ロシア経済「モノ不足」深刻 新車5割高、販売8割減

ロシア経済「モノ不足」深刻 新車5割高、販売8割減
1~3月GDPは3.5%増に減速
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR18E960Y2A510C2000000/

『ウクライナ侵攻を続けるロシアで、米欧の経済制裁による「モノ不足」が深刻になっている。自動車や部品の輸入が止まったことで、4月の新車販売は前年同月から8割減少した。半導体や化学品の禁輸措置は兵器からオフィス用品まで生産現場を直撃している。

ロシア連邦統計局が18日発表した1~3月期の国内総生産(GDP)は前年同期比3.5%増(速報値)と2021年10~12月期の5%増からブレーキがかかった。侵攻が始まったのは22年2月24日で、金融制裁や貿易制限、外資撤退の影響が全面的に出るのは4~6月期が本番だ。

21年、ロシアの自動車生産は156万台、新車販売は166万台あったが、制裁の影響や人道的配慮でロシア・アフトワズ、独メルセデス・ベンツグループ、トヨタ自動車など工場を置く自動車メーカーは生産停止に追い込まれた。

欧州ビジネス協議会(AEB)によると、4月のロシアの新車販売は前年同月に比べ79%減の3万2706台と大きく落ち込んだ。生産停止やインフレの影響で、経済調査会社CEICによると、4月の新車の平均価格は約100万ルーブル(約200万円)弱と1年前から5割値上がりした。

兵器やIT(情報技術)機器に使う半導体の輸出についても米欧や日本は停止した。精密誘導兵器の補給が困難との分析もある。製紙会社が製造工程で使用する化学品の調達も困難となり、コピー用紙なども不足する。

米エール大の調査では侵攻を機にロシア事業を見直した企業は1000社を超えた。ロシアの発電量(7日移動平均、前年同期比)の伸びは22年4月に3.1%(21年は6.0%)、5月は17日までで2.2%(同10.0%)と減速した。

生産・営業活動や市民生活への影響は今後さらに拡大する可能性がある。世界銀行は22年のロシアGDPが前年比で11.2%縮小すると予測する。

(ウィーン=細川倫太郎、真鍋和也)

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諸富徹
京都大学大学院経済学研究科 教授
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分析・考察

これも、戦争の一形態だ。

ロシアから撤退した企業は「参戦」しているのだ。

その売上を放棄するのは高い代償だが、暴力によるウクライナ支配を許せば、その後、どんな世界が現出するのか。企業は活動の自由を失い、資源供給で意のままに操られる。

ロシアの意図を挫くことは、自らの活動の自由を獲得することに直結する。各国の市民も返り血(インフレ)を浴びながら、この闘いを支持するだろう。

ロシアにどう対峙するかで、ドイツの最大州で与党の社民党が大敗し、同じ与党の緑の党が劇的に票を伸ばしたのは、大いなる教訓だ。

かつてNATO脱退を叫んだ緑の党はいまや、自由と民主主義を守るために、ロシアにもっとも強硬な政党に変貌したのだ。

2022年5月19日 20:29 』