「戦勝記念日」前夜、プーチンは敗北を認めざるを得ないだろう

「戦勝記念日」前夜、プーチンは敗北を認めざるを得ないだろう−−ウクライナ元将校|テレ朝news-テレビ朝日のニュースサイト
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000253508.html

 ※ これ読むと、どうも「スゲー話し。」になっているようだ…。

 ※ 「手足が、※※ている遺※。」とか、衝撃だろうな…。

 ※ どうも、世間に流通している日本のマスコミ・メディアは、「ヌルい…」な…。

『ANN元モスクワ支局長 武隈喜一(テレビ朝日)

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◆5月9日の「対独戦勝記念日」にプーチン大統領が総動員令を出すのではないか、と伝えられているが。

たしかに、ロシアが動員令を発することなしに戦況を変えることは不可能になっているが、総動員令はプーチンにとって、自分の頭を撃ちぬくようなものだ。

総動員令を出すためには、「戦争宣言」をおこなわなければならない。現在は「戦争」ではなく「特別軍事作戦」だ。

だが一般のロシア国民は、伝説的な「不敗のロシア軍」に期待をかけている。それなのに、プーチンが「ロシア人よ、銃を取って前線へ出ろ。軍がうまくいっていない。成果を出せていない」と言ったら、プーチンにとって最悪の結果を招くだろう。

5月9日には国境付近のいくつかの州レベルでロシアが動員令を出すことはありうるだろう。

ロシアは「偽旗作戦」を使って、これまでにも州内での爆発、火災などを「ウクライナによるテロ行為だ」と言って、人びとを動員すべく準備を進めてきたからだ。

5月9日にはプーチンは何らかの「勝利」を宣言しなければならないが、それは「新たな戦争」宣言ではないはずだ。それはロシア国民の失望につながるだけだ。ロシア全土での総動員令はありえない。

ロシアの田舎では、ウクライナでの「特別軍事行動」は遠い出来事だと受け止められてきた。

しかし地方ではいま別の問題が起きている。

シベリアのブリヤートには大きなスポーツ施設があるのだが、そこが葬儀所になっていて、供花が撤去される間もなく、兵士の棺桶が次から次に運ばれてきている。

兵士の遺体がようやく家族の元に届けられるようになってきているのだ。

わたしの得た情報によれば、ポーランドとの国境付近の飛び地、カリーニングラードに、昨日(4月29日)11体の遺体と34人の傷病兵が着いた。負傷兵のほとんどが手足を失っている。負傷兵たちも徐々に戦場での本当の出来事を語り始めるだろう。

◆安全保障会議のパトルシェフ書記が、ロシア南部の行政機関に、防空壕や避難所のチェックをするよう通達をだして、地元住民の不安が高まっている。

ロシアはウクライナ人を「狂暴な民族主義者、ファシスト、テロリスト」と呼んでいる。
だから、自作自演の火事や爆発を引き金に地域限定的な「戒厳令」を出すことは時間の問題だろう。だがこれも逆効果になりうる。ロシア国内に相当数の難民が発生する可能性があるからだ。これは深刻な国内問題になる。

プーチンは最近ますます安全保障会議書記パトルシェフに信頼を寄せ、全権を任せるようになってきている。

パトルシェフはクレムリンの権力闘争で勝ち残っていくようだ。

もしプーチンが手術などで大統領職を一時的に離脱する場合、核のボタンはパトルシェフに移譲されることになっている。

つまり、FSB(KGBの後身の連邦保安局)は初期の失敗の責任を、うまく国防省に押し付けたようだ。

元FSB長官だったパトルシェフが、プーチンの信頼を利用して、軍幹部が懲罰対象となるように仕向けたのだろう。

現在、ロシア国内でもっとも力をもっているのは、FSBと国家親衛隊だ。

国家親衛隊も戦闘には加わったが、常備軍ほどの数ではない。国防省は「シロビキ」(力の組織)の中では最も立場の弱いグループになった。

◆前線はどうなっているのか。ロシア軍は最大の攻撃をかけてくる、といわれていたが。
現状ではロシア軍はウクライナ軍に対して最大限の圧力をかけている。

未確認情報だが、ゲラシモフ参謀総長がイジュームに来たようだ(米国防総省も訪問を確認)。現地部隊にハッパをかけ、5月9日までにどこでもいいから突破口を開かせたいのだ。だが、前線は膠着状態で5月9日までには無理だろう。

ウクライナ参謀本部によれば、ロシア軍は国境地域に残っていたおよそ2万の兵員補充をおこなって、部隊を国境からウクライナ領へ進軍させた。

参謀総長が来て、計画いっぱいの補充をおこない、軍を転戦させたわけだから、総攻撃を仕掛けてくるだろう。

◆参謀総長が現場に来るというのはどういう意味があるのか。

これはプーチンの命令ではなく、ゲラシモフ自身の判断だろう。

自分のキャリアを守る最後のチャンスだ。もしドボルニコフ将軍が作戦の指揮を任されているとすれば、二人は競い合うことになる。

ドボルニコフ将軍が作戦司令官を任されたというのは西側のメディアが報じているだけで、ロシア国内には確実な情報がない。

いずれにしても、二人は同じ釜のメシを食い、同じ戦場で戦ってきたライバルだ。

ゲラシモフ参謀総長は今回「電撃戦」に失敗した。

一方ドボルニコフ将軍は、ゲラシモフの地位を狙える立場だ。

ゲラシモフが来たのはプーチンの命令ではない。

われわれはこの二人がどう競いあい、それぞれがどの軍を指揮するのか、注意深く見守っている。

ショイグ国防相は、すでにプーチンの信頼を失っている。

パトルシェフとドボルニコフがショイグ国防相の追い落としを図ったのだろう。

ショイグはプーチンの不興を買ったため、政治生命は完全に断たれた、という者もいる。当分姿を現すことはないだろう。

戦況は、シーソーゲームだ。敵が攻めてくればわれわれは引き、敵が引けばわれわれが攻める。

いずれにせよ、ウクライナ軍が有利だ。防御戦だからだ。損耗はロシア軍の方が大きく、兵力もギリギリだ。

われわれは防御しながら敵に陽動作戦を仕掛けている。われわれは多少でも戦闘能力の向上を図ることが可能だが、ロシア側は、この攻撃のためにかき集めた戦力も底をつきつつある。

あと7日から10日はまだ戦闘可能だが、その後は再度補充が必要となる。

得てして軍人ではなく政治家が戦争を指導するとロクな結果にならない。現状を見る限り、命令はすべてプーチンが下している。

戦場の論理と思想によってではなく、プーチンの政治的判断だ。つまり、どんな犠牲を払おうとも5月9日をめざせ、ということだ。だからこそウクライナ軍には有利な情勢なのだ。

プーチンは赤の広場でロシア国民に演説をしなければならない。すでに言ったように総動員令を発することは身の破滅となる。

プーチンはこの特別軍事作戦が失敗したことを認めざるをえないだろう。

いく人かの将軍は、プーチンに第二段階の作戦は中止し、戦闘能力をもつ部隊を残すべきだと進言する報告書を作成したようだ。

この報告はゲラシモフ参謀総長やショイグ国防相を経ず、パトルシェフ安全保障会議書記が直接プーチン大統領に届けた。

プーチンは「勝つはずだ」という妄想にとらわれているから、もし敗北を認めるしか残されていないとすれば、その絶望と精神的な圧迫はとんでもなく大きいだろう。

◆プーチンはいつ敗北を認めざるをえなくなるのか。

5月9日の前夜だ。5月7日か8日、軍の指導部が来て、「われわれは課題を遂行できなかった」という報告を受ける時だ。

その後、プーチンがどうするのか、わたしにはわからない。これはロシアの内政の決定的な転換点となるだろう。軍事パレードを中止するのかどうか。今回ロシアのいくつかの町ではウクライナで戦死した兵士の遺影を、その家族が胸に抱いて行進することになっている。

◆ベラルーシのルカシェンコ大統領もパレードには行かないようだが。

ルカシェンコは先日、ポーランドとの国境に軍を配備した。

5月1日から始まるポーランドの演習に備えるためだというが、これによって、ルカシェンコはウクライナと戦う意思はないことを示したのだ。

ルカシェンコは、身の安全さえ保証されれば、西側との協力も惜しまない姿勢だ。ロシアというタイタニックは沈没しかけている。ベラルーシは中国との関係が深いので、西側よりも、中国を頼りにする可能性はある。軍事部門を含めた共同計画も多い。

◆モルドバのトランスニストリア(沿ドニエストル)地方はどうなるのか?

トランスニストリアはすでに使い古されたカードだ。

ウクライナのオデーサに向けた第二戦線を開こうという試みは成功しないだろう。

われわれはオデーサの軍配置を変えるつもりはない。

トランスニストリアはNATOから厳しい警告を受けた。米軍の戦術部隊がいざという時に備えてルーマニア・モルドバ国境に投入された。もちろんNATOはこの戦争とは距離を置く姿勢を変えていないが。

現状ではトランスニストリア地方のロシア軍は全モルドバ軍よりも強力だ。だが、大事なことは、ついにモルドバがロシアに対する制裁に加わったことだ。ルーマニアもモルドバへの財政支援を決めた。

◆米議会がようやくレントリース法(武器貸与法)を可決し、ドイツもようやく重火器の提供を決めたが。

まず重火器類はすぐにウクライナに届くわけではない。そして迫撃砲と違って2,3時間の教習で習得できるものでもない。

スペシャリストが西側のシステムを習得する必要があるが、何とかなる。西側での教練も進んでいる。

ドイツのラムシュタイン米空軍基地には武器を積んだ輸送機が次々にやってきている。民間の飛行場より忙しいくらいだ。4月26日のラムシュタインでの40カ国国防相会議の後、空軍基地は24時間体制で動いている。あとはウクライナ国内への輸送とスペシャリストの教習だけだ。

戦争というものは、軍改革には最高の時間で、この戦争によってウクライナ軍は旧ソ連の軍事体系から離れて、全面的に西側の軍備とシステムに移行することができる。

この8年、われわれはNATO標準への移行を議論してきたが、ようやく実戦で移行できるようになった。この戦争によってウクライナ軍はまったく別の、西側的な軍隊に生まれ変わった。

これまではロシア領内に届く長距離砲がなかったが、西側の援助で手に入れば、われわれもロシア領内の武器庫や輸送線を叩くことができるようになる。これは大きな利点だ。

ロシア側にも空襲警報が鳴り響くことになる。戦争がどういうものかを実感するだろう 。』