苦境地銀に「永久公的資金」 起点は山形・きらやか銀行

苦境地銀に「永久公的資金」 起点は山形・きらやか銀行
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB11E210R10C22A5000000/

※ いよいよ、コロナ不況は、地銀の屋台骨を揺るがす事態をも発生させているようだ…。

※ リーマン事態で分かるように、一旦「金融機関」の「バランスシート」が傷んでしまうと、その回復には「長い時間」がかかることになる…。

※ 日々の「乏しい利益」の中から、「地道に」傷んだ「バランスシート」を回復していかないとならないからな…。

※ 特に、それが「金融機関」の場合、波及するところは大だ…。「返済繰り延べ(再貸付)」の停止、さらには「急に、返済を求める(貸しはがし)」なんかやられたら、たちまちのうちに「倒産」だ…。

※ そういう「苦い経験」があるんで、「早め早めの対応」をしているんだろう…。

『発火点は山形県だった。じもとホールディングス(仙台市)傘下のきらやか銀行(山形市)が金融機能強化法に基づく公的資金を申請する検討に入ったことが11日、分かった。新型コロナウイルス禍で地域経済を下支えするため、銀行の申請のハードルを下げた公的資金の「コロナ特例」の第1号となる見込みだ。

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特例による公的資金は通常15年の返済期限を事実上撤廃したいわば「永久公的資金」。果たしてコロナ禍からの回復に向けた特効薬になるのだろうか。

「ポストコロナを見据えたら、資本が足りなくなる。早め早めに対応する」。金融当局関係者は公的資金の申請を検討するじもとホールディングスの動きについて、苦渋の表情を浮かべた。

じもとホールディングスとSBIホールディングスは資本提携をして収益力の向上を目指している。きらやか銀行が2021年3月期に最終赤字を計上したものの、健全性を示す自己資本比率は行政処分を受ける最低基準の4%を大きく上回る8%台をキープしている。

それでも、公的資金を検討するきっかけになった理由は2つ。ひとつは「有価証券運用の苦戦」(関係者)だ。米国の金融政策が利上げへ大きく動き、ロシアによるウクライナ侵攻が世界の市場を混乱させた。世界的な金利上昇で保有する外国債券の価格が下落し、経営を圧迫した。

だが、公的資金に頼る理由はそれだけではない。もうひとつの理由は、ポストコロナを見据えた企業再生がこれから本番を迎えることだ。今までは政府による財政支援が企業を支えてきたが、いつまでも続くわけではない。企業の再生を後押しする役割は金融機関に託され、不良債権処理を迫られる場面も今後増えることになる。

そんな金融機関を支えるため、金融庁が2年前の2020年に用意した切り札が、金融機能強化法の改正案だった。その目玉が公的資金の「コロナ特例」だ。

コロナ特例は収益性や効率性の目標を求めず、経営責任も求めない。それまでの公的資金の原則とは一線を画していた。最大の違いは15年以内に返済を求めていた期限の事実上の撤廃。いわゆる「永久型」に転換したことだ。

この狙いは自己資本不足で貸し渋りや貸しはがしを起こさないようにすること。銀行に対して甘い措置にも見えるが、コロナ禍で落ち込む企業を銀行が支え続けられるようにするための安全網だった。

もっとも、公的資金で地銀を支え続けることが健全であるとはいえない。きらやか銀行が公的資金を申請するのは、リーマン・ショック後の09年、東日本大震災が起きた後の12年、そしてコロナ・ショック後の今回と3度目になる見込み。公的資金に依存する状況が恒常化しているようにもみえる。

厳しい経営環境のなかで公的資金への依存から脱却していくためには、地銀の大胆な統廃合などが欠かせない。公的資金がそうした動きを後押しするのではなく、経営不振の地銀を温存するために使われるのだとすれば、地域金融の将来は暗い。

永久公的資金を使ってどのように自らを変革させていくのか。経営責任を問われないとはいえ、将来の青写真を投資家や納税者に示す義務までが経営者から免除されるわけではない。

(金融エディター 玉木淳)』