[FT]ロシア軍機の通過拒むトルコ、ウクライナと和平迫る

[FT]ロシア軍機の通過拒むトルコ、ウクライナと和平迫る
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『トルコがシリアへ向かうロシア軍によるトルコ空域の使用を禁止した。トルコ政府がロシアとウクライナの和平交渉を復活させようとするなか、プーチン大統領への圧力を強めるのが狙いだ。

会談後の記者会見で握手するラブロフ・ロシア外相㊨とトルコのチャブシオール外相(3月16日、モスクワ)=ロイター

トルコのチャブシオール外相は、ロシアの軍用機は今後、シリアへ向かう途中でトルコを経由できないと述べた。ロシア政府はシリアでアサド政権を支える重要な役割を担ってきた。

トルコ国営放送によると、チャブシオール氏は訪問先のウルグアイで記者団に「ロシアの軍用機だけでなく軍人をシリアへ運ぶ民間機に対してもトルコ領空を閉鎖した」と語った。

トルコはウクライナでの戦争が始まった直後に黒海から地中海へ向かう外国軍艦の通航を制限しており、今回の空路封鎖はロシアにとってシリア国内での後方支援をさらに複雑にするとアナリストらは語る。米ワシントンの中東研究所でシリア研究部門を率いるチャールズ・リスター氏はツイッターへの投稿で、ロシアにとって「利用可能な空路補給ルート」は今やイラン、イラク経由だけになったと述べた。

トルコはロシア発着の商用機については今後も領空通過を認め、自国経済にとってのロシア人観光客の重要性を踏まえてロシア機に対する領空閉鎖で欧州連合(EU)に追随することを拒んだ。

チャブシオール氏は、トルコのエルドアン大統領がプーチン氏に閉鎖の決定を伝え、両首脳は対話を継続していると語った。

この問題に詳しい人物3人によると、ウクライナでロシアの新たな攻撃が始まって以来、トルコ政府はシリア入りするロシア軍による空域使用の許可を徐々に縮小してきた。だが、完全に領空を閉鎖し、それを公表する決定は重大な対応強化となる。

プーチン氏との複雑な関係

米フィラデルフィアにある外交政策研究所で中東部門を率いるアーロン・スタイン氏は、米国やその他の国がトルコに対し、シリアを支援するロシア政府への影響力を行使し、プーチン氏に対する圧力を強めるよう要請してきたと話す。「トルコ政府が話に乗るまで多少時間がかかったが、ほぼ2カ月でトルコ政府はウクライナ問題を巡ってロシア政府にシリアに絡めて圧力をかける新たな措置を講じた」と同氏は語った。

プーチン氏が第2次世界大戦以来最大の軍事攻撃に乗り出して以来、トルコは微妙な綱渡りを演じようとしてきた。大半の欧州諸国は戦争が始まった後すぐにロシア機に対して自国領空を閉鎖したが、トルコはむしろ仲介役になろうとした。

また、トルコは欧米諸国の制裁に加わることには抵抗したものの、ウクライナ軍に武装ドローン(小型無人機)を供給している。

トルコがいくつかの広い地域を実質的に支配し、大規模な軍事プレゼンスを持つシリアに関してロシアに圧力をかける政府の決定は、エルドアン氏とプーチン氏の複雑な関係を浮き彫りにする。

両首脳は近年、親密な個人的関係を築いたが、シリアやリビア、カフカス地域の係争地ナゴルノカラバフの戦場では繰り返し、互いに対立する側に立ってきた。

トルコ政府はウクライナとロシアの和平交渉を仲介しようとした。両国の交渉担当者は3月、4月とトルコでハイレベル会合を2度開いたが、ロシア部隊がウクライナの民間人に残虐行為を働いたとされたことで交渉は進まなかった。

エルドアン氏は22日、トルコ政府高官が協議再開を目指して電話会議を設定しようとしていると語った。

首都アンカラを拠点とする外交政策・安全保障アナリストのオマル・オズキジルチク氏は、ロシアにシリア関連で圧力をかけたのは「交渉にもっと真剣に臨むよう」ロシアに強いる狙いだと指摘した。同氏は「ロシアが取引に応じて折り合いをつけるように仕向けたければ、現場で強い立場になる必要があり、ハードパワーを使う必要がある。トルコは過去数年間これをやっており、今もまだやっている」と語った。

オズキジルチク氏はさらに、4月中旬にイラク北部のクルド人武装勢力に対する新たな攻撃に乗り出したトルコ政府は、シリア北部での似たような軍事作戦への承諾を与えることでロシアに対する影響力を駆使しようとするかもしれないと述べた。

By Laura Pitel

(2022年4月24日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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