米、3月の対ロシア輸出8割減 経済制裁で圧力強める

米、3月の対ロシア輸出8割減 経済制裁で圧力強める
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN033UL0T00C22A5000000/

『【ワシントン=鳳山太成】米商務省が4日発表した3月の貿易統計(通関ベース)によると、ロシアへのモノの輸出は1億100万ドル(約130億円)と前年同月比78.8%減った。バイデン政権はハイテク製品の供給を絞るなどの経済制裁で、ウクライナに侵攻したプーチン政権への圧力を強める。

対ロシア輸出の減少率は2月の16.4%から大幅に拡大した。バイデン政権は2月下旬、侵攻開始と同時に半導体などハイテク製品の輸出を事実上禁じた。商務省高官によると、3月下旬までに規制品目の対ロシア輸出が前年同期比99%減った。

高級品の輸出も3月中旬、米欧日が共同で禁じると表明した。米国の対象は自動車や宝石、衣類など年5億5000万ドルの輸出に相当する。

ロシアからの3月の輸入は27億4600万ドルと7.5%増えた。伸び率は2月の50.3%から縮んだ。

バイデン政権は3月上旬、ロシアの収入源を断つため同国産の原油や石炭などエネルギー製品の輸入を禁じた。企業が既に結んでいた契約分は4月下旬まで輸入を認めたため、本格的な影響が表れるのは5月以降とみられている。

さらに米欧日は世界貿易機関(WTO)ルールに基づくロシアの「最恵国待遇」を取り消す制裁に乗り出した。米国では4月9日、輸入品への関税が平均3%から30%超に上がった。魚介類やダイヤモンド、ウオッカなどロシアの主力産品の輸入も止める。

米国の輸出、輸入に占めるロシアの比率はそれぞれ1%以下にとどまる。米経済への影響は限られる一方、ロシア経済にピンポイントで打撃を与えて侵攻継続を難しくする狙いがある。同国ではハイテク製品を調達できず、戦車の生産が止まるなどの支障が出ている。

米国の貿易赤字全体は膨らんでいる。3月は1271億ドル(季節調整済み)と前月に比べて19.2%増えて過去最大を記録した。

堅調な個人消費を背景に、輸入が2963億ドルと11.9%増えて過去最大となった。輸出も欧州向けなどがけん引して7%増え、過去最大の1692億ドルと伸びているものの、輸入の増加ペースには追いついていない。

貿易赤字の拡大は米国の経済成長率を押し下げる要因として働いている。1~3月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は前期比年率換算で1.4%減った。
多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
コメントメニュー

分析・考察

アメリカの対ロ輸出が減るのは制裁の効果だが、アメリカからの輸出が減った分は中国などに代替される可能性がある。

ロシアは原油やガスを売り続けている限り、国際決済に必要な外貨を取得することは可能であり、その外貨はSWIFTを通じて決済することは難しくなっても、全く不可能ではないため、制裁に参加していない国からの輸入を増やすことに使われる。

こうした変化が世界の貿易の流れを決定的に変えるとは思わないが、ロシア経済を中国経済と強く結びつける結果にはなるだろう。

2022年5月5日 7:42』