21年度の経常黒字12兆円、7年ぶり低水準 原油高が影響

21年度の経常黒字12兆円、7年ぶり低水準 原油高が影響
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA099BW0Z00C22A5000000/

『財務省が12日発表した2021年度の国際収支統計(速報)によると、海外とのモノやサービスなどの取引状況を表す経常収支の黒字は12兆6442億円と、20年度から22.3%減少した。黒字幅の縮小は4年連続。原油などエネルギー価格が高騰し、貿易収支が1兆6507億円の赤字となったことが響いた。貿易収支の赤字は14年度以来、7年ぶり。

経常収支は輸出から輸入を差し引いた貿易収支や、外国との投資のやりとりを示す第1次所得収支、旅行収支を含むサービス収支などで構成する。8兆7031億円の黒字だった14年度以来の低水準となる。

経常収支の黒字幅は20年度に比べて3兆6231億円減った。輸出額は前年度から25.1%増の85兆4957億円、輸入額は35%増の87兆1464億円で、ともに過去最高となった。エネルギー価格の高騰による輸入額の伸びが輸出額を上回った。

商品別では、輸入は原油を含む原粗油が97.6%増、液化天然ガス(LNG)は58.8%増だった。輸出は世界的な半導体不足により、半導体製造装置が33.9%増と伸びた。鉄鋼は62.7%増、自動車は12.8%増だった。

サービス収支は4兆7960億円の赤字で、02年度以来の低水準となった。赤字幅は前年度と比べ35.5%拡大した。日本企業が海外の検索サイトなどに支払う広告費が膨らんだ。新型コロナウイルスの感染拡大で訪日外国人の旅客数の減少が続いていることも影響した。旅行収支は1914億円の黒字にとどまった。

第1次所得収支の黒字は21兆5883億円と14.7%増え、経常黒字を支えた。海外子会社からの配当金をはじめ直接投資収益の黒字幅が伸びた。

同時に発表した22年3月の経常収支の黒字は、前年同月比2.8%増の2兆5493億円だった。8カ月ぶりに前年同月を上回った。輸出、輸入額ともに単月として過去最高だったが、貿易収支は1661億円の赤字だった。

第1次所得収支の黒字は3兆2603億円と前年同月から75.6%増え、単月として過去最高だった。海外の企業から大口の配当金を受け取る案件があったためで、貿易収支の赤字を補った。
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滝田洋一
日本経済新聞社 特任編集委員
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ひとこと解説

現状はまるで「働けど我が暮らし楽にならざり」の石川啄木の世界です。

経常黒字は前の年に比べて①3兆6231億円減りましたが、その原因は貿易赤字。貿易収支は②5兆4277億円悪化しました。さらにその原因はエネルギー価格の高騰で、石油・ガス・石炭の輸入額は③7兆6755億円増えました。

③より②が小さいのは、エネルギー高騰の一部を他の貿易取引でカバーしたためです。

②より①が小さいのは、貿易収支の悪化を第1次所得収支(日本企業の海外での稼ぎ)の拡大で一部埋めたからです。

これらは企業と従業員の頑張りの成果ですが、エネルギーの重圧には、岸田文雄首相のいう原子力の有効活用を真剣に検討するときでしょう。

2022年5月12日 10:24 (2022年5月12日 10:31更新) 』