中国の封鎖拡大警戒 人民元1年ぶり安値、上海株急落供給網に打撃広がる恐れ

中国の封鎖拡大警戒 人民元1年ぶり安値、上海株急落
供給網に打撃広がる恐れ
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『【上海=土居倫之】中国で都市封鎖(ロックダウン)が上海市以外にも拡大しかねないとの懸念が広がり、市場の不安が高まっている。

25日は人民元が対ドルで約1年ぶりの安値を付けたほか、上海総合指数が急落し心理的節目の3000を下回った。上海株の終値は約1年10カ月ぶりの安値水準だった。「ゼロコロナ」政策による物流の寸断などで経済や供給網(サプライチェーン)が一段の打撃を受けるリスクが意識されている。

25日の上海外国為替市場で、人民元は対ドルで5営業日連続下落した。日中の取引時間で一時1ドル=6.5579元と昨年4月以来約1年ぶりの安値を付けた。4月中旬以来、中国の長期金利の指標となる10年物国債の利回りは同米国債を下回ることが増えており、利回り面の優位性が消えていた。

足元では都市封鎖の拡大懸念が広がる。北京市政府は24日、感染者が多い一部の区でPCR検査などの防疫体制を強化すると発表した。16日から移動制限を課す江蘇省蘇州市などでも都市封鎖懸念がくすぶり、各地のスーパーマーケットでは食料や日用品を買い込む市民が目立つ。上海市では3月28日に東部から都市封鎖が始まって1カ月近くが経過するが、全面解除はなお見通せず、経済や社会の安定に深刻な影響が出ている。

習近平(シー・ジンピン)指導部は「堅持こそが勝利」とのスローガンを唱え、「ゼロコロナ」政策の徹底を訴える。都市封鎖が上海市以外の都市に広がれば、中国経済の減速は必至だ。工場の操業停止や物流の寸断で供給網が混乱しかねず、「輸出が急速に落ち込むリスクが存在する」(平安証券の魏偉氏)。これまで人民元相場を押し上げる要因になってきた輸出企業の人民元買い需要がしぼむ可能性が浮上している。

UBSは「コロナで中国経済が試練に直面している」として6月の人民元対ドルレートの見通しを1ドル=6.40元から同6.55元に引き下げた。

上海株式市場では25日、上海総合指数が前週末比5%安の2928と急落し、2020年6月以来の安値水準となった。1日の下落率としては湖北省武漢市で感染が拡大した20年2月以来の大きさだ。

25日は人民元の急落や封鎖拡大懸念を受けて、幅広い銘柄が売られ、769銘柄が制限値幅の下限(ストップ安水準)まで売られた。証券監督管理委員会は21日、主要な機関投資家を集め、「株式投資の割合を増加させる」ことなどを求めたが、今のところ効果は限られている。

車載電池の世界最大手、寧徳時代新能源科技(CATL)が同6%超安となったほか、長城汽車など自動車関連株が軒並み安となった。乗用車市場信息聯席会によると、4月第1、2週の主要メーカーの乗用車販売台数はそれぞれ前年同期比32、39%減った。部品不足や都市封鎖地域内の販売店の閉鎖が影響したという。

今後の焦点は経済の下押し圧力を軽減するための政策対応だ。

ただ財政・金融政策のうち、一段の金融政策の緩和は人民元安や資本流出をもたらすリスクがある。

中国人民銀行(中央銀行)は20日、事実上の政策金利と位置付ける最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)を据え置いており、金融政策の選択肢は限られている。

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滝田洋一
日本経済新聞社 特任編集委員
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ひとこと解説

中国が直面するのは、次の①と②の深刻な矛盾です。

①感染症研究の第一人者・鍾南山氏は6日、ゼロコロナ政策は「長期的に続けることはできない」とする論文を発表しました。

②ところがゼロコロナ政策を緩めると、「中国で1年以内に200万人の死者が出る」。王文濤商務相は18日、こんな試算を示しました。

コロナ死200万人――そんな事態を回避するには、持続不可能を承知でゼロコロナ政策を続けるほかない。

結果として、日常生活を収容所のようにして、経済にも逆噴射に。

ウクライナでの戦争で労せずして利益を得ようとした中国が、成功体験を誇ったコロナ対応できりきり舞いしている。軌道修正できない絶対権力の絶対矛盾です。

2022年4月26日 2:05 (2022年4月26日 9:37更新)

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坂田亮太郎
日経BP 「日経バイオテク」編集長
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別の視点

先の見えないロックダウンが続く上海市。現地に住む友人からは「怒り」「怨嗟」「絶望」「失望」の声が上がっています。

指導者さえ賢ければ、独裁国家は最も効率的な統治機構とも言われています。意見の集約にかける時間や手間が不要だからです。

しかし、人間は必ずミスを犯します。だからこそ多くの人が議論することで、最善の策を見いだしていくしかありません。

ところが中国指導部は感染症の専門家の意見にも耳を貸さず、一度決めた政策目標に固執しています。その影響は中国内だけでなく世界経済に広がります。

中国にはかつて、魏徴(ぎちょう)のように皇帝にも直言するエリートがいました。今の中国は・・・

2022年4月26日 7:48

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

株の下落と元の切り下げの前に、公式統計のCPI以上にインフレ率は高騰している。

CPIが計算されるとき、食品のウェイトは34%とカウントされているが、エンゲル係数を大きく下回っている。

要するに、実際のCPIは公式統計以上の高騰しているため、元が切り下げして当然。

企業の業績(ファンダメンタルズ)が悪化すれば、投資家は金を引き上げる。したがって、出口は政策を転換するしかない

2022年4月25日 21:05 』