スウェーデン財務相「NATO軍の恒久基地と核兵器不要」

スウェーデン財務相「NATO軍の恒久基地と核兵器不要」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR25EP60V20C22A5000000/

『【ダボス(スイス東部)=中島裕介】スウェーデンのダンベリ財務相は日本経済新聞のインタビューに応じ、北大西洋条約機構(NATO)への加盟が実現した場合でも、NATO軍の恒久的な基地は置かない方針を示した。NATOの拡大に反発するロシアの刺激を避けたい考えがあるとみられる。

26日に閉幕した世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)の会場で取材に応じた。

スウェーデンはロシアのウクライナ侵攻を受けて、18日にNATO加盟を申請した。NATOの集団的自衛権の傘下に入るため、約200年守ってきた安全保障上の中立政策を転換した。

NATO加盟国はウクライナ危機をきっかけに、ロシアと近い東欧への兵力の増員を進めている。ダンベリ氏はNATO加盟後の防衛体制について「恒久的な(NATOの)基地を置く必要はないし、核兵器の配備も必要ない」と強調した。

NATOに入れば、同時に加盟申請したフィンランドを含めた「北欧諸国での非常に緊密な軍事協力ができる」と指摘。平時でのNATO軍や加盟国による大幅な常駐兵力の増強は、必要ないとの考えを示した。

ロシア政府はスウェーデンのNATO加盟に軍事的に対抗するかどうかは、「外国軍の基地を受け入れ、攻撃システムを配備するか次第だ」としている。スウェーデンの方針はロシアへの刺激を避ける戦略とみられる。

2028年までに国防費を国内総生産(GDP)比2%以上に引き上げる方針も表明した。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると21年のスウェーデンの防衛費は79億ドル(約1兆円)で、GDP比はこの10年間1%強の水準が続いていた。

ダンベリ氏は「実行可能なスピードで防衛費を増額すべきであり、軍も28年までに(2%への増額は)可能とみている」と語った。2%に到達するにはGDPの規模が変わらない場合でも、40億ドル強の上積みが必要になる。財源捻出について他の政策経費は極力、削らない方針を示した。国債の増発が議論される可能性もある。

スウェーデンとフィンランドのNATO加盟にはトルコが反発している。トルコ政府が敵視する非合法武装組織クルド労働者党(PKK)やクルド系勢力と、両国が近い関係にあるというのが、トルコ側の言い分だ。

ダンベリ氏は「PKKは長い間、テロ組織と見なされてきた。私たちはテロと戦うことに疑問符をつけることはない」と述べた。そのうえで「トルコとの緊密な対話を続け、問題が解決されることを願う」と語った。既存のNATO加盟国によるトルコへの働きかけにも期待を示した。

スウェーデンが加盟する欧州連合(EU)はロシア産エネルギーへの依存軽減を目指している。ダンベリ氏は「スウェーデンはロシアの石油やガスへの依存は少なく、EUの政策の影響はほぼない」と説明した。

ただエネルギー価格の高騰は「経済に悪影響を及ぼしている」と分析し、洋上風力発電を軸にした脱炭素エネルギーへの転換を急ぐと語った。

Mikael Damberg 与党・社会民主労働党に所属。産業政策の閣僚や内相を経て、21年11月発足のアンデション政権で現職就任

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Editor-s-Picks/Interview/Sweden-to-spend-2-of-GDP-on-defense-by-2028-finance-minister?n_cid=DSBNNAR 』