[FT]北朝鮮、核で「米国介入を阻止」 ロシア参考に

[FT]北朝鮮、核で「米国介入を阻止」 ロシア参考に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB281GF0Y2A420C2000000/

 ※ やれやれ…。

 ※ 北朝鮮主導による、「統一朝鮮」の出現か…。

 ※ ウンザリな話しだ…。

『世界有数の北朝鮮研究者で、ソウルにある国民大学のアンドレイ・ランコフ教授(歴史学)は、金政権は国際社会からの厳しい制裁にもかかわらず核兵器の規模、性能を向上させており、もはや自国の防衛に必要な規模を超えていると指摘する。

「北朝鮮の核開発計画は、当初は純粋に国防を目的としていた。核兵器がなければ侵略される考えていたためであり、その懸念は間違ってはいなかった」とランコフ氏は語る。

「だが現在の核武装は、国防という点から言えば明らかに行きすぎだ。本来なら、北朝鮮には大陸間弾道ミサイル(ICBM)も水素爆弾も必要ない。そのため私は、北朝鮮の究極の狙いは韓国を支配下に置くことではないかと強く疑うようになった」

祖父が果たせなかった半島統一もくろむか

金正恩氏は長い間、北朝鮮の人々に対し、自分と祖父である故・金日成(キム・イルソン)主席との関連性を印象づけようとしてきた。金日成氏は北朝鮮に独裁体制を敷き、数百万人もの人民が命を落とした悲惨な飢饉(ききん)が始まった1994年に死去した。

金日成氏は抗日パルチザン出身であり、アンナ・ファイフィールド著「金正恩の実像 世界を翻弄する独裁者」によると、同時代のある人物は彼を「近所の中華料理屋台の太った配達人」に似ていると評した。ソ連の後ろ盾を得て48年に北朝鮮の指導者となり、50年には韓国に侵攻し、同じ民族同士が争う朝鮮戦争の口火を切った。

朝鮮戦争には米軍を主体とする国連軍と毛沢東政権下の中国人民志願軍がそれぞれ韓国側と北朝鮮側で参戦し、3年後の53年にこう着状態となって休戦を迎えた。

金正恩氏が核兵器の開発を急ピッチで進めていることから、一部の北朝鮮ウオッチャーの間では、同氏が「偉大なる将軍」であった祖父が果たせなかったこと、つまり朝鮮半島全体の掌握をもくろんでいるのではないかと懸念する声があがっている。

金氏は朝鮮人民革命軍の創設90周年に当たる4月25日に平壌で開催された軍事パレードに出席し、北朝鮮の核兵器には戦争の抑止という「第1の任務」を超えた「第2の任務」があると述べた。

北朝鮮の国営通信社である朝鮮中央通信(KCNA)によると、同氏は「我々の核(プログラム)を戦争の抑止という一つの目標だけに縛りつけることはできない」と語り、北朝鮮の「基本的な国益」が侵害された場合、「我々は核戦力をもって第2の目標を遂行せざるを得ない」と主張した。

ランコフ氏は、金氏は韓国への侵略または占領を企図しているというよりも、核をテコに米国の介入を抑制し、韓国政府の首脳陣を威圧しようとしていると捉える方が現実的だと指摘する。

「情勢が北朝鮮に有利な場合、例えば米国が他の危機に完全に気を取られていたり、ホワイトハウスの住人が融和的だったり、北朝鮮の脅威に対処しようとしない変わり者だったり、トランプ氏が大統領に返り咲いて米国内が混乱に陥ったりした場合は、北朝鮮は危機を引き起こし、ICBMを配備し、米国に(ICBMの射程圏内である)サンフランシスコとソウルのどちらかを犠牲にするか選べと難題をつきつけ、朝鮮半島から締め出そうとするだろう」、と同氏は懸念する。

同氏はさらに、「米軍が朝鮮半島から撤退すれば、北朝鮮は戦術兵器によって韓国軍の優位性を打破し、気に入らない政策をことごとく拒否する大使をソウルに派遣するだろう」と述べ、金氏がロシアのプーチン大統領が主張するウクライナの「非武装化と非ナチ化」戦略になぞらえる可能性を指摘した。

「このシナリオは実現するだろうか。恐らくノーだ。北朝鮮はそのような野望をもっているだろうか。私はイエスだと考えている」

発射手段の多様化、世界にみせつける

ソウルにあるシンクタンク、峨山政策研究院 の郭明賢 (ゴ・ミョンヒュン)上席研究員は、金政権は恐らく、西側諸国がウクライナに侵攻したロシアとの軍事面での対決に消極的であることに気づいていると指摘する。

「北朝鮮が、自国を核兵器がなければ侵略されかねない国として、ウクライナ侵攻をウクライナの立場から見ていると考える人は多い」と郭氏は言う。

「しかし実際には、北朝鮮政権は、核兵器の使用をちらつかせるだけで攻撃側が戦略的優位に立てることを証明したロシアの立場からこの戦争を眺めている」

郭氏はさらにこう説明する。「北朝鮮が数百個の核弾頭を有し、発射手段の多様化を絶えず模索していることを考慮すれば、北朝鮮の核兵器プログラムが国防のみを目的としているとは考えられない」

北朝鮮はここ数カ月間、操作性の高い「極超音速滑空体」や、米国本土も攻撃可能とみられる「モンスター級」ICBMを含め、ますます高性能化する多くの兵器を世界に見せつけてきた。

4月16日には新型短距離ミサイルの発射実験を実施し、国営メディアは戦術核を搭載可能な新兵器の試射に初めて成功したと発表した 。

金正恩氏の妹で政権の高官でもある金与正(キム・ヨジョン)氏は、4月上旬、北朝鮮は戦争を望んでいないものの、韓国軍が先制攻撃をしかけるなら北朝鮮は韓国軍を「壊滅させる」だろうとの声明を発表した 。

韓国の政府系シンクタンク、韓国国防研究院 の全暻珠 (チョン・ギョンジュ)研究員は、「金正恩氏が今でも朝鮮半島の統一を目指していることは十分にありえると思う」と話す。

「彼には長期目標を設定するのに十分な若さがあり、政権存続だけが目的にしては、北朝鮮の兵器開発は度が過ぎている」

アナリストらは、朝鮮半島で再び戦争が勃発するとすれば、その原因は、金氏が祖父の失敗した南北統一を試みることではなく、瀬戸際外交と意思疎通の失敗である確率が依然として最も高いと強調する。

米シンクタンク、カーネギー国際平和財団の核兵器の専門家であるアンキット・パンダ氏は、北朝鮮は核開発によって「実際のところ、韓国と共存することについて自信を強めた」と指摘する。

同氏は、戦術核兵器の開発が進んだことで、「北朝鮮が朝鮮半島で核を使用する上でのもともと低かったハードルが更に低下し、今後は米国および韓国に対する瀬戸際外交の危険性が一段と高まるだろう」と警告する。

「不可能」から「可能性は極めて低い」に

米中央情報局(CIA)の元アナリストで、現在は米シンクタンクのランド研究所に勤務する金洙 (スー・キム)氏はこう指摘する。「もちろん、北朝鮮は引き続き米国を念頭に置いて核能力やミサイル攻撃力の開発を続けるだろう」

「だが何よりもまず、金政権が開発する戦術核兵器は韓国に対する潜在的な脅威だ」

ランコフ氏は、北朝鮮が朝鮮半島全体に勢力圏を広げようとする可能性は依然として低いとしながらも、政府立案者にはその可能性を除外しないよう忠告している。

「私が述べたシナリオは、ここ数年で『不可能』から『可能性は極めて低い』まで変化した」とランコフ氏は言う。「その違いは大きい」

By Christian Davies

(2022年4月26日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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