キッシンジャー氏「ウクライナ分割も」 大統領は猛反発
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR26ECA0W2A520C2000000/
※ 今だに、このじいさんが引っ張り出されていることが、驚きだよ…。
※ いろんな勢力の力が、働いているんだろうな…。
※ 世界経済フォーラム(WEF)(いわゆる、ダボス会議)の場ではあるが…。
※ もはや、そういう「場」にしか(しかも、オンラインで)、登場できなくなったんだろうな…。
※ それでも、まだ、意見具申する「戦略決定チーム」みたいなものが、機能したりしているんだろうか…。

『【ダボス(スイス東部)=中島裕介】26日に閉幕した世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)では、ロシアと戦うウクライナの停戦後の姿についても議論が交わされた。一部の識者が領土の事実上の分割が避けられないとの見方を示す一方で、ウクライナ首脳がこれに強く反論した。
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キッシンジャー元米国務長官は23日、ダボス会議にオンラインで登壇し、「(2月の)ロシアの侵攻前の状況」をロシアとウクライナの国境とすることが望ましいと指摘した。2014年にロシアが併合したクリミア半島の奪還を断念する提言といえる。
西側諸国にも戦争が長期化すれば「ウクライナの自由を求める戦いではなく、ロシアに対する新たな戦争になる」とロシアへの配慮を呼びかけた。
これに対してウクライナのゼレンスキー大統領は25日の声明で強く反論。
「領土分割論を唱える者は、その地域に住んでいるウクライナ人を考えていない人だ」と訴えた。「キッシンジャー氏のカレンダーは2022年でなく1938年になっている」とも指摘した。英仏が台頭するナチス・ドイツに融和姿勢を示し、第2次世界大戦の惨禍を招いたとされる歴史の経緯を引き合いにした非難だ。
クレバ外相も25日のセッションで「譲歩しても、うまくいかない」と強調した。ウクライナの政府関係者の間では、ロシアが停戦後に再び侵攻するリスクが拭えないとの声が強い。領土割譲は主権国家として許せないだけではなく、停戦につなげる戦略としても悪手だという見立てだ。
ロシアが停戦協議で暫定的にでもクリミア半島やウクライナ東部のドンバス地方の一部を正式に手に入れれば、ロシアは国内外に戦果をアピールできることになる。
ダボス会議に参加したウクライナ財務省関係者は日本経済新聞の取材に「我々の完全な勝利はクリミア半島も含めたウクライナ領から、ロシア軍を完全に追い出すことだ。それまで戦争は終わらない」と説明した。一方で「それには時間がかかるので、『停戦』という考え方が出てくる。だが、いかなる選択肢も難しい決断になる」と語った。
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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
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ひとこと解説
キッシンジャー氏は国家のパワーが現状を規定すると考えるリアリストの泰斗であり、彼の理論からすれば整合性のある解決法なのでしょう。
彼は、日本での最近のバイデン大統領の発言が論議を呼んでいる米国の中台への「戦略的曖昧さ」を作り出した人です。
1972年、ニクソン大統領の国家安全保障担当補佐官として、主権の解決を曖昧にして米中間で「一つの中国」原則で合意をして米中接近を進めました。そのときの米国の再優先事項はベトナム戦争の終結でした。
今回の提言もおそらく停戦を優先した発言なのでしょう。ゼレンスキ―大統領も停戦の条件としては、ロシアの全面侵攻が始まった2月24日以前と発言しております。
2022年5月27日 9:23
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今村卓
丸紅 執行役員 経済研究所長
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別の視点
キッシンジャー氏の発言を聞いて残念に思いました。同氏の提言は1938年の英仏の宥和主義とは違う、ウクライナがクリミア半島を断念すれば同国とロシアの膠着した戦いが終わり世界が安定に向かう道が開ける、などと思わせる説得力を同氏の発言に感じられなかったためです。
ダボス会議はキッシンジャー氏を招くのなら、議題はウクライナではなく米中関係を選ぶべきだったのでは。
同氏が主導した米国の対中関与政策の歴史的な評価、同政策を転換した現在の米国の対中政策や台湾問題をどう考えるかを話してもらう方がはるかに面白く、世界にも有益だったと思います。
2022年5月27日 9:31 (2022年5月27日 9:33更新)
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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説
これは無責任な口出しだ。
国境は当事国同士の話し合いによってのみ決まるものである。他の国の人はお前らの国境はこうすべきという資格はない。
外交という大著を書かれたこの人はどうしてこの基本の基本を守らないのか。否、計算に長けるこの人だからの発言であるかもしれない
2022年5月27日 7:28 (2022年5月27日 7:38更新)
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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分析・考察
ゼレンスキー大統領は5月21日の地元テレビのインタビューで、戦闘によってロシア軍を2月24日侵攻開始より前の位置まで押し戻せばウクライナの「勝利」だとの認識を示した。
さらに、クリミア半島や東部2州を武力で取り戻すのは簡単ではなく、多くの兵士の命など代償も考慮しなければならないとした上で、領土回復は「交渉のテーブルで行われることを願う。対話が最終的な正義をもたらす」と述べた。
停戦協定ないし和平合意を締結する際のハードルを引き下げた発言である。
だが、事実上の領土割譲にあたる、クリミア半島に関するロシアの主権の承認は論外。クリミアや東部2州の地位はあいまいにした上で交渉を行うテクニックが求められる。
2022年5月27日 7:30 』