中国・ロシア、軍事面で相互運用拡大 爆撃機共同飛行

中国・ロシア、軍事面で相互運用拡大 爆撃機共同飛行
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『中国とロシアが日本周辺の軍事協力を拡大してきた。爆撃機の共同飛行や海上演習を通じて既成事実を積み上げ、相互運用力を高めようとする狙いがある。中国はウクライナ侵攻を巡りロシア支持を控えるものの、軍事面の結びつきは強める構図が浮かぶ。東アジアの安全保障の脅威となる。

日米豪印の「Quad(クアッド)」開催中の24日、中国軍のH6爆撃機とロシア軍のTU95爆撃機が2機ずつ、日本海と東シナ海の上空を飛んだ。その後に中国機2機がH6爆撃機と推定される別の2機と入れ替わり、沖縄本島と宮古島の間を通過して東シナ海と太平洋を往復した。

防衛省は27日、自民党の国防部会で中ロ両軍の爆撃機の飛行状況を説明した。これまでのうちもっとも南方まで飛行した。飛行時間もロシア国防省は13時間と発表した。前回は「10時間超」だった。

防衛省は「爆撃機に護衛の戦闘機がついてきておらず、実戦的な意味合いは少ない示威行為だ」と指摘した。「中ロの協力の進化を示す意義があったのではないか」との分析を示した。

防衛省が日本周辺で中ロ両軍の長距離共同飛行を公表したのは2019年以降、4年連続4回目となる。これまでは1年ほどだった飛行の間隔は今回、前回から半年後と短くなった。機数は21年が4機だったのに対し、今回は計6機に増えた。

自衛隊の杉山良行元航空幕僚長は「軍事演習は繰り返すことに意味がある。日本海に入って政治的なメッセージを強めている」と語る。

「爆撃目標など高いレベルの戦術は確認していないと推定するが、恒常的に示威行動を続けて作戦の相互運用性を高めているとも言える」と話す。

中ロ両軍が合同演習「平和の使命」を開始したのは05年だ。12年以降、定期的な海軍合同演習「海上連合」を展開する。18年からはロシアが毎年実施する最大規模の軍事演習に中国軍が参加するようになった。

21年10月には「合同海上パトロール」と称して津軽海峡や大隅海峡を初めて一緒に通過し、日本列島をほぼ1周した。

中ロ両政府は表向きには正式な軍事同盟ではないと主張する。それでも中国は1990年以降、戦闘機や駆逐艦、潜水艦などの武器をロシアから購入し始めた。最大の武器供給国はロシアとなり、軍事面でのつながりの深さは明らかだ。

弾道ミサイルや宇宙ロケットの発射計画を相互に通告する政府間協定も結ぶ。これらの動きを中ロは「新時代の包括的・戦略的協力パートナーシップ」と呼ぶ。ロシアのプーチン大統領はかつて中国と軍事同盟を形成する可能性を「理論的には十分想像できる」と述べた。

中ロの接近は東アジアの最大のリスクとされる台湾有事とも密接だ。党安保調査会の小野寺五典会長は27日の党部会で「中国、ロシアにあわせたかたちで北朝鮮が弾道ミサイルを実験する。まさしく3正面が現実に起きている」と強調した。

台湾有事になるとロシアが権威主義国の枠組みで中国に加勢し、北朝鮮も足並みをそろえるといったシナリオだ。

岸田文雄首相とバイデン米大統領はこうした動きを踏まえ、23日の首脳会談で抑止力と対処力を強化することで一致した。共同声明で「軍事面における中ロ間の協力に引き続き注意を払っていくことに関与する」とうたった。

笹川平和財団の小原凡司上席研究員は中ロの軍事関係を「戦術レベルで共同作戦をできる段階には達していないが、ロシア由来の兵器が多い中国は相互運用性を高める素地がある」と問題提起した。「ロシアがウクライナ侵攻を通じて弱体化した場合にその可能性が出てくる」と警鐘を鳴らした。

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Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Politics/International-relations/China-Russia-strengthen-ties-over-Far-East-seas-with-bomber-patrol?n_cid=DSBNNAR 』