世界の自動車1~3月、値上げで明暗 テスラ単価12%上昇

世界の自動車1~3月、値上げで明暗 テスラ単価12%上昇
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC12F3N0S2A510C2000000/

『世界の自動車大手の2022年1~3月期業績で明暗が分かれている。日米独13社のうち、米テスラ、独BMW、独メルセデス・ベンツの高級車を主力とする3社の純利益合計が前年同期比2倍となった一方、大衆車が主力の他の10社は3割減益となった。原材料高が強まるなか、テスラなどは積極値上げで吸収しており、苦戦する大衆車系メーカーと対照的だ。

テスラ、米フォード・モーター、米ゼネラル・モーターズ(GM)、独フォルクスワーゲン、メルセデス、BMW、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、スズキ、SUBARU、マツダ、三菱自動車の13社の決算をQUICK・ファクトセットをもとに集計した。

13社の22年1~3月期の純利益合計は前年同期比13%増の315億ドル(約4兆円)だった。09年以降では同期間として2年連続で過去最高になった。回復傾向が続くものの足元では原材料高を受けて伸び悩んでいる。

復調が鮮明なのは高級車系メーカーだ。3社の純利益合計は13社全体の59%を占める。「当社の歴史の中でこれほど受注が高まったことはない。強い需要は今後も続く」。BMWのオリバー・ツィプセ社長は5日の会見でこう述べた。

好採算車種の生産を優先し、超高級車ブランド「ロールス・ロイス」の販売を増やした。全体の販売台数は6%減の59万台にとどまったが、資材や物流コストの上昇を織り込んだ価格改定を実施して利益を押し上げた。中国合弁会社の連結化も利益を押し上げた。

テスラも強気の値上げで他社をしのぐ。22年1~3月期の電気自動車(EV)の平均単価は5万4000ドル強と前年同期比12%上昇した。BMWも値上げを進めており、1~3月期の自動車1台あたりの増収率は前年同期比24%と、トヨタ(10%)やフォード(5%)などを大きく上回る。

一方、大衆車が主力のフォードやGMなどは大幅な値上げに踏み込みにくい。トヨタの長田准執行役員は「車を日常の足として使う顧客に、資材が上がったから値上げでお金を頂くというのは大変難しい問題」と話す。同社は22年1~3月期に資源価格の高騰が2750億円の営業減益要因となった。販売量を増やして原材料高の影響を補いたくても半導体不足で思うように増やしにくい。

高級車系メーカーと大衆車系メーカーの差は利益率に表れている。テスラやBMWの売上高純利益率が前年同期比でプラスとなったのに対し、トヨタやGMは低下した。トヨタの22年1~3月期の売上高純利益率は7%弱と3.5ポイント下がった。車体設計や部品を共通化するなどして損益分岐点を下げてきたものの、強気の値上げに打って出る高級車系メーカーとの差が広がりつつある。

先行きについては懸念の声も出ている。野村証券のダス・オニンド氏は「消費者の間でインフレや自動車の割高感への懸念が強まれば、消費者の嗜好が中価格帯モデルや低価格モデルへとシフトすることが考えられる」と指摘する。

消費が減退するなかで生産の回復が進めば、各社は在庫調整を迫られる恐れもある。価格戦略やブランド力、固定費の管理が課題になる。株式市場では自動車株は上値の重い展開が続いており、今後は銘柄選別が進む可能性がある。』