米財務長官「失効の可能性高い」 ロシア国債巡る特例

米財務長官「失効の可能性高い」 ロシア国債巡る特例
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB183FJ0Y2A510C2000000/

『イエレン米財務長官は18日、制裁対象のロシアから国債の元利払いの受け取りを認める特例について、「(予定通り25日で)失効になる可能性が高い」と述べた。ロシア国債で債務の支払いが実施されない「債務不履行(デフォルト)」の懸念が強まる。

ドイツで記者会見するイエレン氏(18日)

ドイツで18日開幕の主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議に出席するイエレン氏が現地で記者会見した。ロシア国債を巡る特例について「最終決定ではない」とした上で、失効になる可能性が高いとの考えを明らかにした。「(デフォルトになっても)もはやロシア経済に大きな影響はない」とも述べた。

米政府は金融機関や投資家によるロシア当局や政府系ファンドとの取引を禁止している。ただ米財務省の外国資産管理局(OFAC)は債券や株式の利払いや配当、償還金の受け取りについて25日までは取引を認める通達を出していた。この特例を使ってロシアは元利払いを実施し、デフォルトを回避してきた。

ロシア国債は27日にドル建てとユーロ建てで発行した国債の利払い期限を迎える。猶予期間を経ても米国の投資家が受け取れなければ、デフォルトとみなされる公算が大きい。

格付け機関はすでに格付けを取り下げており、国際的な機関でデフォルトを認定するのは国際スワップ・デリバティブズ協会(ISDA)になりそうだ。ロシア国債の損失を保証するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の支払いが発生するが、規模は小さい。すでに国債の保有者も損失を認識しており、市場への影響は限られるとの見方が多い。

ロシアは自国通貨建て国債で1998年にデフォルトに陥った。対外債務でデフォルトになればボリシェビキ革命後の1918年以来となる。ロシアはすでに海外市場で資金調達ができなくなっているため、短期的な資金繰りに影響を及ぼすわけではないが、デフォルトに陥れば長期に市場復帰を難しくしそうだ。

米国が特例措置を設けていたのは「ロシアからの外貨流出につながる利払いまで止める必要はない」(米上院の野党議員)という判断だった。ただ、ロシアのデフォルト回避を認める特例に異論もあった。イエレン氏は17日、上院で議員の質問に対して「特例を更新しない際の潜在的な波及効果がどれほどのものか積極的に検討を加えている」と発言していた。

またイエレン氏は欧州に対し、ロシア産原油に関税を課すよう提案することを検討しているとも話した。「欧州が最善と考えることを決断するのが重要」との見解を示した上で、「我々には多くの選択肢がある」と強調した。

(ボン=南毅郎、三島大地)』