米国は、ストックしていたジャヴェリンの「三分の一」をウクライナに支給してしまって、これ以上はさすがにマズいと思うに至った。

 ※ 後半、兵頭さんは、相当に「鋭い」ことを言っている…。

 ※ 最近よくマスコミに登場する「○○シンクタンクの上席分析員」の肩書の「専門家」の解説なんかよりも、よっぽど「役に立つ」…。

 ※ よく「二次大戦は、”総力戦”だった。」と言われる…。

 ※ それは、「前線」での「兵士の戦い」だけでなく、その背後での「兵器・武器の”生産力”の戦い」でもあったからだ…。文字通り、「国家総動員」の戦いであった…。

 ※ だから、交戦国は、お互いに「その生産設備」を攻撃し合った…。

 ※ 広島・長崎の原爆も、そういうことの延長線上にある…。

 ※ 「総動員」されている「国家」とは、その実態は「個々の国民」に他ならない…。
 ※ 「自国民(兵士だけでなく、生産に従事している人達も)」を、どう食わせ、身の安全をはかり、次代につないでいくのか…。

 ※ それを考えることが、「国家戦略」というものに他ならない…。

 ※ 上記の「生産設備」の攻撃・破壊から免れた国家が一つある…。

 ※ 後に、その国家は、「覇権国」となった…。

 ※ また、「生産設備」の破壊が、一部だけに留まった(とどまった)国家もあった…。

『Thomas G. Mahnken 記者による2022-4-27記事「The US needs a new approach to producing weapons. Just look at Ukraine.」。
https://st2019.site/?p=19294

    米国は、ストックしていたジャヴェリンの「三分の一」をウクライナに支給してしまって、これ以上はさすがにマズいと思うに至った。

 21世紀の戦争は、「高額弾薬消費戦争」の様相を呈することが、理解されてきた。

 2011のリビアもそうだったし、サウジ&UAE対フーシ(イラン)でもそうだし、2015には米空軍が対ISでヘルファイアを使い果たす一歩手前まで行ったものである。

 このあと起こるべき米対支戦争では、JASSM-ERやLRASMのような、ジャヴェリンよりも数等高額な対艦ミサイルが、あっという間に在庫の底をつくであろうことが、今から、強く懸念される。

 米連邦議会は2019からこの危険に気付いていた。すなわち米国内メーカーの精密弾薬製造ラインには、戦時の需要の急増に応ずることのできるような「弾撥性」が無いのである。だから、ストックを消費してしまったら、その後が続かないのだ。

 たとえば、ながらく発注されてこなかったスティンガーの製造ラインをこれから再稼動させるのには、最短でも18ヵ月、おそらくは24ヵ月かかると、レイセオン社は回答した。

 ※ここで「戦時の量産性だけを優先したミサイルの妥協的な性能基準」という「多段スペック」の考え方が導入される必要があるのだと思う。

あたかも、スポーツ取材カメラマンが高速被写体にピントをあわせるために「シャッター速度優先」モードにして(露出を非優先にして)、画質の暗さや細部の情報量には眼をつぶる、その「割り切り」が、戦時補給の分野にも導入される必要があるのだ。

つまり、ミサイルの「質」は、平時から「二本建て」で計画する。

平時に軍の倉庫にストックしておくのは、最高性能のモノである。それは有事の「第一会戦」で消費される分だ。

しかし、開戦後に急速量産させて「第二会戦」以降の消費に充てるのは、それよりはスペックが劣る、そのかわりに、ロボットと、ありふれた原料・資材だけでも無尽蔵に量産ができてしまう「ほどほどの性能のPGM弾薬」と決めておくのだ。

その設備投資のための発注は、もちろん平時から軍の予算でしておくのである。

 米国は、友邦諸国の軍需産業とも、平時から、有事の大量調達について、協議しておくべきだろう。

 拠点としては、たとえばオーストラリアには大きなポテンシャルがあり、もっと投資されるべきだ。

 ※朝鮮戦争中、スターリンは、米軍が満洲で原爆を使い果たしてしまうことを期待した。そのあとで西欧に侵攻しようと思っていたのだ。

今は習近平が、米軍が黒海やバルト海で対艦ミサイルを使い果たしてまうことを念願しているが、いまのところその願いが成就していないのは日本にとって幸いだ。

兵頭の昔からの提言をここで繰り返しておく。

平時の米政府に、対支政策で強気を保っていてもらうためには、日本にかかわる地域有事のさいに米軍がいつでもタダで使ってもいい各種の精密誘導弾薬を、日本の予算で日本国内の複数の弾薬庫に大量に貯蔵しておくのが、最も日本にとって安上がりな国防になるのだ。

また世界の安全に日本が貢献することになるのだ。

GDP2%は弾薬備蓄増に使うべし。貿易黒字解消をリクエストされたら、兵器ではなくて弾薬を買うべし。さすれば定員増などと違い、防衛省の将来の肥満化を固定しない。この線で大蔵省を説得し、法整備を急ぐべし。』