私が考える憲法「危機時の自衛隊」「緊急事態条項」

私が考える憲法「危機時の自衛隊」「緊急事態条項」
私が考える憲法(上)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM189OO0Y2A410C2000000/

 ※ 「立憲主義」「人権尊重」もけっこうだが、「憲法(人権)出でて、国滅ぶ。」じゃ、本末転倒だろう…。

 ※ 「国家」の本体は、そこに生きて生活している個々の「国民」だ…。

 ※ この人たちの食いぶちを確保し、身の安全を図り、次代へとつないで行く…。

 ※ そういう「国民」が生き残っている限り、たとえ、一時的に「攻撃」されて、「犠牲」が出ても、またいつの日にか「復活」「復興」を遂げることができる…。

 ※ そういうことのためには、どういう「策」を打ったらいいのか…。どういう「制度設計」にしたらいいのか…。

 ※ そういうことを考えるのが、「国家戦略」だ…。

 ※ 憲法、自衛隊、緊急条項も、そういうものの「延長線上」にある…。

『「自衛隊、緊急時の行動に限界」 香田洋二氏(元自衛艦隊司令官)

――憲法に自衛隊を明記すべきだという議論があります。

「戦後の社会党は『自衛隊は憲法違反』と唱えていた。1994年に村山富市氏が首相に就き『自衛隊は憲法の認めるものだ』と答弁した。私は自衛隊勤務の半分以上の期間、野党第1党に『憲法違反』と言われる組織に属していたことになる」

「自衛隊は国家を守る任務のために武器の使用が認められている。命をやりとりする唯一の組織と言える。自衛官も人間であり、家族もいる。この存在が『憲法違反』と言われてきたのは健全ではない」

「今の日本は戦前の日本とは違い、シビリアンコントロール(文民統制)が徹底している。憲法に自衛隊を明記しても全く問題は生じない」

――災害支援などで自衛隊の役割は広く認められています。それでも憲法への明記が必要でしょうか。

「目に見えない障害はたくさんある。例えば安全保障関連の研究開発について大学はいまだに及び腰だ。防衛省との共同研究を認めなかったり、自衛官を修士課程に入学させなかったりする」

――ロシアのウクライナ侵攻で憲法改正の必要性は高まりましたか。

「ロシアは核を使ってウクライナを脅している。戦後の国際社会は米ロと英国、フランス、中国の5大国以外の核兵器保有を禁止し、5大国は立場を利用した他国の侵害はしないという前提があった。今回、ロシアは一方的にこれをぶち破った」

「現実を認めて憲法論議を始めないといけない。国際社会の平和という憲法の前提は明らかに崩れた。平和の理念は重要だが、現実もみなければいけない。現在の日本の状況は自国の理想ばかりみて国際協調の現実に目を配らず判断を誤った戦前の日本にも重なる」

――どのような事態に備えて憲法論議をすべきでしょうか。

「沖縄県・尖閣諸島に中国の漁船が接近して上陸した場合、日本は警察権で対応するだろう。ただ、警察や海上保安庁の任務は国を守ることではなく、軍事活動はできない」

「自衛隊は防衛出動が下令されるまで国境を守るための活動は認められない。9条の縛りが強く、政府は簡単には防衛出動を出せない。危機時に部隊の行動規定と首相の命令に基づいて活動措置をとれるようにしておかなければ、対応の遅れで国益を損ないかねない」
こうだ・ようじ 1972年防衛大卒、海上自衛隊へ。海上幕僚監部防衛部長、自衛艦隊司令官(海将)などを歴任。著書に「北朝鮮がアメリカと戦争する日」など。徳島県出身。

「緊急事態、9割の国で規定」 ケネス・盛・マッケルウェイン氏(東大教授)

――ウクライナ侵攻によって日本の憲法上の課題が浮かび上がりましたか。

「本当に戦争が起こるとは思っていなかった。衝撃的な状況だ。日本でも安全がいつまで保たれるのか誰も保証することができない。予期せぬことが起きた時にどう対処するかを考えた時、緊急事態条項を徹底的に議論する必要性が改めて明確になった」

「緊急事態条項とは戦争や内乱、災害などの有事に、政府に平時の枠組みを超える権限を一時的に与えることを規定するものだ。人権制限などの政府の権力を拡大する側面と、議会の任期延長など政治手続きを簡略化する2つの側面からなる」

――海外の憲法では緊急事態条項を盛り込むことが多いのでしょうか。

「世界の憲法の9割が緊急事態条項を規定している。そのうち民主主義国家の憲法では緊急事態を宣言できる状況として『戦争・外部攻撃』を規定しているのが74%と最も多い。次に多いのが『内乱』と『災害』でそれぞれ50%となっている」

「宣言の効果として8割近くの憲法が『人権の制限』を規定している。『議会任期延長・非解散』は52%。政府が法律と同等の緊急政令を制定できるとしているのは17%だ」

――日本が緊急事態条項を議論する場合、どんな点が重要ですか。

「日本は議院内閣制で行政府と立法府の境目が比較的薄く、他国に比べて緊急時の対応で政策手続き面が障害にはなりにくい。どのような権限を政府に与えるかが議論の中心となるべきだ」

「詳細について憲法に『法律に定める』と書く方法もあるが、法律は議会の過半数の賛成で変えることができてしまう。緊急事態条項はあくまで有事の例外的な適用になる。『いつ、誰が発動するか』など憲法に詳しく規定しておくべきだ」

――有事といえども人権を制限することには賛否があります。理解を得るにはどういった仕組みが必要ですか。

「緊急事態を宣言する際、本当に要件を満たしているかどうか精査する仕組みも欠かせない。与党が過半数を占めている場合、立法府が行政府をきちんとチェックできるかという課題が残る」

「司法に審査を委ねるという考え方もある。現時点では最高裁にそのような役割は想定されていない。緊急事態の審査に特化した『憲法裁判所』を設置するのも選択肢の一つだ」
けねす・もり・まっけるうぇいん スタンフォード大博士(政治学)。専門は比較政治制度。1789年以降にできた各国の憲法をデータに基づき分析。東京育ち、アイルランド国籍。

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