中国・滴滴、米国上場廃止 株主総会で決定

中国・滴滴、米国上場廃止 株主総会で決定
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM23BS00T20C22A5000000/

『【北京=多部田俊輔】中国配車アプリ最大手の滴滴出行(ディディ)は23日、北京市内で臨時株主総会を開き、米国上場の廃止を決めた。滴滴が抱える走行データなどの米国への流出を警戒する中国当局は米国上場廃止を求めており、滴滴の経営陣も上場廃止を支持するよう株主に促していた。滴滴は上場廃止で事業運営の正常化をめざす。

滴滴の開示によると、ニューヨーク証券取引所(NYSE)からの上場廃止を速やかに進めることを決議した。上場廃止が実現するまで、ほかの証券取引所に上場しないことも決め、中国当局の指導に従って是正措置などに取り組む。

株主総会の結果を受けた23日の米株式市場では、滴滴出行株が前週末比4%安の1.44ドルで取引を終えた。上場廃止の決定は事前に予想されており、株価もすでに上場来安値圏で推移していた。

滴滴はソフトバンクグループや米ウーバーテクノロジーズなどが出資。米国上場時には44億ドル(約5600億円)を調達し、中国企業による米単独上場の調達額としては2014年のアリババ集団(250億ドル)に次ぐ規模だったが、1年も経過せずに上場廃止が決まった。習近平(シー・ジンピン)指導部のネット企業への統制に対し、世界の投資家の不信感が高まりそうだ。

滴滴は21年6月末にNYSEに上場したが、直後の7月2日に中国当局が国家安全上の理由から滴滴への調査に着手した。個人情報の収集や利用で法律などの重大な違反を確認したとして、スマートフォンでのアプリのダウンロードを禁じた。

滴滴の時価総額は一時、700億ドルを超え、配車サービス企業としてはウーバーテクノロジーズに次ぐ規模となったが、中国当局の調査を受けて株価は急落。現在の株価は上場直後の約1割の水準で低迷する。上場廃止によって株式の売買はさらに難しくなりそうだ。

滴滴の21年12月期決算も最終損益は500億元(約9600億円)の赤字で、赤字幅は前の期の5倍近くに拡大した。中国当局の規制強化などで運営コストが増加したのが原因。新規ダウンロードができないため新規顧客の獲得でも競合他社の後手に回った。

中国当局は1年近く前に始めた調査結果をまだ公表していないが、滴滴の経営陣は米国上場廃止後、中国当局の指導に従って事業運営の正常化をめざす。その後、香港証券取引所での再上場を視野に入れる。

中国共産党は4月下旬に開いた中央政治局会議で、滴滴などプラットフォーマーと呼ばれるインターネット大手が手掛ける経済について健全な発展を促進する方針を確認。劉鶴(リュウ・ハァ)副首相は5月17日に開かれた国政助言機関の会議で、ネット企業の海外上場も容認する方針に転換した。

国内外の投資家は習指導部がネット企業に対する統制をどのように転換するのかに注目している。米国上場廃止を受け入れた滴滴が正常な事業展開を実現し、香港上場につなげることができるのか。習指導部のネット企業への統制を変化を占う試金石となる。

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田中道昭
立教大学ビジネススクール 教授
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ひとこと解説

滴滴では躍進の原動力であった柳青COOが中国政府からの統制を受けて21年に退任表明、その後実際に同政府からの米上場廃止指示が明らかになっていました。

レノボ創業会長柳伝志氏の娘でゴールドマンサックス出身の優れた経営者、柳氏退任表明の時点で滴滴は米上場廃止のみならず事業展開自体も厳しい展開になると予想されており、実際にさらに様々な統制を受けて業績も悪化していました。

「個人データの海外流出阻止」が統制の表面的な理由ですが、経済成長・改革路線から格差縮小・国民の批判緩和・政治基盤強化、共同富裕への転換が真意であると受け止められています。

なお、主要メンバーが既に物流事業を行っている所が中国人らしさです。

2022年5月24日 7:21 (2022年5月24日 7:58更新)

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員

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ひとこと解説

ネットのアプリ配車サービスがどのようにして国家の安全保障に影響を与えるかはわからないが、結局、NYでの上場が廃止。

これで米中ディカップリングはもう一歩進む。その結果、中国企業は国内で成長するかもしれないが、グローバル市場に参入しにくくなる。

アメリカの覇権にチャレンジするならば、なぜ自国企業の手足を縛るのだろうか。

否、アメリカの覇権にチャレンジしなくても、これからのグローバルビジネスはwinner takes allだから、中国企業はグローバル競争に勝つ見込みはなくなるのでは

2022年5月24日 7:10 』