[FT]米の大干ばつが深刻化、7州で水不足や停電の恐れ

[FT]米の大干ばつが深刻化、7州で水不足や停電の恐れ
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『米南西部が「メガドラウト」と呼ばれる長く続く大規模な干ばつに見舞われており、2大貯水池の水位が記録的水準に低下している。政府は7州の水と電力の供給を守るため、前例のない対応を余儀なくされている。

水位が下がり湖底が現れたミード湖の沿岸では、かつて沈没したボートの姿も見えるようになった=AP

すでに深刻な水不足に悩まされている何百万人もの米国民が、今度は停電の可能性に直面している。水力発電の電力供給が逼迫するなか、熱波でエネルギー需要が高まるためだ。米電力規制当局は5月、干ばつで水力発電の供給が抑制されていることを一因に、国内の広い範囲で停電が発生する恐れがあると警鐘を鳴らした。

過去1200年で最悪の被害との見方も

米政府の気候科学者は、国の半分以上が干ばつ状態にあると指摘している。別の研究によると、南西部の州を襲う干ばつは人間活動の影響で深刻化し、この地域に過去1200年で最悪の被害をもたらすとみられている。

米海洋大気局(NOAA)で干ばつを専門とする科学者のアンドリュー・ホール氏は「これはわれわれの観測史上、群を抜いて最悪の干ばつだ」と語る。「ここ千年以上で最悪の干ばつをどうして気にかけないのか。乗り越えねばならないというのに」

米最大の貯水池であるミード湖と、コロラド川上流にあるパウエル湖の水位が急激に低下したため、連邦政府は緊急の干ばつ対策を発動した。パウエル湖の水位は、満水になって以来、最低の水準にある。

パウエル湖は、グレンキャニオンダムの運用に最低限必要な水位を下回る恐れがあり、7州の推計580万世帯に電力を供給する水力発電が危機にさらされている。

当局は、ユタ州にある上流の別の貯水池からパウエル湖に水を回し、下流のミード湖への放水を通常より少なくする計画だ。この措置は推定で12カ月間、パウエル湖の水位を「下支え」するとみられている。

米内務省のタニア・トルヒーリョ氏は、この緊急対策について「コロラド川流域でこのような措置を講じたことはこれまでにない」と述べた。

米コロンビア大学の気候科学者、ジェイソン・スマードン氏は、南西部各州の干ばつ状況を「恐ろしい」と表現する。

人間活動が招いた乾燥の深刻化

「南西部で温暖化が進み、結果として乾燥が進むことを、すべての(温暖化ガス)排出シナリオが示唆している」と同氏は語った。干ばつは降水パターンの自然変動によって説明がつく部分もあるが、人間活動が招いた長期的な乾燥傾向によって深刻化しているという。

NOAAのホール氏は「現在起きている干ばつは、将来も繰り返される可能性が高い」とみる。気象学者の同氏は毎年、研究の一環として、異常気象と気候変動との関係を追跡調査している。

気候保護団体、ウエスタン・リソース・アドボケイツのプログラムディレクター、バート・ミラー氏の推計によると、コロラド川の水に依存する米国民は1400万人にのぼる一方、川の水を灌漑(かんがい)に利用する農地は約500万エーカー(約2万平方キロメートル)に及ぶ。「私たちが歩んでいるのは危うい道だと、ますます多くの人が理解し始めている」という。

コロラド川流域のネバダ州、アリゾナ州、カリフォルニア州はいずれも、水の消費量を制限する取り組みを強化している。ネバダ州最大の都市ラスベガスでは、水やりが必要な芝生の量を減らすため、ゴルフ場の面積を規制するなどの制限が導入されている。アリゾナ州の一部の農家も、灌漑に利用できる水の量が制限されている。

カリフォルニア州では、ニューサム知事が節水を呼びかけるため、1億ドル(約127億円)規模の広告キャンペーンを打ち出した。だが、知事が3月、住民に2020年比で15%の水使用量削減を求めたところ、逆に州全体の使用量は20%近く増加した。

米シンクタンク、天然資源保護協会(NRDC)の水部門でシニアディレクターを務めるケイト・プール氏は、家庭や都市部での使用量削減、効率的な農業灌漑の奨励、水のリサイクルや再利用など、水の供給を守るためのさらなる施策を助言している。

「私たちは、気温上昇を背景に水の供給が大幅に減り、需要が増えるという未来に直面している」

By Aime Williams

(2022年5月21日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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