ロシア近隣8カ国、NATO兵員2.5倍に ウクライナ侵攻後

ロシア近隣8カ国、NATO兵員2.5倍に ウクライナ侵攻後
加盟申請の北欧2カ国、兵力面に脆弱性
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『ロシアのウクライナ侵攻を受け、北大西洋条約機構(NATO)が東欧に配置する兵力が増えてきた。

ロシアとウクライナ両国に近接する8カ国のNATO軍と米軍の兵力は侵攻前と比べおよそ2.5倍に膨らんだ。

米国との同盟を安全保障の基軸とする日本も前線近くに「壁」を築くNATOの戦略を注視する。

NATOは8つの加盟国をロシアへの抑止力を強める拠点と位置づける。バルト3国のエストニア、ラトビア、リトアニアと東欧のポーランド、スロバキア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアだ。これらに配備する兵力の変化を調べた。

英シンクタンクの国際戦略研究所(IISS)がウクライナ侵攻前に発表した「ミリタリー・バランス」2022年版によると、NATO諸国から8カ国に1万人強の兵が駐留していた。

NATOによると8カ国への駐留兵は侵攻後の3月下旬時点で2万5000人程度に膨らんだ。

8カ国の自国軍はあわせて現役兵力が31万人、予備役は11万人いるとされる。駐留するNATO軍や米軍をこれに加えた45万人ほどがロシアに向き合う地域に立つ。

兵力拠出、最多は米

最も多くの兵力を拠出しているのは米国だ。ウクライナ侵攻前はポーランドにNATOの枠組みの兵力と駐留米軍をあわせ5000人規模の米兵が構えていた。侵攻後はハンガリーを除く7カ国に追加で派遣した。

米国は欧州全体で10万人規模の兵力を持つとみられる。大規模な米軍基地があるドイツなどからロシアやウクライナに近い地域に送り込んでいるもようだ。

英国、フランス、ドイツに加え、8カ国に近いNATO加盟国のクロアチアやチェコ、アルバニアといった国も兵員を出している。NATOが一体となって兵を集めている動きが浮かぶ。
NATOが対ロ抑止で特に重視する国がポーランドとルーマニアだ。国内の現役兵力と駐留する外国兵力をあわせてポーランドに12万人超、ルーマニアには7万人超の兵力が存在する。8カ国全体の半数を超す。

ポーランドはウクライナと国境を接し、ロシアと欧州を結ぶ陸路の要所に存在する。避難民受け入れやウクライナへの武器供与の拠点でもある。

ルーマニアは東側が黒海に面する。ロシアが14年に併合したクリミア半島から数百キロメートルほどしか離れていない。ロシアからみると地中海に至る海路上に位置し、NATO側にとっては黒海の安全を守る要衝だ。

ルーマニアのアウレスク外相は侵攻前の2月の時点で欧州諸国に黒海地域の防衛体制の強化を訴えていた。ウクライナ侵攻で周辺海域の緊張は一段と高まった。

安保戦略、日本も注視

一方でNATOへの加盟申請を検討する北欧のフィンランドやスウェーデンは兵力面の脆弱さがある。国内の現役兵はフィンランドが1.9万人、スウェーデンは1.4万人だ。

両国も地理的にロシアと向き合う場所にある。フィンランドは陸続きで、スウェーデンはバルト海を挟んで向き合う。2カ国ともにNATOに加盟しておらず、通常は外国軍が駐留していない。

フィンランド国境付近にミサイルを移動したとの情報がでるなどロシアの圧力は高まる。
両国のNATO加盟の検討の背景には危機意識がある。フィンランドのマリン首相は「欧州の安保環境はロシアのウクライナ侵攻で根本的に変わった」と話す。

日本は年内に国家安全保障戦略などを改定する。ロシアを意識したNATOの動きは極東での抑止力を考えるうえでも重要になる。

(安全保障エディター甲原潤之介)

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