ロシア、外債「ドルで支払い」 国内資金利用で米容認か

ロシア、外債「ドルで支払い」 国内資金利用で米容認か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR300420Q2A430C2000000/

『【ロンドン=篠崎健太】ロシア財務省は29日、ドル建て国債の元利金計6億4920万ドル(約840億円)の支払いをドルで実施したと発表した。

複数の米メディアはロシア国内にあるドル準備で工面され、米政府が決済を容認したと報じた。5月4日の猶予期限を前に債務不履行(デフォルト)はひとまず避けられる可能性が出てきたが、対外債務の綱渡りは続く。

ドルでの支払いが発表されたのは今月4日に満期を迎えた国債の元利金と、同日が期日だった2042年償還債の利息だ。

米政府が米銀口座にある資金の利用を認めなかったため金融機関が処理を拒んで期限を過ぎ、30日間の猶予期間に入っている。ロシア財務省は6日、自国通貨ルーブルによる相当額の支払いに切り替えると表明していた。

ロシア財務省は、必要なドル資金は支払代理人である米シティバンクのロンドン支店に送られたと説明した。

債券の保有者に届いたかどうかは不明だが、猶予期限の5月4日までの実行が確認されればデフォルトは避けられることになる。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは関係者の話として、支払われるドル資金は米国の経済制裁を受けていないロシアの住宅金融機関から、中継銀行の米BNYメロンを経てシティバンクに送られたと伝えた。米当局は手続きを容認したという。

米政府は当初の期日に決済を不承認とした際には「戦争を継続できないよう財源を枯渇させることが最大の目的だ」(サキ大統領報道官)と説明していた。

容認に転じた背景には、米国ではなくロシア国内にあるドル準備が使われることがありそうだ。米ブルームバーグ通信は国内の外貨準備を減らす狙いがあるとの見方を伝えた。

これまでロシア側はルーブルで支払っても「義務は完全に果たされる」と主張していた。
ドルでの支払いに転じた理由として、強弁とは裏腹に、デフォルトと正式に認定されて将来の外国投資家からの資金調達を極めて難しくする事態を避けようと手を尽くした可能性が浮かぶ。

金融業界団体である国際スワップ・デリバティブズ協会(ISDA)傘下の決定委員会は20日、債券発行時の条件にないルーブルでの支払いは「潜在的な支払い不履行」にあたるとの判断を示していた。

同委は29日、ドルで支払われるかどうか「状況を見守り続ける」と表明した。猶予期間内に実行されなかった場合に備え、正式なデフォルト認定後のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の決済に必要なオークションの準備に乗り出した。

米財務省の外国資産管理局(OFAC)はロシア当局や政府系ファンドなどから債券の元利金を受け取れる期限を5月25日としている。今回デフォルトが回避されても、残されたドル建て国債の利払いがどうなるかは不透明だ。

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