安保理、拒否権抑制に限界 対北朝鮮制裁案が初の否決

安保理、拒否権抑制に限界 対北朝鮮制裁案が初の否決
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN270JM0X20C22A5000000/

 ※ 「国連とは、そういうもの…。」という前提で、生き残り戦略を考えていく他はない…。

『【ニューヨーク=白岩ひおな】国連安全保障理事会は26日、対北朝鮮制裁の決議案を初めて否決した。4月上旬には拒否権を使った常任理事国に国連総会での説明を求める決議が総会で採択されたばかりだが、中国とロシアが早くも拒否権発動に踏み切ったことは抑制の困難さを示している。

安保理は北朝鮮が1回目の核実験を実施した2006年以降、10回の制裁決議をいずれも全会一致で採択した。今回廃案となった決議案は25日の北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けたもので、17年12月の制裁決議で定めた原油や石油精製品の供給上限をさらに25%削減する内容だった。相次ぐサイバー攻撃を踏まえ、北朝鮮系のハッカー集団、ラザルスグループの資産凍結も盛り込んでいた。

「17年から脅威の深刻度や安保理の任務が変わったわけではない。変わったのは常任理事国(の中国とロシア)が仕事を放棄したことだ」。決議案を主導した米国のトーマスグリーンフィールド大使は拒否権を行使した両国を強く非難した。

17年の決議は、さらなる大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射や核実験があれば、安保理が「石油輸出の追加制限へ行動する」と明記していた。

ロシアのネベンジャ大使は「制裁はいまだに地域の安全保障も、ミサイルや核不拡散の問題を解決することもできていない」と反論した。中国の張軍大使も「負の影響と対立を激化させ、人々の生命線を断ち切り、窮状を悪化させる」として制裁に反対した。

中ロによる今回の拒否権発動は、安保理での拒否権行使に総会での説明責任を課す制度の初の適用事例となる。4月上旬の国連総会決議に基づき、10日以内に国連総会が招集される見通しだ。だが、実際に出席・説明するかは行使国の判断となり、義務ではない。

安保理では1945年の国連創設当初から、戦勝国である米英仏中ロの常任理事国5カ国が拒否権を持つ。国連総会が導入した新たなルールは、ロシアが拒否権を盾にウクライナ侵攻を巡る決議採択を妨げたことなどを受けて導入された。

総会の決定を意に介さぬような今回の拒否権行使はウクライナ侵攻を巡る米欧と中ロの亀裂の深さを浮き彫りにした。

追加制裁を回避した北朝鮮の増長も懸念される。米韓当局は北朝鮮が近く核実験をするとの見方を強めている。トーマスグリーンフィールド氏は中ロが「今後数週間内で起きうる北朝鮮による挑発行為がなぜ可能となったのか、説明しなければならなくなるだろう」と述べた。

今後、安保理改革の機運が高まるかどうかも焦点だ。ブラジル、ドイツ、インド、日本の4カ国(G4)は常任・非常任理事国の拡大を求めてきた。石兼公博大使は26日、記者団に「安保理改革を粘り強くやっていく」と語った。

日本は6月上旬の次期非常任理事国の改選で、12回目の非常任理事国入りを目指している。23日の日米首脳会談後の記者会見では、岸田文雄首相がバイデン大統領から国連改革への賛意と改革後の安保理での日本の常任理事国入りへの支持を得たと語った。

ウクライナは紛争関与国の拒否権行使を制限するよう求めているが、実現には加盟国の3分の2と常任理事国全ての賛成による国連憲章の改正が必要で、ハードルは高い。』