インド軍、中国の度重なる国境侵犯に榴弾砲を配備

 インド軍、中国の度重なる国境侵犯に榴弾砲を配備
  中国はパンゴン湖(南アジア最大の淡水湖)に二本目の橋を建設中
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※ 今日は、こんなところで…。

 『 世界地図帳を開いても出てこない。

インドの北東、ブータンの東側でヒマラヤにびたり寄り添う場所がアルナチャル・ブラデシュ州である。

ここはインドと中国とが、たびたびの軍事衝突現場であり、ガルワン渓谷から流れてくる川が、タワン平原に位置するパンゴン湖(「パンゴン・ツォ湖」とも言う)に注がれる。
 位置的にはネパールとブータンの中間地点、嘗てのダライラマ逃亡ルートである。

 中印国境は、このパンゴン湖で分けられ、およそ三分の二が中国領だ。いま中国は二本目の橋を架橋しているが、軍事目的以外に考えられない。

 パンゴン湖は全長が150キロ、南北に2キロから5キロ、深い箇所は300メートル。半年は氷結する淡水湖で魚は生息しないという。標高が4250メートル、つまり富士山より高い。

 業を煮やすインドは米国から供与された榴弾砲を実戦配備に付けた。また自製の巡航ミサイルも配備した。

 中印国境紛争は1962年に勃発し、その後にらみ合いがつづいていたが、2020年に中規模の軍事衝突で、双方に百名を超える死者がでた。

停戦ではパンゴン湖の南北からの撤収が行われたが、その後、中国は道路建設に着手し、12000名の労働者を送り込んだため、インドは警戒を強めてきた。

インド国内では中国製品ボイコット運動が全土で展開されて、アリババ、テンセント、バイトダンスなどのアプリが全面禁止された。

     □◎○☆み○◎☆○や○☆△○ざ☆○◎◎き◎△☆□   』

上海ロックダウンは何が目的だったのか?

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)5月27日(金曜日)
        通巻第7349号  <前日発行>
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 上海ロックダウンは何が目的だったのか? 
  上海派つぶしは明白だが、外国人の半分が中国を去った
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 江沢民派の牙城といわれた上海は、殆どの中国人から見ると「外国」である。ハイソで、知識人が多く、エリート意識をぷんぷんさせた上海人、じつは中国全土からは嫌われ者である。とくに二昔前の香港では広東人と上海人はお互いに口もきかず、縄張りのレストランは決まっていた。

ところが1989年から2013年まで、江沢民、朱容基、胡錦濤(生まれは隣の安徽省)らが政権の中枢にあって、中国経済の高度成長をしめし、中国人は賃金が上がり、自家用車は持てるし、子供は大學へ行かせられるほどに生活が向上した。このため、それほど露骨な上海嫌いを公言する政治家はいなかったし、いまも少数派である。

 習近平は、その上海派の親分=江沢民と大番頭だった曽慶紅に胡麻をすって近づき、上海書記から党総書記、そして国家主席に抜擢された。

政権発足前に最大のライバルだった薄煕来がつぶされ、幸運が転がり込んだものの、習近平政権の初期は江沢民の院政が継続しており黒幕は曽慶紅(国家副主席)と言われた。

 習近平は猫をかぶっていた。型破りの政権強化の陰謀が展開された。

朋友の王岐山を使って、だれも反対できない「汚職追放キャンペーン」を開始し、江沢民派幹部を片っ端から逮捕、起訴し、気がつけば江沢民は孤立していた。

 さらにはアンタッチャブルの軍幹部の政敵排除に動き、徐才厚、郭伯雄、房峰輝、張陽らを追い落とし、公安系のボスだった周永康も逮捕して、政敵をほぼ刑務所にぶち込んだ。 さらに追いうちをかけて胡錦濤の番頭だった令計画も逮捕し、共青団幹部にも手をつけ、李克強らを敵に回した。

 その総決算が、上海派を壊滅させる作戦だ。

 ゼロコロナと銘打った上海封鎖は3月28日に突如開始され、2ケ月となる。この間に日本人もふたり死亡した。外国人の半分は中国を去った。

 都市封鎖の厳密な対象が1500万の都心、行動範囲に制限のある管理区域が178万人。そして「防御区」とは、郊外の480万人を対象とした。同時に武漢、西安、長春、吉林などが封鎖されたが、すでに解除された。

 上海浦東地区にある工場は一部再開といっても、部品供給のサプライチェーンは機能せず、コンテナ船の沖合待ちが一ヶ月以上、荷揚げしようにも港湾労働者がいない。上海は世界有数のコンテナターミナルであり、貨物取扱量は、東京港の九倍もある。

 5月16日に上海副市長の宗明が記者会見し「六月には解除する」としているが、SNSでは「江沢民の時は野菜が配られた。朱容基市長の時代は誠実な対応がとられた」等と婉曲に習近平のやりかたへの不満が述べられている。

 セロコロナはカーボンセロと同様に逆立ちしても実現不能であり、げんに中国の石炭大手は増産へ転換している。脱炭素は口約束でしかなく、実現不能なことは最初から明らかであり、中国共産党が本気で取り組んでいる気配はない。

 となると、いったい上海封鎖とは何だったのか?

 政治的意味は習近平の政敵全滅を狙った一種政変だろう。全家庭に防護服をきた係官が無理やり進入し、消毒液をまき散らし、家財を破壊し、貴重品を取り上げ、ついには上海市民の外国渡航を禁じる措置を講じた。

 恨み骨髄の上海市民は書記の李強を非難する。これで李強の出世は望めないとする観測が強いが、それは世界的な判断基準であっても、中国基準ではない。ゼロコロナはノルマ暴走の側面がある。 

李強は浙江省瑞安出身。第十九期党大会で、政治局員に出世し、韓正の政治局常務委員への栄転にともなって上海市書記となった。

 「よくぞやった」というのがゼロコロナを標語とした習近平の宿題を忠実に実現したのだから、次の飛躍が望まれるのであって、失脚の可能性は薄い。

 文革の折、行政単位ごとに千名の死刑がノルマ化された。このため毛沢東の写真の入った新聞でモノをくるんでいただけの理由でも老婆は銃殺された。それが中国である。

            (註 朱容基の「容」には「金」篇) 

       □◎○☆み○◎☆○や○☆△○ざ☆○◎◎き◎△☆□   

イラン核協議「妥結は望み薄」米、テロ指定解除を否定

イラン核協議「妥結は望み薄」
米、テロ指定解除を否定
https://nordot.app/902335731867533312?c=39546741839462401

『【ワシントン共同】米国のマレー・イラン担当特使は25日、上院外交委員会の公聴会で、イラン核合意の修復に向けた同国との間接協議について「ひいき目に見ても妥結する可能性は乏しい」と証言した。

イランが合意と無関係な要求をする限り「拒否し続ける。合意はない」と述べ、イランが求める革命防衛隊に対するテロ組織指定の解除に否定的な見方を示した。

 革命防衛隊はイラン指導部の親衛隊的な性格を持つ軍事部門。2018年に核合意を一方的に離脱したトランプ前米政権が19年にテロ組織に指定しており、合意とは直接の関係はない。指定を巡って間接協議は折り合いがつかず、行き詰まっている。』

ロシア、年金と最低賃金引き上げプーチン氏表明、戦闘長期化受け

ロシア、年金と最低賃金引き上げ
プーチン氏表明、戦闘長期化受け
https://nordot.app/902345424934469632?c=39546741839462401

『ロシアのプーチン大統領は25日、一般国民に対する年金を6月1日から、最低賃金を7月1日から、それぞれ10%引き上げると表明した。モスクワのクレムリンで開かれた閣僚や地方知事らとの会議で述べた。

 プーチン氏は同時に、ウクライナでの軍事作戦に参加した軍関係者らへの金銭的補償を充実させるよう指示した。戦闘長期化や欧米の制裁による物価上昇などの経済悪化を受け、国民の不満を抑える意図があるとみられる。

 プーチン氏は会議に先立ってモスクワの病院を訪問し、ウクライナでの負傷兵らを慰問。「早期の回復を祈る」などと述べて握手した。』

米、中国外相の歴訪に懸念太平洋島国との「交渉不透明」

米、中国外相の歴訪に懸念
太平洋島国との「交渉不透明」
https://nordot.app/902374610087182336?c=39546741839462401

『【ワシントン共同】米国務省のプライス報道官は25日の記者会見で、中国の王毅国務委員兼外相による太平洋島しょ国の歴訪について、不透明な形で各国と交渉を進め、協定を結ぶ可能性があると懸念を表明した。

 中国とソロモン諸島は4月に安全保障協定を締結。中国艦艇の寄港や軍隊、警察の派遣を認める内容とされる。米政権は、中国が協定を利用して太平洋地域で影響力を拡大する恐れがあるとみて警戒を強めている。

 プライス氏は、中国が安保や漁業分野などで「不明瞭な取引」の提示を繰り返し、周辺国とも協議していないと指摘。「インド太平洋地域で市民の懸念を引き起こしている」と批判した。』

領土割譲の妥協策に反発停戦条件でゼレンスキー氏

領土割譲の妥協策に反発
停戦条件でゼレンスキー氏
https://nordot.app/902389118780145664?c=39546741839462401

『ウクライナのゼレンスキー大統領は25日公表のビデオ演説で、ロシアとの停戦条件を巡って米国などの一部に、領土の事実上の割譲が不可避だとの考えがあるとし、「見せかけの平和のために」妥協することはその地域に住むウクライナ人のことを考えていないと反発した。

 ロイター通信によると、キッシンジャー元米国務長官がダボス会議で、ロシアが編入したクリミア半島の返還を諦めるようウクライナに提案。ゼレンスキー氏は、英仏のナチス・ドイツへの融和姿勢が結果的に第2次大戦の惨禍を招いたとされる1938年のミュンヘン会談の教訓を引き合いに出して、キッシンジャー氏を批判した。(共同)』

韓国・尹徳敏氏、北朝鮮「すでに核兵器量産体制」

韓国・尹徳敏氏、北朝鮮「すでに核兵器量産体制」
アジアの未来
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC256AY0V20C22A5000000/

『韓国の尹徳敏(ユン・ドクミン)韓国外国語大学碩座(せきざ)教授は26日午後、第27回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)で講演し、核兵器開発を続ける北朝鮮はすでに「10発以上の量産体制に入っている」と指摘した。非核化のためには関係各国が協調して北朝鮮に対する制裁を強めるほかないとの考えを示した。

北朝鮮は25日に3発の弾道ミサイルを発射するなど挑発行為を続けているが、尹徳敏氏は「国連は何もできていない状況にある」と述べた。国際社会の関心がロシアのウクライナ侵攻に向く一方、北朝鮮の核・ミサイル問題に対する関心が相対的に落ちている現状に危機感を示した。

10日に発足した尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は、尹徳敏氏を次の駐日大使にあてる方向で調整している。尹徳敏氏は現状の日韓関係について「最悪の状況」と説明し「良かった時期に戻すことが我々の使命だ」と述べた。

日韓関係悪化の一因である元徴用工問題については「韓国だけで解決することはできない」とし「自発的な日本企業の協力を歓迎する」と述べるにとどめた。』

フィリピン次期大統領に「未払い金」問題 足かせも

フィリピン次期大統領に「未払い金」問題 足かせも
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1347D0T10C22A5000000/

 ※ 『フィリピン内国歳入庁(BIR)はマルコス家に対して相続税などの支払いを求めており、その額は2030億ペソ(約5000億円)に上る。大統領選の期間中、ほかの立候補者が再三にわたりBIRに徴税を要求してきた。』…。

 ※ 『マルコス家には100億ドル(約1兆3000億円)規模の不正蓄財があったことでも知られる。故マルコス元大統領のイメルダ夫人が失われたとされるピカソの作品を所有している可能性も指摘されている。』…。

 ※ 『マルコス家がかつて亡命していた米国では、同国の裁判所がフィリピンでの人権侵害に対する賠償金や判決を無視した罰金など23億ドルの支払いを命じているという。まだ支払われていないため、米国に入国すると逮捕・拘束される可能性がある。

支払いに応じることは父の政権下の人権侵害を認めることになり、マルコス家にとっては対応が非常に難しい。』…。

 ※ 『大統領になれば公式訪問として特例扱いされる可能性もあるが、同盟国である米国との関係構築やニューヨークにある国連本部で開かれる国連総会への参加の懸念材料になりかねない。』…。

 ※ この人、そういう問題を抱えているのか…。

 ※ いやはやな話しだ…。

『【マニラ=志賀優一】フィリピン次期大統領に就任予定のフェルディナンド・マルコス元上院議員が「未払い金」問題に直面している。長期独裁政権を築いた故マルコス元大統領の蓄財に関するマルコス家の相続税や、人権侵害に対する米国での賠償金を払っていないためだ。米入国が困難との指摘もあり、政権発足後の足かせになりかねない。

フィリピン内国歳入庁(BIR)はマルコス家に対して相続税などの支払いを求めており、その額は2030億ペソ(約5000億円)に上る。大統領選の期間中、ほかの立候補者が再三にわたりBIRに徴税を要求してきた。

反マルコス家の活動家はマルコス氏が要職に就く資格はないとして最高裁判所に訴えている。13日にはデモが発生。参加者は1000人弱とされ、父の独裁政権下での人権侵害の再来への懸念に加え、納税義務を果たさないことへの批判を繰り広げた。

デモに参加したビージャン・ベルナンデさん(34)は「マルコス氏はついに2030億ペソを支払わない方法を見つけてしまった。権力を握ることだ」と憤りを隠さない。マルコス氏が大統領に就けば在任中は訴訟から免れることができるほか、一家の税金未納問題をかき消す可能性を懸念する。

現在、複数の上院議員がマルコス家とBIRの腐敗や癒着を指摘し調査を進めようとしている。ただ6月30日の大統領就任式までに解決しなければ、本来納税されるべきマルコス家の「『不法な富』は『忘れ去られた富』になりかねない」(キコ・パンギリナン上院議員)との声が出ている。

マルコス家には100億ドル(約1兆3000億円)規模の不正蓄財があったことでも知られる。故マルコス元大統領のイメルダ夫人が失われたとされるピカソの作品を所有している可能性も指摘されている。

マルコス氏の報道官は13日に「憲法と法律に従った行動をする」と説明したが、納税問題が解決しない限り、腐敗のイメージは拭えない。

米国での「未払い」も問題だ。地元メディアなどは、マルコス氏が米国へ入国するのが困難だと指摘する。

マルコス家がかつて亡命していた米国では、同国の裁判所がフィリピンでの人権侵害に対する賠償金や判決を無視した罰金など23億ドルの支払いを命じているという。まだ支払われていないため、米国に入国すると逮捕・拘束される可能性がある。

支払いに応じることは父の政権下の人権侵害を認めることになり、マルコス家にとっては対応が非常に難しい。

大統領になれば公式訪問として特例扱いされる可能性もあるが、同盟国である米国との関係構築やニューヨークにある国連本部で開かれる国連総会への参加の懸念材料になりかねない。』

フィリピン次期財務相に中銀総裁 マルコス氏が表明

フィリピン次期財務相に中銀総裁 マルコス氏が表明
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM2631J0W2A520C2000000/

『【マニラ=志賀優一】フィリピン大統領への就任を控えるフェルディナンド・マルコス元上院議員は26日、新政権の財務相に同国中央銀行のベンジャミン・ジョクノ総裁を起用する方針を明らかにした。同国の政府債務残高は過去最高となっており、財務の健全化を図る。

ジョクノ氏は同日、財務相就任を受け入れたうえで「経済成長を支援しながら、財政規律も維持するバランスを取ることに努める」と声明を発表した。

ジョクノ氏は2019年に中銀総裁に就任し、新型コロナウイルスの感染拡大を受け政策金利を過去最低水準にするなどの対策を講じてきた。金融サービスのデジタル化も主導した。23年までだった中銀総裁の任期は、財務相就任に伴い前倒しで終える。

中銀総裁の後任には、中銀の金融政策委員の1人で経済学者のフェリペ・メダラ氏が就任する見通しだ。

フィリピンはドゥテルテ現大統領のもと、大規模インフラ整備計画「ビルド・ビルド・ビルド(造れ、造れ、造れ)」を実施してきた。国内総生産(GDP)の5%前後をインフラ投資に充て雇用を創出する一方、3月末の政府債務残高は前年同月比で約18%増え、過去最高の12兆6800億ペソ(約31兆円)に達した。これまで金融政策を手がけてきたジョクノ氏は、財務相としても手腕が試されることになる。

マルコス氏は6月30日に大統領に就任し新政権が発足する。』

北欧2国、NATO巡りトルコと協議 制裁解除に前向きか

北欧2国、NATO巡りトルコと協議 制裁解除に前向きか
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR25EPM0V20C22A5000000/

『【イスタンブール=木寺もも子】スウェーデンとフィンランドの高官は25日、トルコの首都アンカラを訪れ、トルコ側と北大西洋条約機構(NATO)への新規加盟問題を協議した。トルコによると、両国は武器輸出を制限する対トルコ制裁の解除に前向きな姿勢を示したという。

終了後に記者会見したトルコ大統領府のカルン報道官によると、トルコは自身がテロ組織とみなすクルド系勢力の活動に対する制限やメンバーの送還などを求めた。2019年にトルコがシリアに越境攻撃した際に北欧2国がトルコに科した制裁の解除については前向きな感触が得られたとし、「喜ばしい進展だ」と述べた。

両国の代表者がトルコの要求を本国に持ち帰った後、本格的な交渉に移るという。カルン氏は「安全保障に関する我々の懸念が解消するまで(加盟)プロセスは進まない」と述べた。6月末に開かれるNATO首脳会議に間に合わせる必要はないとの認識も示した。

トルコはカルン氏、スウェーデンは首相府高官、フィンランドは外務省高官が協議に参加した。

北欧2国のNATO加盟申請に対し、トルコは両国によるクルド系勢力への支援などを理由に反対し、対応を求めている。トルコを含むすべての既存加盟国の賛成がなければ新規の加盟はできない。

【関連記事】
・トルコ、北欧2国のNATO加盟巡り米欧と駆け引き
・トルコ、北欧のNATO加盟に異議 制裁緩和狙う 』

トルコ、シリア再攻撃検討 北欧NATO加盟で駆け引きも

トルコ、シリア再攻撃検討 北欧NATO加盟で駆け引きも
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR24E6X0U2A520C2000000/

『トルコがシリアへの越境軍事作戦を検討している。国境付近からクルド系武装勢力を追い出すのが目的で、ウクライナ侵攻中のロシアがシリアで影響力を低下させている空隙を狙う。北欧2国の北大西洋条約機構(NATO)加盟問題を抱える米欧も難しい対応を迫られそうだ。

「国境沿い30キロの『安全地帯』の残りについて、近く新たな措置を取る」。エルドアン大統領は24日、シリアへの越境軍事作戦の再開を示唆した。26日の国家安全保障会議で協議するとしている。

トルコは2016年以降、計3回の大規模な越境攻撃をしかけ、一部地域を占領している。国境のシリア側に幅30キロの「安全地帯」を設け、クルド系武装勢力を排除する狙いだ。「安全地帯」は東西に分断されており、次の目標はその間にあるユーフラテス川以東の地域になるとみられる。

エルドアン氏は昨秋も同様の軍事作戦を検討していた。実現しなかったのはシリアに影響力を持つ米国やロシアとの調整がうまくいかなかったためとみられる。だが、ロシアのウクライナ侵攻を境に力関係には変化が生じている。

トルコが19年に3度目の侵攻作戦を実施した際、NATO同盟国である米欧は一斉に非難し、過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦でクルド系武装勢力と共闘する米国は鉄鋼関税引き上げなどの制裁を科した。非加盟国のスウェーデンやフィンランドもトルコへの武器輸出禁止・制限を打ち出した。

トルコはクルド系武装勢力の脅威を理解してもらえないとして不満を募らせ、スウェーデン、フィンランドが今月、NATOに加盟申請すると反対を表明した。シリアへの軍事作戦浮上の背景には、北欧2カ国の加盟を後押しする米欧に対してクルド問題で譲歩を迫る狙いもありそうだ。

米国のプライス国務省報道官は25日、エルドアン氏の発言について「深い懸念」を示す一方、「トルコの正当な安全保障上の懸念は理解する」と気を使ってみせた。

越境攻撃はシリアの主権侵害にあたるが、アサド政権の後ろ盾であるロシアもトルコに反対しづらくなっている。欧米から経済制裁を受けるロシアにとって、制裁に参加しないトルコは安定した輸出先や代替の調達拠点などとして重要性を増した。

ロシアはシリアへの関与も薄めている。独立系メディアのモスクワ・タイムズなどによると、ウクライナに戦力を集中させるため、一時は6万人超の規模だったシリア駐留部隊を引き揚げ始めた。撤収後の拠点には同じくアサド政権を支援するイランが入っている。

米ロの双方に対して立場を強めるトルコが実際に越境攻撃に踏み切るかは不透明だ。70%もの高インフレで支持率の低下に苦しむエルドアン氏にとって、クルド系武装勢力の掃討は国民的な支持を集めやすい。半面、軍事作戦はさらなる通貨安やインフレにつながる恐れもある。』

世界の自動車1~3月、値上げで明暗 テスラ単価12%上昇

世界の自動車1~3月、値上げで明暗 テスラ単価12%上昇
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC12F3N0S2A510C2000000/

『世界の自動車大手の2022年1~3月期業績で明暗が分かれている。日米独13社のうち、米テスラ、独BMW、独メルセデス・ベンツの高級車を主力とする3社の純利益合計が前年同期比2倍となった一方、大衆車が主力の他の10社は3割減益となった。原材料高が強まるなか、テスラなどは積極値上げで吸収しており、苦戦する大衆車系メーカーと対照的だ。

テスラ、米フォード・モーター、米ゼネラル・モーターズ(GM)、独フォルクスワーゲン、メルセデス、BMW、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、スズキ、SUBARU、マツダ、三菱自動車の13社の決算をQUICK・ファクトセットをもとに集計した。

13社の22年1~3月期の純利益合計は前年同期比13%増の315億ドル(約4兆円)だった。09年以降では同期間として2年連続で過去最高になった。回復傾向が続くものの足元では原材料高を受けて伸び悩んでいる。

復調が鮮明なのは高級車系メーカーだ。3社の純利益合計は13社全体の59%を占める。「当社の歴史の中でこれほど受注が高まったことはない。強い需要は今後も続く」。BMWのオリバー・ツィプセ社長は5日の会見でこう述べた。

好採算車種の生産を優先し、超高級車ブランド「ロールス・ロイス」の販売を増やした。全体の販売台数は6%減の59万台にとどまったが、資材や物流コストの上昇を織り込んだ価格改定を実施して利益を押し上げた。中国合弁会社の連結化も利益を押し上げた。

テスラも強気の値上げで他社をしのぐ。22年1~3月期の電気自動車(EV)の平均単価は5万4000ドル強と前年同期比12%上昇した。BMWも値上げを進めており、1~3月期の自動車1台あたりの増収率は前年同期比24%と、トヨタ(10%)やフォード(5%)などを大きく上回る。

一方、大衆車が主力のフォードやGMなどは大幅な値上げに踏み込みにくい。トヨタの長田准執行役員は「車を日常の足として使う顧客に、資材が上がったから値上げでお金を頂くというのは大変難しい問題」と話す。同社は22年1~3月期に資源価格の高騰が2750億円の営業減益要因となった。販売量を増やして原材料高の影響を補いたくても半導体不足で思うように増やしにくい。

高級車系メーカーと大衆車系メーカーの差は利益率に表れている。テスラやBMWの売上高純利益率が前年同期比でプラスとなったのに対し、トヨタやGMは低下した。トヨタの22年1~3月期の売上高純利益率は7%弱と3.5ポイント下がった。車体設計や部品を共通化するなどして損益分岐点を下げてきたものの、強気の値上げに打って出る高級車系メーカーとの差が広がりつつある。

先行きについては懸念の声も出ている。野村証券のダス・オニンド氏は「消費者の間でインフレや自動車の割高感への懸念が強まれば、消費者の嗜好が中価格帯モデルや低価格モデルへとシフトすることが考えられる」と指摘する。

消費が減退するなかで生産の回復が進めば、各社は在庫調整を迫られる恐れもある。価格戦略やブランド力、固定費の管理が課題になる。株式市場では自動車株は上値の重い展開が続いており、今後は銘柄選別が進む可能性がある。』

ロシア下院議長、日英の権益問題視 サハリン2

ロシア下院議長、日英の権益問題視 サハリン2
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR25DHB0V20C22A5000000/

『【イスタンブール=木寺もも子】日本の商社が出資する極東ロシアの石油・天然ガス開発事業「サハリン2」について、ロシアのウォロジン下院議長は25日、日本などの「非友好国」が権益を持っているのは望ましくないとして、ロシア国営ガスプロムなどに売却すべきだと主張した。

下院のホームページによると、ウォロジン氏は日本、英国、オランダを名指ししたうえで、サハリン2で「巨大な利益を得ている」と批判した。ガスプロムや友好国の企業に株式を売却すべきだとも述べた。

サハリン2はロシア初の液化天然ガス(LNG)プロジェクトで、ガスプロムが約50%、英シェル(旧英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル)が約27.5%、三井物産が12.5%、三菱商事が10%を出資する。年1000万トンの生産量のうち5~6割が日本向けで、ロシアからのLNG輸入量のほぼ全量に相当する。日本の輸入量の約1割を占める。

英シェルはサハリン2から撤退を表明し、中国企業に権益を売却する方向で交渉していると報じられたが、日本はガスの供給に混乱が生じる可能性があることなどから権益を維持する方針だ。

【関連記事】
・ウクライナ東部「攻撃最も激しく」 ロシア軍、包囲狙う
・ロシア高官、食料輸出に「人道ルート」示唆 
・ロシア食品店の看板壊す 東京、容疑で米国籍の男逮捕

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Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Politics/Ukraine-war/Russian-parliament-leader-calls-on-Japan-to-give-up-Sakhalin-2-stake?n_cid=DSBNNAR 

多様な観点からニュースを考える

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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今後の展望

早晩、この問題がいわれると思った。今回のことでロシアも必死にやっている。非友好国と認定された以上、その権益を認めないというのは当たり前。不可能なことはない。徹底抗戦するとすれば、次の一手を早めに準備しておく必要がある
2022年5月26日 8:20 』

ロシア高官、食料輸出に「人道ルート」示唆

ロシア高官、食料輸出に「人道ルート」示唆
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR25C360V20C22A5000000/

『【イスタンブール=木寺もも子】ロシアのルデンコ外務次官は25日、穀倉地帯であるロシア、ウクライナ両国の戦争による世界的な食料問題について、輸出のための「人道ルート」を設置する用意があると述べた。タス通信が伝えた。ロシアへの制裁解除も要求しており、実現性は不透明だ。

ウクライナ沿岸の黒海はロシアが制海権を握っており、ウクライナの穀物は輸出できない状態が続いている。ルデンコ氏は穀物を積んだ貨物を人道上の理由で通らせる可能性を示唆した。ウクライナが港の防衛のため設置した機雷を撤去しなければいけないとも主張した。

ロシア、ウクライナ両国の小麦輸出量は世界全体の3割を占める。小麦価格の上昇で、特に購買力の低いアフリカなどでの食料不足が懸念されている。

英国のウォレス国防相は25日、「ロシアは正しいことを行うべきだ」として穀物を輸出させるよう求めた。ロイター通信によると、訪問先のスペインで記者団に語った。

ウォレス氏はトルコなど中立の立場を取る第三国の船がウクライナの穀物船を先導するのが望ましいとし、ロシアに対する制裁解除は否定した。』

駐日ロシア大使、広島平和式典招待されず反発

駐日ロシア大使、広島平和式典招待されず反発
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB25DZ00V20C22A5000000/

『ロシアのガルージン駐日大使は25日、ウクライナ侵攻を受け、広島市が8月6日の平和記念式典にロシアやベラルーシの代表を招待しないと明らかにしたことについて、「自称反核運動の指導者」による「恥ずべき措置」と反発した。通信アプリ「テレグラム」で声明を発表した。

声明は「ロシアがウクライナでの核兵器使用をもくろんでいるというばかげた作り話」が被爆地・広島で拡散されていると非難。

軍事作戦では「非ナチ化」を進めているとした上で、「まさにこのナチズムと同盟を組んだことが、1945年に日本という国全体を襲った破局の原因の一つ」だと主張した。(時事)』

ウクライナ副首相インタビュー「黒海封鎖で食料危機も」

ウクライナ副首相インタビュー「黒海封鎖で食料危機も」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR250GZ0V20C22A5000000/

『【ダボス(スイス東部)=白石透冴】ウクライナのユリア・スビリデンコ第1副首相兼経済相は24日、黒海からの穀物輸出をロシア軍が妨害しており「世界で近く食料危機が訪れる」と危機感を示した。解決策として軍艦の護衛を受けて運ぶ護送船団方式を提案した。
【関連記事】国連人口基金カネム氏「ウクライナ女性、危険な状況に」

世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で日本経済新聞のインタビューに応じた。世界有数の農業国であるウクライナ国内で穀物約2500万トンが滞留し「陸路で輸出すると5~6年かかる」ため非現実的だと説明した。2022年秋の収穫でさらに約3千万トンが行き場を失う恐れがあるという。

想定するのは08年のソマリアでの護送例だ。海賊被害の多発で北大西洋条約機構(NATO)が艦船を派遣した。

英紙ガーディアンによると、今回英国やリトアニアが軍艦派遣を検討している。世界の穀物は最高値圏で、国連は18日、ウクライナ侵攻で数千万人が食料不足に陥る可能性があると警告した。

日本がロシア極東で資源権益を持つ「サハリン1、2」の開発事業は「撤退すべきだ」と語った。ウクライナ支援に謝意を示しつつ「価値観を守ることは利益よりも優先されるべきだ」とし、ロシアの戦費を支える懸念がある事業は避けるよう訴えた。日本は権益の維持を表明しているが、英石油大手シェルや米エクソンモービルは撤退を決めている。

ゼレンスキー大統領は23日の演説で侵攻の被害額が5千億ドル(約63兆円)以上だと語った。スビリデンコ氏は「各国が凍結したロシア資産を復興資金に充てるのが欠かせない」と呼びかけた。対象は「凍結されている資産全てだ」として、ロシアが各国中銀に預けている外貨準備の没収も含めた検討を求めた。

スビリデンコ第1副首相兼経済相 1985年生まれ。キーウ(キエフ)国立大卒。行政官など経て20年に経済発展・貿易・農業省の第1副大臣。21年から現職。開催中のダボス会議では対ロシア制裁の必要性や、ウクライナによる欧州連合(EU)加盟の意向などについて発言した。

【関連記事】
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・復興支援・食料危機が課題 ダボス会議、ウクライナ一色

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竹内薫
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今後の展望

護送船団方式に賛成です。心情的にはロシアの黒海艦隊を駆逐してもらいたいのですが、各国が協力して護送するしか道はないと思います。

ロシアはウクライナから穀物も大量に収奪しているようですが、それを他国が買うわけにもいきません。
2022年5月25日 18:46 』

ロシア、国籍獲得を簡易化 ウクライナ南部2州で

ロシア、国籍獲得を簡易化 ウクライナ南部2州で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR25EI60V20C22A5000000/

『【ロンドン=佐竹実】ロシアのプーチン大統領は25日、実効支配するウクライナ南部のヘルソン州とザポロジエ州の住民について、ロシア国籍を取りやすくする大統領令に署名した。タス通信が報じた。両州では使用通貨をルーブルに変えようとする動きもあり、ロシア編入を見据えた動きとみられる。

ヘルソン州はロシアが2014年に一方的に編入したクリミア半島に隣接する。親ロ派当局によると、現在同州の住民の5~7%程度がロシア国籍(パスポート)を持っており、今回の措置によって90%になる可能性があるという。

ウクライナ国防省によると、ロシアはヘルソン州とザポロジエ州でウクライナからの独立の是非を問う「住民投票」を準備している。5月末までにロシアの通貨ルーブルを取り扱う銀行の業務を始め、ウクライナ通貨を段階的に廃止する計画もある。占領の正当化のための動きとしてウクライナ側は警戒している。

ロシアは激戦地だったドネツク州の港湾都市マリウポリの完全制圧を宣言した。南東部で実効支配する地域を広げるために攻勢を強め、戦闘が激しくなる可能性がある。』

ロシア、防衛力強化を警告 共同飛行で日本の対応批判

ロシア、防衛力強化を警告 共同飛行で日本の対応批判
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2602Z0W2A520C2000000/

『ロシア外務省のザハロワ情報局長は25日、中国とロシアの爆撃機が24日に日本周辺を共同飛行したことに対する日本政府の懸念表明を「根拠のない、ばかげた抗議」と批判し「防衛力の強化で対抗する」と警告するコメントを発表した。

ザハロワ氏は、中ロの合同パトロールは国際法を順守して定期的に行われ、アジア太平洋地域の平和と安定に貢献していると強調。日本側が24日に東京の在日ロシア大使館に「電話による抗議」をし、ウクライナ情勢に絡めて「言いがかりをつけてきた」と非難した。
その上で、日本は米国との軍事、政治的協力を急速に強め、自国内に米国の短中距離ミサイル配備を検討するなどしてロシアへの潜在的脅威を高めていると指摘した。

日本の防衛省によると、中国のH6爆撃機とロシアのTU95爆撃機が24日午前から午後にかけ日本海と東シナ海、太平洋の長距離を共同飛行。領空侵犯はなかった。飛行したのは計6機で、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)して対応した。

岸信夫防衛相は24日夜、中ロ両国に外交ルートを通じて重大な懸念を伝達したと表明。「国際社会がウクライナ侵略に対応している中、看過できない」と述べていた。

24日には東京で日本と米国、オーストラリア、インドの協力枠組み「Quad(クアッド)」首脳会合が開催されていた。

ロシア外務省は3月、日本が欧米の対ロ制裁に加わったことに強く反発。北方領土問題を含む日本との平和条約締結交渉を中断すると発表するなど、日ロ関係は険悪化している。(共同)』

WHO、加盟国分担金5割に引き上げ 感染対策機動的に

WHO、加盟国分担金5割に引き上げ 感染対策機動的に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR24EU00U2A520C2000000/

『【ウィーン=細川倫太郎】世界保健機関(WHO)の総会は24日、予算全体に占める加盟国からの分担金の割合を2030~31年までに50%に引き上げる計画で合意した。使途が指定される寄付以外の自由に使える予算を増やし、新たな感染症などに機動的に対応できるようにする。WHOの組織改革が一歩前進したが、権限拡大など課題はなお多い。

「歴史的な瞬間だ」。WHOのテドロス事務局長は分担金の割合の引き上げは、WHOの資金調達や組織を変えると歓迎した。

WHOが2年単位で組む予算のうち現在の分担金は2割弱で、AFP通信によると、9億5700万ドル(約1200億円)にとどまる。残りは民間の慈善団体などからの寄付に頼る。寄付は使途が決められているケースが多く、自由に使えないという欠点がある。WHOは慢性的な財政難に直面し、自由裁量で使える資金確保が課題だった。

加盟国が分担金の増額を承認した背景には、新型コロナウイルスの教訓がある。19年末には中国で感染拡大が起きていたが、WHOの初動対応の遅れや調査能力の不足が事態の深刻化を招く一因となった。大量のデータを迅速に収集し、分析する専門家や設備を拡充するために、WHOの資金を増やす必要があるとの声が多くなっていた。

具体的な使途の検討はこれからだ。加盟国からはWHOに対し「それぞれの費用について、より良い情報を得る必要がある」(カナダ)と説明責任を求める声が出た。

24日にはテドロス氏の再選も決まった。8月から任期5年の2期目に入る。

次のパンデミック(世界的大流行)に対する備えは、テドロス氏の2期目の大きな課題になる。その1つの柱がWHOの権限の拡大だ。例えば、現状のルールでは加盟国の同意がなければ現地調査はできない。中国でのコロナの調査は感染拡大から1年以上が経過し、いまだにウイルスの起源は解明できていない。

公衆衛生対策は世論に直結するだけに、多くの国はWHOの権限が強まることに及び腰で、議論は難航する可能性が高い。WHOは新たな国際ルール「パンデミック条約」の創設を検討しているが、成果がまとまるのは早くて24年とみられている。

足元では、欧米で天然痘に似た感染症「サル痘」の報告が相次いでいる。アラブ首長国連邦(UAE)の保健予防省も24日、患者を初めて確認したと発表し、中東にも広がりつつある。天然痘よりも感染力は弱く爆発的に拡大するリスクは低いとみられているが、感染経路が不明な患者も多く、予断は許さない。

コロナ禍もまだ終わっていない。WHOは今年半ばまでにすべての国でワクチン接種率を7割とする目標を掲げるが、達成したのは高所得国を中心とした57カ国にとどまる。感染力や毒性が強い変異型が出現するリスクは残っている。』

中国、南太平洋での勢力拡大へ 外相異例の長期訪問

中国、南太平洋での勢力拡大へ 外相異例の長期訪問
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM24BOP0U2A520C2000000/

『【シドニー=松本史、北京=羽田野主】中国が南太平洋島しょ国での影響力拡大に向けた動きを加速させる。中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は26日から10日間かけ、島しょ国7カ国と東ティモールを訪問する。地域で米豪と中国の対立が先鋭化する中、オーストラリアの新政権発足直後に中国は先手を打って地域への関与強化を打ち出した。

王氏が最初に向かうのはソロモン諸島だ。現地関係者によると、4月に締結した安全保障協定について正式な調印式を行う。経済関連の協定締結も取り沙汰されている。

「両国関係にとって画期的な出来事だ」。ソロモンのソガバレ首相は王氏の訪問をこう称賛し、中国を「重要な開発パートナー」と評した。ソロモンから約2000キロと近く、歴史的な関係が深い豪州は懸念を強める。

事前に流出した安保協定草案にはソロモンへの中国軍の派遣や艦船寄港を認める内容が含まれていた。豪公共放送ABCは、中国国有企業がソロモン政府と、同国の滑走路改修を支援する覚書を結んだと報じた。

こうしたインフラは長期的に軍事転用の可能性が否定できない。ソロモン側は中国による軍事基地建設を否定するが、軍事拠点化に向けた動きが強まるとの見方もでる。

豪州では21日に総選挙が実施され、政権交代が決まった。「中国が太平洋でより強い影響力を行使しようとしている」。労働党政権のアルバニージー新首相は24日に出席した日米豪印4カ国の「Quad(クアッド)」首脳会議後、こう警戒を示したばかりだった。

選挙戦を通じ、労働党は中国とソロモンの安保協定締結を許したモリソン政権を批判し、地域への関与を深める方針を示してきた。習近平(シー・ジンピン)指導部はこうした動きを警戒。クアッド出席などアルバニージー氏が慌ただしく外交日程をこなす中、豪新政権の機先を制して王氏を派遣する。

王氏はキリバスやトンガも回る。太平洋島しょ国14カ国のうち中国と国交を持つのは10カ国だ。そのうち7カ国を訪問する長期訪問となる。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)はソロモンに加え「キリバスともう1カ国」が中国と安保協定に向けた交渉をしていると報じた。

王氏がこのタイミングで訪問するのは、日米豪印の首脳が24日に中国を念頭に海洋監視を強める方針を確認し、警戒心を強めているためだ。米国との長期対立をにらむ習指導部は西太平洋への影響力拡大を目指している。米同盟国の豪州を抑え込む上で、南太平洋の島しょ国との連携は不可欠とみている。

王氏は東南アジアの東ティモールも訪れる。中国企業が多く進出する同国では中国が年々影響力を強めている。南太平洋の島しょ国と合わせて押さえることで、豪州北部のダーウィンにある豪軍基地に東西からにらみを利かせることができると判断している。

地域の動きに詳しい豪シンクタンク、ロウイー研究所のミハイ・ソラ氏は「王氏の訪問は、この地域での中国の影響力拡大に歯止めをかけたい豪州の動きを阻む目的もある」と指摘する。一方、豪外相のウォン氏は25日、フィジーを26日に訪問し、バイニマラマ首相と会談すると発表した。地域での米豪と中国の勢力争いは今後、激しさを増しそうだ。

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