感がある。BRNは長引く紛争で戦闘員や支持基盤となる住民が疲弊。政府側も武力では独立機運を抑えきれないとの認識が広がる。独立は領土の不可分性を定めた憲法に反するが、ワンロップ大将は自治権付与は「住民の意思に基づくもの」と述べ、受け入れる余地があるとの考えを示した。
5月、タイ・マレーシア国境付近で取材に応じる武装勢力パタニー統一解放機構(PULO)幹部のアリフ氏

ただ、政府とBRNの交渉が進展しても治安が改善するかは不透明だ。BRN以外にも現時点で3つの武装勢力があり互いに主導権を争うためだ。

「あらゆる当事者が参加しなければ和平交渉は不可能だ」。武装勢力の一つ、パタニー統一解放機構(PULO)幹部のアリフ氏は取材に対しこう語り、政府がBRNを唯一の交渉相手とみなす協議に反発する。PULOは4月、パタニー県で爆弾テロを実行し民間人1人が死亡し、警官3人が負傷している。

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Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Politics/Thailand-and-militants-in-south-poised-to-advance-peace-talks 』