日米共同訓練に対抗措置の脅し、ロシアは「神経過敏な状態」と専門家

日米共同訓練に対抗措置の脅し、ロシアは「神経過敏な状態」と専門家
https://www.cnn.co.jp/world/35186990.html

※ 今日は、こんなところで…。

『東京(CNN) ロシアが日本に対して、もし米国との海上共同訓練をロシア沿岸付近で拡大すれば「対抗措置」を講じると警告した。

こうした脅しはロシアから続く非難の最新の一例に過ぎない。日本がウクライナを支援し、北大西洋条約機構(NATO)諸国との結びつきを深める姿勢がロシアを怒らせている。そしてこの脅しは第2次世界大戦の終結時に当時のソ連が占領した島々の主権を巡る長年の争いにも火をつけている。

ロシア国営RIAノーボスチ通信によると、同国のモルグロフ外務次官は26日、日米共同訓練は「潜在的に攻撃的な性質がある」と発言した。

さらに「日本側によるこうした行為はわが国の安全保障への脅威とみなす」「そのような活動が拡大すれば、ロシアは自国の防衛能力を強化するために対抗措置をとる」とも述べた。

米空母「エイブラハム・リンカーン」と海上自衛隊の護衛艦「こんごう」が日本海での日米共同訓練に参加=4月12日/AP

ただ、同氏は日米間のどの訓練を念頭においているのかを明確にしなかった。ロシア側の対抗措置がどんな形をとるのかも明言していない。

日本政府は同氏の発言に反応していない。CNNは日本政府にコメントを求めたが回答はない。

日米は先週、東シナ海とフィリピン海で米空母「エイブラハム・リンカーン」を中心とする空母打撃群が先導する共同訓練を終えたばかり。今月初めには、同空母が日本海でも同様の共同訓練を実施した。ロシアは日本海に長い海岸線を有している。

米海軍によると、日米は「自由で開かれたインド太平洋地域の維持」を目的に定期的に海上での共同訓練を行っている。
第2次大戦時から続く論争

日ロ間の緊張の高まりは、ロシアによるウクライナ侵攻開始以降の日本によるウクライナ支援と、第2次大戦後にソ連軍が占領した北方領土の主権に関する争いで悪化している。
日本は22日、2022年版外交青書で、北方領土がロシアに「不法占拠」されていると明記した。こうした表現は20年ぶりとなる。日本側がこの島々を北方領土と呼ぶ一方、ロシアは南クリル諸島と呼んでいる。

外交青書によれば、日本政府はこれらの島々を「日本固有の領土であるが、現在ロシアに不法占拠されている」と位置付けている。

論争自体は数十年にわたり続いていたが、日本のウクライナ支援がきっかけで日ロ間の対立がヒートアップした。

外務省の発表によると、岸田文雄首相は26日、ウクライナに対し食料や医薬品、追加的財政支援、小型ドローン、防護マスクを提供することに同意した。ゼレンスキー大統領との今年4回目の会談後に発表があった。

日本は今月、ウクライナでの戦争行為を理由として、ロシアの外交官や当局者8人を追放している。』

『日本の行動は「予測可能で透明性がある」

専門家からはロシア側が現在、神経過敏な状態にあり、日本に対して不満をぶちまけている状況だとの指摘が出ている。

テンプル大学のジェームズ・D・J・ブラウン教授(政治学)は「日本と米国はいつもと違うことを何もしていない。このレベルの反応を本当に引き起こすようなことは何もない」と語る。

シンガポール国立大学リー・クアン・ユー公共政策大学院の上級リサーチフェロー、ドリュー・トンプソン氏もこうした見方に同調し、米国との軍事協力の強化は日本側が実施するものとして理解できるとの見方を示す。

「日本はゆっくりと自国の周辺地域における安全保障上の脅威に目覚めつつある。日本はそれを民主主義国家として矛盾のない、予測可能で透明性のある方法で進めようとしている」とトンプソン氏は語る。

米海兵隊との空中機動訓練を行うなか、陸上自衛隊水陸機動団の演習が実施された=3月15日、静岡県御殿場市/David MAREUIL/Anadolu Agency/Getty Images

日本に拠点を置く米海軍第7艦隊の報道官、ヘイリー・シムズ中佐は4月初旬の日本海での共同訓練について「いつもの2国間の行動だ」と述べ、「我々の訓練は、両国間の協力の強固さを示すことによって、通常戦力での抑止力の信頼度を高めている」と説明した。
だがロシア側は違う見方をしているようだ。

ブラウン氏は「現状はロシア側が神経をとがらせている状況、近辺で起きる行為を常に潜在的に攻撃的と捉える傾向をまさに示していると思う」と語る。

同氏はさらに、日本が英国やフランスなどNATO諸国との協力関係を深化させていることが、太平洋での緊張悪化につながっているとも指摘する。ロシアはこうした国々と欧州で争っている。

「ロシア側が本当に嫌っていることの一つとして、日本が近年、米国以外の国々との協力を強化していることが挙げられる」と同氏は語る。
ロシアの挑発

ロシアはこの数年、日本周辺でその力を誇示してきたと専門家は指摘する。

慶応義塾大学の森聡教授(現代国際政治学)は、この数カ月で北方領土での軍事演習や日本海での潜水艦発射巡航ミサイルの試験など、ロシアによる多くの挑発行為があったと語る。

森氏はロシアが日本の近くで軍事行動を活発化させているのは、恐らくウクライナ侵攻の最中でも極東地域で行動できる能力を誇示する狙いがあるとの見方を示す。

トンプソン氏によると、ロシアによる威嚇はさらに以前から起きていた。同氏は、この数年間で核兵器搭載可能なロシアの爆撃機が日本の領空付近を飛行したり、中国と空や海での共同演習など協力した事案があったと言及。昨年には中ロの艦船が本州を周回する行動も見られた。

同氏は「これは日本がこうした力学に反応している状況であり、それはロシアと中国の軍事協力強化から始まった」と語る。

さらに「それが日本の防衛計画や政治的な供給を推進させている変化だ。直近のロシアによる威嚇への反応ではない」「それは自国に対する軍事力行使を抑止するために、自国の能力を高めるという日本の戦略の正当性を示すものとなっている」とも指摘する。』