マスク氏「日本はいずれ存在せず」 出生率低下に警鐘

マスク氏「日本はいずれ存在せず」 出生率低下に警鐘
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『【シリコンバレー=白石武志】米テスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏は7日、ツイッターへの投稿で「当たり前のことをいうようかもしれないが、出生率が死亡率を上回るような変化がない限り、日本はいずれ存在しなくなるだろう」と述べた。かねて世界の出生率の低下傾向に警鐘を鳴らしてきた同氏だが、日本に言及するのは珍しい。

2021年10月1日時点の日本の総人口が前年から64万4000人減の1億2550万2000人となり、過去最大の落ち込み幅となったことを伝えるニュースに反応してコメントした。テスラは電気自動車(EV)向けの電池でパナソニックと提携するなど、日本との関わりが深い。マスク氏は「世界にとって大きな損失となるだろう」と付け加えた。

マスク氏は17年ごろから「世界の人口は崩壊に向かって加速しているが、ほとんどの人は気にもとめていないようだ」と度々指摘してきた。19年に中国で開かれたイベントで対談したアリババ集団創業者の馬雲(ジャック・マー)氏とも人口減をめぐる議論で意気投合している。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)により、一部の国では出生者数が歴史的な減少をみせた。マスク氏は米ネットメディアが21年9月に米ロサンゼルスで開いたイベントに登壇した際には「人類の文明にとって最大のリスクは急速に低下する出生率だ」と述べている。

文明レベルの危機を嗅ぎとり、社会に課題解決策を示すのがマスク流の起業術だ。人口減や高齢化に備え、21年にはテスラの新たなプロジェクトとして人に代わって雑用をこなすヒト型ロボット「オプティマス」の開発に乗り出した。株式市場では実現可能性や収益性を疑問視する向きもあるが、マスク氏は「経済の根幹にあるのは労働力だ」と大真面目だ。

テスラでは23年のヒト型ロボットの試作品の完成をめざし、人工知能(AI)分野の人材採用に力を入れている。マスク氏は22年4月の決算説明会では「オプティマスは最終的に自動車事業よりも価値があることが理解できるだろう」と述べている。

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説

このくらいショッキングな警告を発していかないと、人口問題への危機感は日本国内で高まらないのかもしれない。

「人あっての経済」と強く認識している筆者は、生産年齢人口ひいては総人口の減少トレンドが日本の経済・社会・財政などに及ぼす甚大な悪影響について、長く警告を発してきた。

だが、人口減・少子高齢化というのは、いわば「クライマックスのない危機」である。日々じわじわと事態が悪化していくので気づかれにくく、危機感に裏付けられた果断な政策対応がとられにくい。

人口問題に正面から取り組まない時間がずいぶん長くなってしまった。外国人材へ門戸を開こうとしたものの、コロナ禍で止まった。マスク発言への反響に注目したい。

2022年5月9日 7:20

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福井健策
骨董通り法律事務所 代表パートナー/弁護士
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分析・考察

まさに「ニュースとは何を言うかではなく、誰が言うかだ」を地で行く世間の反応ですね。

彼は本当は日本に特化した話をしている訳ではないはずですが、これが「急速な人口減少は世界の危機だ」というツイートなら、日本では記事にもならず、日本人は誰も反応しなかったでしょう。「マスクが日本が消滅と言った」から反応する。そして、それで終わりです。

絡みあう要因や、(恐らくは)もっと複雑なその影響評価をそぎ落とした軽い言葉ばかりが急速に広まり、なにか短絡的な反応を生む。それは短絡的ゆえに、よい結果は何も生まない。

「当たり前のことをいうよう」ですが、記事を読みながら、そんなことを考えました。

2022年5月9日 7:37 』