米情報長官「プーチンは長期戦準備」、東部制圧でも継続

米情報長官「プーチンは長期戦準備」、東部制圧でも継続
NATO介入なら核使用のおそれ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1109K0R10C22A5000000/

『【ワシントン=坂口幸裕】米情報機関トップのヘインズ国家情報長官は10日、ウクライナへの攻撃を続けるロシアのプーチン大統領が長期にわたって侵攻する準備をしているとの分析を明らかにした。現在、戦力を集中させる東部地域を制圧しても他の地域を支配するため戦闘を継続するとの見方を示した。

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同日の上院軍事委員会の公聴会で「プーチン氏は紛争を長期化させる準備をしており、(東部)ドンバス地方(の制圧)を超えて目標を達成するつもりだ」と表明した。「(東部に戦力を)集中させたのは主導権を取り戻すための一時的なシフトにすぎない」と語った。

国防総省高官は10日、ウクライナ東部や南部でのロシア軍の侵攻について「2週間以上遅れている。どう展開しようとしているのか明確でない」と述べた。ロシアが3月中旬に初めて発射した極超音速ミサイルをすでに10~12回使ったとの見解も示した。

プーチン氏は核使用も辞さない構えをみせ、ウクライナへの武器支援を増強する米欧に停止を迫っている。ヘインズ氏は「北大西洋条約機構(NATO)が事実上介入し、ウクライナでの戦争に敗北しそうな一因になっていると認識すれば、核を使用する可能性がある」と明言した。

ロシアが劣勢にあると判断すれば戒厳令を発動し、軍事行動をエスカレートさせるおそれがあるとも強調。一方、現時点で「プーチン氏による核兵器使用の可能性は差し迫っている状況にはない。政権が存亡の危機にない限り、核兵器を使うことはないだろう」と唱えた。

ロシア軍は首都キーウ(キエフ)周辺から撤退し、東部ドンバス地域で攻勢を強める。米欧は地上戦拡大に備えたウクライナの防衛態勢を強化するため、重武装できる軍事支援に乗り出した。ヘインズ氏は「これから数週間は西側諸国によるウクライナへの軍事支援拡大を阻止するため、核に言及し続けるとみられる」と説明した。

ウクライナ南部のオデッサや隣国モルドバの親ロシア派が実効支配する都市など黒海沿岸への支配地域の拡大をめざしているとも訴えた。海上輸送路の封鎖でウクライナ経済に打撃を与える狙いがあるとみられる。「これから1〜2カ月間の戦闘はロシアが反転攻勢をめざすうえで重要な意味を持つ」と話した。

ウクライナの侵攻はロシアの想定通りには進んでいない現状でも「ロシアは敵よりも困難に耐える能力と意欲があると判断しているようだ」と指摘。「食糧不足やインフレが悪化するほど米欧によるウクライナ支援が脆弱になると期待している」と説いた。

東部地域などで戦闘は激しさを増しており、ロシアとウクライナによる停戦協議は停滞している。ヘインズ氏は「少なくとも短期的には実行可能な交渉の道筋は見えない」と言明した。』