日英が「円滑化協定」で大筋合意へ 5日の首脳会談で

日英が「円滑化協定」で大筋合意へ 5日の首脳会談で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR0500J0V00C22A5000000/

『【ロンドン=秋山裕之、中島裕介】英国を訪問中の岸田文雄首相とジョンソン英首相が5日のロンドンでの首脳会談で、交渉中の「円滑化協定」で大筋合意する見通しとなった。
英首相官邸が4日夜、明らかにした。同協定により自衛隊と英軍の共同訓練の機会を増やし、覇権主義的な行動を強める中国やロシアの抑止につなげる。

円滑化協定は自衛隊と英軍が互いの国を訪問しやすくするのが狙い。

一般的に、共同訓練などでお互いの国を訪れる際の手続きの簡素化や、相手国内に入った部隊の法的立場などを規定する。相手国の法令を守ることを前提に、船舶や航空機で部隊が入国する際の手続きも簡便になる。

滞在中の事件や事故の対応も盛り込まれるとみられる。

1月に署名した日豪間の協定では、日本国内で豪軍が訓練する場合、公務中なら裁判権はオーストラリアがもち、公務に従事していない間は日本の法律を適用する。

日英間の協定の詳細は明らかになっていない。英政府は「日英の協力を可能にし、英国のインド太平洋への関与を高める」としている。今後、両政府は署名に向けた詰めの作業を加速する。協定が発効すれば日本にとっては地位協定を結ぶ米国、1月に署名した豪州に続き3カ国目となる。

首脳会談ではアジアでの再生可能エネルギー普及の協力でも合意する見通し。軍事侵攻を続けるロシアの化石燃料への国際的な依存度を低減させる狙いだ。英政府は日本との貿易関係の強化のために、元閣僚級の貿易特使も新たに任命する予定だ。

岸田首相は日英首脳会談に先立ち、金融街シティーの歴史的建造物ギルドホールで演説する。自らが掲げる「新しい資本主義」を市場関係者に説明し、日本への投資を呼び込む。
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Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Politics/International-relations/Japan-and-U.K.-set-to-agree-on-defense-exercises-pact?n_cid=DSBNNAR 

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伊藤さゆり
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事
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別の視点

ジョンソン政権はEU離脱後の英国のビジョンとして「グローバル・ブリテン」を掲げる。
米中対立の深まりやロシアの軍事侵攻などの外部環境もあり、外交・通商・安全保障政策では次々成果を上げている。

しかし、「グローバル・ブリテン」戦略の成果は、ジョンソン政権の支持にはつながっていない。コロナ規制下での首相官邸でのパーティー開催をめぐる「パーティーゲート」の影響は燻り、英国民は経済の先行きへの懸念を深めている。世論調査では、与党・保守党は最大野党・労働党にリードを許し続けている。

今日5日投票が行われる地方選挙でも、保守党にとって厳しい結果が予想され、首相の辞任圧力が盛り返す可能性がある。

2022年5月5日 11:19

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

EU離脱した英国は、脱亜入欧とは逆に脱欧入亜を目指しているようにみえる。

EU離脱が決まる直前にロンドンに出張して、現地でいろいろな人と意見交換していた。シティはシティじゃなくなるといわれた。欧州大陸との貿易も通関手続きが煩雑化するので、萎縮するともいわれた。

実際は、日本語で表現すると、なるようになる。

EU離脱は英国人の気質によるところもあるのでは。むろん、英国人もわかっている。欧州大陸と協力すべきところは協力を続ける。移民の受け入れはきちんと選別する。まあ、英国人らしいやり方といえよう

2022年5月5日 9:04

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白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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ひとこと解説

米国と欧州は、ロシアと中国を念頭において、新しい国際秩序の在り方を模索し始めている。

人権尊重にもとづく民主主義や民間企業中心の資本主義をもとにした理念や規範を世界に普及させていく意識を高めている。

そのために従来の低コストで効率的なグローバルサプライチェーンを見直し、コストがかかっても信頼できる国家を中心に新しい経済・安全保障・エネルギーの関係を構築していくようだ。

多くの新興国ではすでに中国の影響力が大きく、資源ではロシアへの依存度も大きいため、この二つのブロックの中でバランスをとろうとするだろう。

このため新興国への支援を拡充しつつ西側よりに動くよう促していき日本にもそうした役割を期待している。

2022年5月5日 7:28 』