中国の複数の小規模地銀、預金引き出せず 抗議活動も

中国の複数の小規模地銀、預金引き出せず 抗議活動も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM271DQ0X20C22A5000000/

『【上海=土居倫之】中国の複数の地方銀行で4月下旬から一部顧客が預金を引き出せなくなっている。システムの更新を理由としているが、不安を強める顧客が抗議活動を展開する事態に発展した。中国メディアは対象者が100万人、引き出せなくなった金額が100億元(約1900億円)にのぼると報じている。監督当局が対処を誤れば、他行に信用不安が波及しかねない。

引き出せないのは河南省に本店を置く禹州新民生村鎮銀行、上蔡恵民村鎮銀行、柘城黄淮村鎮銀行など。いずれも「村鎮銀行」と呼ばれる小規模な地域金融機関で、農村部の金融ニーズに応えるために設立された。中国人民銀行(中央銀行)は2021年1~3月から銀行の営業拠点外の顧客からの預金受け入れを禁止していたが、各行はネットバンキングを通じて全国から資金を集めていた。

禹州新民生村鎮銀行に200万元を預けた上海市在住の男性は「友人から『金利が高い』と勧められ、銀行のアプリを通じて入金した。現在はアプリにアクセスできない」と話す。同行は4月18日に「システム更新のためネットバンキング、スマホアプリを停止する」と顧客に通知した。

この男性は「4月19日に引き出しのため銀行に電話したところ、『(同氏名義の)預金は存在しない』と言われた。問題を訴えた人民銀からは『すでに調査を展開している』との回答があった」という。

中国は15年に銀行の預金保険制度を導入した。預金者1人当たり50万元まで預金保険が保護する。ただ各行が預かったお金を銀行勘定で適切に入金処理していない可能性があり、広東省の男性は「正規の預金と認められず、預金保険の対象にならないのではないか」と心配する。

登記情報によると、禹州新民生村鎮銀行、上蔡恵民村鎮銀行、柘城黄淮村鎮銀行の3行は株主が共通しており、預けたお金を引き出せない顧客からは関与を指摘する声が出ている。

中国銀行業協会によると、村鎮銀行は19年末時点で全国に1630行あり、資産総額は1兆6900億元にのぼる。いずれも小規模で情報開示が限られ、今回問題となった各行はいずれもホームページなどで財務情報を公開していない。

中国政府は金融システムの安定を重視している。銀行の経営難は預金者の動揺を招き、社会の不安定化を引き起こしかねないためだ。中国政府は20年に内モンゴル自治区の地方銀行、包商銀行を破綻処理し、21年には遼寧省の地方銀行、盛京銀行の経営権を、資金繰り難に陥った中国恒大集団から切り離している。』