アクシズは中国を落とすか

アクシズは中国を落とすか
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『1.日英首脳会談

5月5日、イギリスを訪問中の岸田総理は、イギリスのジョンソン首相と首脳会談及びワーキング・ランチを行いました。

会談の冒頭、岸田総理は、ジョンソン首相と再会できて嬉しい、エリザベス二世女王陛下の在位70周年に祝意を表する旨述べ、日英関係はかつてなく緊密であり一層協力を深化させていくこと、また、ロシアによるウクライナ侵略に対しG7が結束して国際社会を主導し対露制裁やウクライナ支援に尽力していくことで一致。ロシアへの対応としてG7で結束し制裁を強める考えを確認しました。

また、両首脳は、自衛隊とイギリス軍部隊の相互往来をスムーズにする「円滑化協定(RAA)」交渉について大枠合意。インド太平洋地域で軍事力を拡大している中国への対応を念頭に、共同訓練などの安全保障協力を強化するとしています。

これについて、ジョンソン首相は「欧州での専制主義的、威圧的な大国の行動が東アジアでも起こり得る」と覇権主義的な動きを強める中国を牽制しました。

2.日英円滑化協定

日英円滑化協定は、自衛隊とイギリス軍部隊間の共同運用・演習・活動のため法律や行政上の手続を相互に改善する取決めについて定めるもので、締結すれば、アメリカ、オーストラリアに続いて3ヶ国目になります。

オーストラリアとの間に結ばれた日豪円滑化協定は、2014年7月に交渉開始、2020年11月に大枠合意したのですけれども、主な内容は次の通りです。

日豪の一方の国の部隊が他方の国を訪問して協力活動を行う際の手続及び同部隊の地位等を定める。
●訪問部隊、その構成員等が、接受国において接受国の法令を尊重する義務
●訪問部隊の船舶・航空機等によるアクセス、訪問部隊の構成員等の出入国時の手続
●輸入時や滞在中の資材等の取得・利用の際の課税の扱い(免税等)
●運転免許、資格、武器の携帯、武器の輸送等の滞在中の活動に関連する取決め
●協力活動参加のための自国の費用の負担等
●環境、人の健康等の保護に適合する方法による協定の実施
●訪問部隊の構成員等が関係した事件・事故発生時の対応等
●両締約国の協議機関としての合同委員会の設置

日英円滑化協定については、昨年9月から、両国間で正式交渉を始めたばかりで、日豪円滑化協定の交渉開始から締結まで6年掛かっていることを考えると締結までそれなりに時間がかかるのかもしれません。

3.プーチンを成功させてはならない

日英首脳会談前日の5日、ジョンソン首相は、ロンドンの首相官邸で読売新聞の単独インタビューに応じています。

ジョンソン首相は、ロシアのウクライナ侵攻について「プーチンを成功させてはならない。そうでなければ他の権威主義国家に侵略の免許証を与えることになってしまう」と強調しました。

また、2020年にイギリスがEUを離脱した後、インド太平洋地域への関与拡大を進めてきたことについて「正しいことだ」として路線見直しの必要はないと述べました。

その上で、ジョンソン首相は「ウクライナの出来事と台湾や南シナ海で起きることには直接的な関連性がある」とし、「欧州と東アジアの安全保障は不可分だ」との認識を示しました。

更にジョンソン首相は、中国の外交姿勢を巡り、3月に習近平主席と電話会談した際、「ウクライナ侵攻についてロシアを支持するのは戦略的にも政治的にも誤りだ」と直接伝え、プーチン政権との関係見直しを迫ったと明かしました。

そしてロシアへの制裁を巡っては「岸田首相は非常に強力な立場をとった。日本が圧政と侵略に対して強く立ち向かったことは非常に重要だ」と日本政府の対応を称賛しています。

4.習近平の妨害と破壊行為を評価する法案

4月27日、アメリカ下院は「習近平の妨害と破壊行為を評価する法案(Assessing Xi’s Interference and Subversion Act)」を、394対3の賛成多数で可決しました。

この法案は、国務長官に対し、法案成立後30日以内に、ウクライナを侵攻したロシアに中国政府が支援したか、またロシアの制裁逃れに協力したかについて調査報告書を議会に提出することを求めるものです。国務長官は更に3ヶ月ごとに調査報告書を提出する必要があると定めています。

この法案はその頭文字を取って枢軸法案(AXIS Act)とも呼ばれているのですけれども、この枢軸法案が報告を定めている具体的な内容は次のとおりです。

・中国がロシアのプロパガンダに協力したかどうか
・中国が情報や軍事技術の面でロシアを支持したかどうか
・外交でロシアを支持したかどうか
・金融や輸出入でロシアを支持したかどうか等

この法案を提出した共和党のアンディ・バー下院議員は、27日の下院本会議で「中国共産党とロシア政府の同盟関係は新たな『悪の枢軸(AXIS)』であり、アメリカと法に基づく国際秩序に脅威を与えている。我々は立法者や国民に明示するために、中露間の協力関係に関する完全な調査報告書を必要としている」と述べました。

これについて、民主党のディーン・フィリップス下院議員は、ロシアのウクライナ侵攻が始まって以降、中国政府は未だにロシアを非難していないと指摘。フィリップス下院議員は中国政府はウクライナ情勢に関するロシア側のプロパガンダや虚偽情報の流布にも協力し、ロシアがウクライナに軍事侵攻した根本的な原因はアメリカにあると宣伝していると糾弾しています。

この法案は上院で審議され可決すれば、バイデン大統領の署名を経て成立する見通しとなっています。

著名youtuberである「Harano Times」氏によると、この枢軸法案を受け、4月22日に、中国人民銀行と中国財務相は中国主要銀行と中国で経営活動をしている海外銀行の上層部を集めて緊急会議を開いて、欧米が中国に対して金融制裁を実施した時、中国の海外金融資産をどうすれば制裁逃れできるのかについて議論したと伝えています。

けれども、議論では「回避できない」という結論になったとしています。そして、会議に参加した中共の関係者は、同じく会議に参加した銀行の担当に海外にある資産、特に海外で保管している1兆ドルの外貨準備をどう制裁から守るのかと質問したものの誰も答えられなかったと伝えています。

この情報の真偽はともかく、実際にアメリカ下院で枢軸法案が可決されたことと、一連のジョンソン首相の発言をみると、英米はロシアだけでなく、中国も一緒に包囲、あるいは弱体化しようと、水面下で連携して動いているのではないかという気さえしてきます。

対ロシア制裁の裏で動きだした、習近平を監視する枢軸法案。その行方に注目です。』