【解説】ロシアの戦争遂行能力 いつまで軍事侵攻続けられるか カネと武器で見る

【解説】ロシアの戦争遂行能力 いつまで軍事侵攻続けられるか カネと武器で見る
https://www.nhk.jp/p/nw9/ts/V94JP16WGN/blog/bl/pKzjVzogRK/bp/pKAandNwJK/

『ロシアがウクライナに軍事侵攻して5月24日で3か月。

いったいいつまで続くのか。

カギとなるのはロシアの国家としての「体力」です。

ロシアの「軍事」と「経済」、2つの側面からロシアの「体力」について専門家が分析しました。

軍事については、ロシアの軍事・安全保障に詳しい東京大学先端科学技術研究センターの小泉悠専任講師。経済については、ロシア経済に詳しい北星学園大学の金野雄五教授に聞きました。

(聞き手はニュースウオッチ9 為永伸明)

5月17日の放送は5月24日までご視聴いただけます。
【軍事・経済の現状は】

まずはロシア軍の現状について。

小泉さんは、侵攻開始当初の思わぬ大損害が影響し続けていると指摘します。

<東京大学先端科学技術研究センター・小泉悠専任講師>

「開戦翌日の段階でキーウ郊外にあるホストメリ空港というところを空挺部隊で取りに行こうとした。

ここでもウクライナ側の抵抗が非常に激しくて、空挺部隊が大損害を出す。開戦初日から無謀な攻撃に投入して精鋭部隊が壊滅しちゃった。

その後、ウクライナ北部に投入されたのが第1親衛戦車軍です。これも戦車を中心とする陸軍のエリート部隊ですけど、キーウ・ハルキウを攻略することができなくて大損害を受けて撤退した。そこの第1親衛戦車軍の司令官が作戦失敗の責任をとらされて罷免されたのではないか、など相当現場がうまく回ってないんだろうなというような情報が断片的に漏れ伝わってくる。

多分、そういった混乱や損害から十分に立ち直れていないというのが現状だと思います」
一方、ロシアの経済面でみると、金野さんは「残念ながら少なくても今後、1年くらいは戦争を継続する能力が財政的にある」と指摘。

ロシアは、軍事侵攻のあと、欧米各国から厳しい経済制裁を受けています。

しかし、金野さんは戦費などを賄う財政を見ると、黒字が拡大しているといいます。

その理由は、歳入の4割にも及ぶエネルギー収入。

輸出先の半分を占めるヨーロッパは「脱ロシア依存」を表明したものの、依然として輸入を続けています。

<北星学園大学・金野雄五教授>

「(ヨーロッパは)ロシアから天然ガスを輸入する場合、原油もそうですが、パイプラインで輸入しています。

ロシアからのエネルギー輸入を停止して、ほかの国から輸入しようとすると、今度はLNG=液化天然ガスの形で輸入することになりますので、新たな設備が必要になる。

短期間でロシア産エネルギーに代わる供給源を確保するというのは相当難しい。

一方で、中国、それからインドへの輸出量が増えてしまっているということからも当面は(財政収入が)大きく減ることは考えにくい」

【いつまで軍事侵攻を続けられるか】

いつまで軍事侵攻を続ける体力を維持できるのか。小泉さんは「戦線を膠着させて持ちこたえることはありうる」としています。

<東京大学先端科学技術研究センター・小泉悠専任講師>

「ロシアは、やはり燃料や弾薬などは自給できる国ですし、この備蓄量がどうもすさまじいみたいなんですよね。

ロシア軍は、秋の大演習の1週間で10万トンの弾薬を使います。彼らはものすごい量の補給はできる。

ロシア軍が単に戦争を継続する、ウクライナ東部に居座り続けるだけであれば、ある程度の期間は続けられると思うんですよ。ウクライナ東部はロシア本土からも近いですから、兵たんの負担もそれほど大きくなくて済みます。長期にわたってここで戦線膠着させて持ちこたえるということは、ありうると思います」

経済の視点からは、エネルギーをロシアに依存するヨーロッパの対応に注目だといいます。

<北星学園大学・金野雄五教授>

「経済的にここまで苦しくなったら戦争をやめるんだ、というような計算が今のロシアの政権にあるとは考えられないですね。

たぶん財政について言えば、戦費が続くかぎり、やると言うことだと思います。欧州によるロシア産エネルギーの輸入の削減が、どれくらい進んでいくか。ほぼ、その点にかかっている」

【今後のシナリオは】

軍事侵攻の長期化が予想されるなかで今後起こりうることは何なのか。

小泉さんは、プーチン大統領が手段をエスカレートさせる可能性を指摘します。

<東京大学先端科学技術研究センター・小泉悠専任講師>

「恐らく『この戦争を始めるんだ』と言い出したプーチン大統領の政治的意図というのがカギを握ってくると思う。

プーチン大統領が単純に自分の野心を満足させるのかどうか。

戦争を継続する気で、なおかつある程度『勝った』と言えるような状況まで持ってきたいとすれば、そのための手段としては動員を行うか核兵器を使うか。

『男子国民は片っ端から動けるやつから軍隊に招集します』ということをやって、軍隊の規模を今の2倍、3倍にする。

でなければ、核兵器を使って暴力の烈度を一気に上げるか。

このいずれか、あるいはその両方の合わせ技が今後考えられると思いますし、その2つが両方とも排除されない可能性もあると思う」

【焦点は「権力」と「世論」】

そうすると、侵攻はいつ終わるのか。

小泉さんは「プーチン大統領が政治権力をこのまま守れるのか」が重要だといいます。

そして、金野さんは「生活への影響が長引いたときに、ロシア国民の世論が変わるかどうか」が注目だと語っていました。

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