東西冷戦再来、中国の出方焦点に ダボス会議で議論

東西冷戦再来、中国の出方焦点に ダボス会議で議論
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR240530U2A520C2000000/

『【ダボス(スイス東部)=中島裕介】2年ぶりに開催中の世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)では、ロシアの軍事侵攻をきっかけに冷戦が再来するかどうかや、今後のロシアに対する中国のスタンスが主要な議論となった。

「今行われている制裁は平和を維持するために、何十年も機能すべき圧力の前例だ。価値観は重要でなくてはならない」。ウクライナのゼレンスキー大統領は23日のダボス会議でのオンライン演説でこう力説した。民主主義陣営の各国が国際法に反する侵略をしかけたロシアを長期間、国際社会や経済から切り離すべきだとの訴えだ。

欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は24日のダボス会議での演説で、「ロシアの侵略に対抗することは、国際社会全体の課題だ。これに勝たなければならない」とウクライナ支援を続ける意向を強調した。 

コロナ禍で中断される前の2020年1月のダボス会議は、トランプ米大統領(当時)らの自国第一主義や反多国間主義の主張が目立った。ただ、ウクライナへの軍事侵攻を経て西側諸国はロシアの予測をはるかに超える結束を示している。

北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は、24日のダボス会議の演説で、中国やロシアを「国際秩序を軽視する強権国家」と非難した。「強権国家との貿易や経済的な交流の一部が、私たちの安全保障を損なっている」とも訴えた。

今後の中国の出方次第で安保・経済の両面で、日米欧と中ロのデカップリング(分断)はさらに進む。米共和党のマイケル・マコール下院議員は23日の「冷戦2.0」と題したセッションで「短期的にはロシアが重要だが、長期的には米国と中国が世界の競争相手になるのは間違いない。それは軍事的、経済的な競争だ」と指摘した。

ただウクライナ危機に端を発する分断の構図は、米ソの冷戦時代のような二項対立ではない。中国がロシアの侵攻を支援して、覇権主義陣営が軍事面での同盟関係になるかが注目点となる。

米ユーラシア・グループのイアン・ブレマー社長は23日のセッションで「中国はいまロシアに軍事支援をしていないし、制裁破りもない」と指摘。ロシアの侵攻の支援はしないと予測した。

1月に行われたオンライン形式の会議「ダボス・アジェンダ」では、ロシアによるウクライナ侵攻の可能性はまだ高くないとの見方が多かった。状況の急激な変化に伴い、WEFは22年のダボス会議のテーマを「信頼を取り戻すために一致協力を」から「歴史的転換点における、政策とビジネス戦略のゆくえ」に変更した。』