ポーランドとリトアニアが、EUのトラックがベラルーシに入るのを邪魔しているその背景。

『Kamil Galeev 記者による2022-4-24記事。

 4月21日にベラルーシが文句を言った。ポーランドとリトアニアが、EUのトラックがベラルーシに入るのを邪魔していると。

 この意味を解説しよう。

 ロシアとベラルーシは、経済圏として統合する合意が、1997にできている。それは1999-12に「ユニオン・ステイト」と名づけられた。両国間には「関税」が皆無になっている。ここが、大事なところだ。

 ルカシェンコは、イェリツィンやプーチンよりも頭が良いのだということは知っておいてもらいたい。

 ルカシェンコは演技によって田舎風の愚か者のようにふるまっているが、じつはプーチンを操縦できていて、欲しいものはしっかり手にいれている。

 ロシアではルカシェンコは、「コルホーズの者」と思われている。ルカシェンコがそのように演じているのだ。ロシアではコルホーズの農民には1974年までパスポートが与えられず、したがって国内旅行すらできなくされていた。二流の賎民の扱いであった。ロシア国内には農民を見下す差別文化があるのである。ルカシェンコはこのイメージを逆用している。

 ルカシェンコと同じくらい頭が切れる巧妙な政治家をロシアで探すと、それはナワルニィだ。私〔記者〕はナワルニィを支持せず、反対する立場だが、そのわけは後日、別スレッドで語ることにしよう。

 じつはルカシェンコはロシアの最高指導者になれるチャンスがあった。が、エリツィンが後継者としてプーチンを選んだので、それから人生の目標を変えた。

 ベラルーシは、ロシア産の石油とガスを捨て値で購入できている。「ユニオン・ステイト」だから、関税がゼロなのである。

 そこでルカシェンコはうまいことを考えた。欧州での取引価格よりもはるかに安いロシア産の石油とガスをたんまり仕入れて、それを欧州で売っては利鞘を稼ぐという寸法だ。
 ルカシェンコは、ロシアと統合するには31の条件がある、と主張し、ロシア政府はそれを呑んだ。1つでも容れられないときは、統合話も無し、という脅しだった。

 ルカシェンコはプーチンの足元を見透かしていた。プーチンは是が非でも「ユニオン」を成功させるしかない立場にじぶんでじぶんを追い詰めていた。だから、いくらでも要求をつきつけられる。そして、ルカシェンコは、約束を守る気はない。プーチンが死ぬのを待っているのだ。

 プーチンのとりまきの富豪たちはどのような産業に群がっているか。無能な経営者でもやっていける産業である。

 筆頭がオイルとガス。

 次が肥料。代表的なのが「ウラルカリ」社。カリウム肥料を一手にとりあつかう。社長は、セルゲイ・チェメゾフだ。

 金属関係の企業はちょっと複雑だ。だから1990年代のオリガルヒにやらせとく。

 機械関係(兵器産業)はさらに複雑だ。そういうのには、プーチンのお友達は手を出さない。

 2013年、ウラルカリ社のCEOだったバウムゲルトナーは、ベラルーシにやってきてルカシェンコと面談したとき、ぞんざいにふるまった(足を組んでいたという)。怒ったルカシェンコは、空港でバウムゲルトナーを逮捕させた。

 1ヵ月間、バウムゲルトナーは、6m×6mの独房で、ルカシェンコと面談したときと同じ衣服のまま、拘束されていたという。

 その後、バウムゲルトナーは、懲役10年に当たる経済犯罪の咎で起訴される。

 バウムゲルトナーをモスクワの刑務所に移管してやる代価としてルカシェンコは、20億ドル弱をふんだくったようである。

 バウムゲルトナーがやっと自宅軟禁からも解放されたのは2015であった。

 ハイライトはまだあった。2013-10にベラルーシのKGBが、ウラルカリの重役たちを、レニングラードスキー鉄道のモスクワ駅構内で逮捕しようとしたのだ。

 これは秘密作戦ではなく、公然と、堂々となされた。彼らは身分証明書も呈示した。ベラルーシKGBは、ロシア国内で逮捕権を行使できるのは当然だと疑っていないようであった。

 今、ルカシェンコは、プーチンが死ぬのを待っている。プーチンが死ねば、ロシアとの統合など進める気はない。

 ベラルーシは、ロシアとのあいだの無関税協定を利用して、西欧から輸入した商品を、無税で、ロシア領内に密輸し、大儲けしているのである。

 2014にロシアは、西欧からの食品輸入を禁じたが、このベラルーシの抜け穴を通じて、ロシアの商店には、水産物があふれていたものだった。ベラルーシには、海はない。

 この抜け穴を使えば、ロシア軍が必要としている西側の高性能部品も、ロシアに流入し続けることにもなるだろう。ルカシェンコはそのようにしてプーチンに恩を売ることができる。

 だから西欧諸国は一致して、ベラルーシへのトラックの通行を、妨害すべき理由があるのだ。』