[FT]インドネシアがパーム油禁輸、消費国襲う価格高騰

[FT]インドネシアがパーム油禁輸、消費国襲う価格高騰
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『ウクライナ戦争に起因する食料価格の高騰を抑え込む方策として、インドネシア政府がパーム油輸出の全面禁止を発表したことを受けて25日、パーム油価格は上昇し、インドネシアの通貨ルピアは下落した。

インドネシアのスーパーに並ぶパーム油原料の食用油(3月、ジャカルタ)=ロイター

世界ではこのところ、食料価格の高騰に苦しむ国々が食品の輸出を禁止する動きが広がっており、揚げ油やマーガリンなどに使うパーム油の世界最大の輸出国であるインドネシアが新たに加わった形だ。

「すでに歴史的な需給逼迫が生じている上にウクライナの輸出が止まったまま見通しが立たず、生産コストも歴史的な高さに達している中で、農業のサプライチェーン(供給網)全体がもろさを抱えていることを思い知らせるさらなる事態だ」。米金融大手JPモルガン・チェースのロンドン在勤アナリスト、トレイシー・アレン氏はこう説明する。

穀物とヒマワリ油の生産大国ウクライナからの輸出が紛争で止まった後、農産物価格は急騰している。

指標となる米シカゴ商品取引所の価格で小麦は21%、トウモロコシは15%値上がりし、外国産の穀物に頼る国々の食料輸入代金が膨らんでいる。

植物油も価格が急騰し、多くの国で小売業者が供給制限を始めている。国連食糧農業機関(FAO)の植物油価格指数は年初以降、40%上昇している。

植物油、販売個数制限も

植物油の需給逼迫で小売業者は食用油の販売制限を余儀なくされている。一部の欧州諸国では3月、スーパーが食用油の販売個数を制限し始め、英国でもテスコやウェイトローズなどの小売り大手が数日前から追随している。

インドネシアのジョコ大統領は22日、パーム油輸出の全面禁止を発表した。週末を挟んで市場が再開した25日、マレーシアのパーム油価格は一時1トン6800リンギ(約19万9000円)と7%も上昇し、6217リンギで取引を終えた。

年明け以降、米国の利上げ見通しで新興国に圧力がかかる中にあってもおおむね堅調だったルピアの対ドル相場も、1日の下落幅で半年ぶりの大きさとなる0.7%安の1ドル=1万4455ルピアに下がった。

禁輸によりインドネシアではパーム油の値下がりが見込まれるが、インドや中国を含む輸入国では値上がりすることになると指摘するアナリストは、「明らかにこれは世界の消費者にとってマイナスだ」と話す。

禁輸の発表を受けてインドネシアのパーム油生産会社の株も売られ、インドネシア証券取引所上場のトリプトラ・アグロ・ペルサダは7%、競合のアストラ・アグロ・レスタリは4%超、それぞれ下落した。

ウクライナ侵攻前の時点ですでにインドネシア国内ではパーム油の不足が生じ、現地でレバランと呼ばれるイスラム教の断食明け大祭(イード・アル・フィトル)が近づく中で、世界最大のイスラム人口を抱える同国政府は行動を迫られる状況となっていた。

4月に入ってからは物価高と、うわさされるジョコウィ(ジョコ氏の通称)の3期目続投への動きに抗議する学生が街頭デモに繰り出した。

28日からの禁輸措置は、ジョコ政権の最新の保護主義政策だ。すでに政権は生産量の一部を国内市場に供給することを生産者に義務付け、さらに最近、パーム油の輸出関税を引き上げていた。

アナリストは、新たな制限は5月初めのレバランに向けて導入されたと指摘する。「レバランの祝祭期間が終われば消費量は平常の水準に戻るので、輸出停止は早々に解除されると私たちはみている」と米金融大手シティグループのアナリスト、レスター・シェウ氏は話す。

By Hudson Lockett, Oliver Telling and Emiko Terazono

(2022年4月25日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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