「4月のパキスタン政変の黒幕は陸軍」SNSで批判拡散

「4月のパキスタン政変の黒幕は陸軍」SNSで批判拡散
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGV11B9N0R10C22A5000000/

『パキスタンで4月、当時のイムラン・カーン首相が失脚し、シャバズ・シャリフ氏が新首相に就任した政権交代で、背後に陸軍トップの意思があったと批判する投稿がSNS(交流サイト)で相次いでいる。シャリフ政権はカーン氏の陣営による組織的な攻撃だと主張して取り締まりに乗り出し、複数のブロガーが身柄を拘束されている。

下院の不信任投票は賛成が過半数で、カーン氏の失職が決まった。ツイッターには、国軍トップのカマル・ジャビド・バジュワ陸軍参謀長が何らかの役割を果たしたと非難する複数のハッシュタグが並んだ。多くは、中立のはずのバジュワ氏が、実際にはカーン氏の解任を画策したと示唆している。

地元紙の報道によると、4月中旬までにパキスタンの国語であるウルドゥー語による「(有権者が選んだわけではない)輸入された政府は許せない」というハッシュタグが1700万回、ツイートされた。反軍の意味を持つほかのハッシュタグも多数のツイートがあった。
失脚したパキスタンのカーン前首相の演説を聞く支持者ら(4月21日、同国北部ラホール)=ロイター

「輸入された政府は許せない」というハッシュタグは、カーン氏が率いる政党「パキスタン正義運動(PTI)」が始めた。いまの与党はPTIが偽アカウントを使い、ツイッターのトレンドを作り出したと主張している。

パキスタン陸軍は、シャリフ党首のパキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派=PML(N)をはじめとする野党連合とPTIの対決に関して中立を保つと繰り返してきた。

一方、カーン氏の支持者らはSNSでバジュワ氏を激しく非難してきた。カーン氏によると、与党の議員たちが賄賂を受け取っており、それと引き換えに忠誠心を変えることをバジュワ氏が黙認したという指摘だ。バジュワ氏が米国の要請を受け、カーン氏の失脚を画策したという臆測も広がる。

不信任決議で失脚したパキスタンのカーン前首相(4月21日、同国北部ラホール)=ロイター

カーン氏は2021年、情報機関のトップ人事を巡り、バジュワ氏との関係が悪化したとみられている。その前には、カーン氏が陸軍の支援を受けていたと考えられていた。

インターネット上でのバジュワ氏批判を受け、パキスタンの連邦捜査局(FIA)のテロ対策チームが各地で数回の家宅捜索を実施し、SNS上の活動家を数十人拘束した。PTIのSNS部門の責任者、陸軍などに(ネット上で)組織的な攻撃をしかけたとされる同党の党員も拘束された。拘束を危惧して身を隠すPTIの党員もいると伝えられる。

弁護士によると、数人のPTIの党員は電子犯罪防止法違反の容疑で逮捕された。「ヘイトスピーチ 」で有罪になれば、量刑は最高で禁錮5年になる。

(寄稿 カラチ=ミフラ・ハーク)』