米中間選挙、注目州で予備選が本格化 党内の趨勢占う

米中間選挙、注目州で予備選が本格化 党内の趨勢占う
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『【ワシントン=中村亮】11月の米中間選挙に進む候補者を決める予備選が本格化してきた。民主党は内部でリベラル派と穏健派が対立し、共和党もトランプ前大統領との近さをめぐり勢力が割れる。予備選の勝敗は党内の趨勢を左右する。

中間選挙は4年に1回実施し、今年は11月8日が投票日にあたる。連邦議会では上院の3分の1と下院の全ての議席が改選になる。州知事も改選を迎えるケースが多い。民主党と共和党は予備選を通じ、原則として11月の本選に進む候補者をそれぞれ一人に絞る。予備選の時期は州ごとに異なり、最も早い南部テキサス州は3月1日に実施した。

5月3日に投開票した中西部オハイオ州の予備選では共和党に注目が集まった。複数の米メディアによると上院の議席をめぐり、米国の白人労働者階級の窮状を描いて日本でも話題になった「ヒルビリー・エレジー」の著者、J.D.ヴァンス氏が勝ち抜いた。トランプ氏の支持を得て、支持拡大につなげた。

予備選の結果は共和党におけるトランプ氏の影響力を示す試金石となる。トランプ氏が支援する候補が相次いで敗れれば、求心力が下がっているとも解釈できるからだ。その場合は可能性を探っているとみられる2024年の大統領選への出馬に逆風となるとの見方が出ている。

トランプ氏の次の関門は24日の南部ジョージア州の予備選だ。現職のブライアン・ケンプ州知事の勝敗が焦点になる。ケンプ氏は2020年の大統領選で、トランプ氏からジョージア州での敗北を覆すよう促されたが拒否した。トランプ氏はケンプ氏を痛烈に批判し、州知事をめぐる予備選では対抗馬のデビッド・パーデュー元上院議員を支援している。

民主党では17日に開く西部オレゴン州下院5区の予備選をめぐり、穏健派の現職がバイデン大統領の支持を得た。一方でリベラル派の代表格であるエリザベス・ウォーレン上院議員らは大企業に批判的なリベラル派候補を推す。テキサス州や東部ニューヨーク州でも穏健派とリベラル派が争う選挙区がある。

バイデン政権が看板政策と位置づけた大型歳出法案や投票権保護法案は穏健派とリベラル派の対立で相次いで頓挫した。予備選でリベラル派の優勢が浮き彫りになれば、バイデン氏は政権運営でリベラル派への目配りを増やす必要が出てくる。リベラル寄りの政策を打ち出すほど共和党が反発し、バイデン氏が公約に掲げてきた米社会の分断修復がいっそう難しくなるのは確実だ。

中間選挙では、上下両院で多数派を握っている民主党が劣勢との見方が多い。米政治サイトのリアル・クリア・ポリティクスによると、バイデン氏の支持率は3日時点で41.6%に低迷する。物価高が国民の不満を招いており、共和党は不法移民対策や教育政策でも民主党を批判している。

10年の中間選挙で、オバマ大統領が率いる民主党は下院の60議席以上を失って歴史的な大敗北を喫した。当時のオバマ氏の支持率はおおむね45%程度で、バイデン氏の支持率は現時点でオバマ氏を下回っている。

人工妊娠中絶の権利が中間選挙の争点に浮上し、バイデン氏は巻き返しを狙う。米ポリティコによると、連邦最高裁判所が中絶の権利を認めた1973年の判決を覆す可能性が高まっている。

民主党は判事の承認権限を持つ上院で多数派を失えば、判事に空席ができた場合にバイデン氏が指名した候補を承認できないシナリオが現実味を帯びる。バイデン氏は最高裁で中絶に否定的な見解を持つ保守派判事の影響力がさらに高まりかねないと訴え、支持者に投票を促していくとみられる。』