フランス大統領にマクロン氏再選 パリで勝利宣言極右ルペン氏は敗北認める

フランス大統領にマクロン氏再選 パリで勝利宣言
極右ルペン氏は敗北認める
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR19B3R0Z10C22A4000000/

 ※ ロシアとのつながりは、「逆風」となることをハッキリと示した形だ…。

 ※ 2024年のアメリカ大統領選の、トランプ氏の再選へも影響する話しだろう…

『【パリ=白石透冴】24日に投開票されたフランス大統領選の決選投票で、現職のマクロン氏が再選された。仏内務省によるとマクロン氏の得票率は約59%となり、約41%にとどまった極右国民連合のルペン氏を上回った。マクロン氏の再選により親欧州連合(EU)路線は継続し、対ロシア圧力で米国などとの協調も続くことになる。

【関連記事】マクロン大統領再選の見通し 独首相などが祝意表明

決選投票は午後8時(日本時間25日午前3時)に締め切られ、開票が始まった。仏テレビBFMなど現地メディアは58%前後の得票率でマクロン氏が再選したと速報した。マクロン氏は24日、パリ市内で支持者を前に「これまでの継続ではなく、よりよい5年間を作っていきたい」と勝利宣言した。

マクロン氏はEUの統合深化に向け、欧州軍の創設や域内の財政ルールの一部緩和などをあらためて主張する見込みだ。ロシアとの停戦協議が停滞しているウクライナ危機に対しても、再び積極的な外交を展開するとみられる。

前回2017年選挙も同じ2人による決選投票となり、そのときはマクロン氏が得票率66%で大勝していた。ルペン氏は24日、支持者らを前に「敗れはしたが、私には希望がみえる」と語った。6月に予定される国民議会(下院)選挙に向け、引き続き勢力拡大を目指す考えを示した。

ルペン氏が大統領選に挑戦するのは3回目。決選投票ではマクロン氏の得票を下回ったが、得票率は前回の34%から上昇した。フランス大統領選の極右候補としては過去最高となる。選挙戦終盤には一時、支持率でマクロン氏とほぼ並ぶ場面もあった。

ルペン氏は移民排斥や反イスラム教といった極右色を前面に出さず、物価高対策を選挙戦の中心に据えた。燃料や電気にかかる付加価値税(VAT)の引き下げなどを訴え、インフレに不満を持つ国民や反エリート感情が強い若年・低所得層をひき付けた。一定の存在感を示したことは、物価高が国民の関心の中心になっていることを映す。フランス以外の国でも同様の傾向が強まっている可能性がある。

マクロン氏は弱点だった左派票の取り込みを強化する必要に迫られ、16日にマルセイユで開いた大規模集会では1億4000万本の植樹など環境重視を強調。ルペン氏の猛追をかわすため、国内向けの公約は終盤戦で変更や追加を繰り返した。

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伊藤さゆり
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事
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ひとこと解説

現職の大統領の再選は2002年のシラク氏以来、20年ぶりとなる。
マクロン氏の得票率とルペン氏との票差は、事前の世論調査を上回ったが、前回よりも低下、縮小した。

棄権率が28%と過去50年間で最高水準に達し、マクロン氏にもルペン氏にも票を投じたくない有権者の多さも浮き彫りになった。マクロン氏には勝利に安堵する余裕はない。

マクロン氏は勝利宣言で分断の修復に取り組む考えを語ったが、敗れたルペン氏は反マクロンの攻勢を強める構え。大統領選で壊滅的敗北を喫した既存政党の分裂や再編も予想される。6月の国民議会選挙に向けた動きは目まぐるしいものになりそうだ。

2022年4月25日 5:46

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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
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分析・考察

ロシアのウクライナ侵攻が長期化する中で多くの関係者が注目していたのがフランス大統領選挙の結果だったと思います。

それは、ウクライナのロシアの侵略への抵抗を支えてきた欧州内および米欧の連帯のモーメンタムが、ルペン氏の勝利で失われてしまうリスクが、米欧の関係者で共有されていたからでしょう。

独裁と対外強硬を強めるロシアのプーチン体制に対して宥和的なルペン氏が当選すれば、米国の2024年の大統領選挙でも、やはりロシアに宥和的なトランプ氏やトランプ主義者に追い風となり、ロシア侵略行為を助けることになりかねません。

米紙でも国務・国防長官のウクライナ訪問より、フランス大統領選挙の結果が大きく報じられています。

2022年4月25日 7:23 (2022年4月25日 7:24更新)

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白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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分析・考察

生活費の高騰への対応を訴え2017年よりも票を集めたルペン氏だったが、2014年にロシアから融資を受けておりプーチン氏との緊密な関係やイスラム教徒を排斥する思想は、ロシアによるウクライナ侵攻や対ロシア制裁でEUの連帯が必要な現状ではそぐわないと考えた市民が多かったのではないか。

マクロン大統領がコロナ危機での共同対応などEUで発言力を高めたことや、防衛を含むEU統合深化を進めるビジョンは時代に合っている。

ただ今回の結果は、極右のリーダーがルペン氏に投票しないか棄権するよう促したため一部の票がマクロンしに回ったこのも勝利につながった。6月議会選挙では極左と極右の台頭がより意識されるかもしれない

2022年4月25日 6:56 (2022年4月25日 7:23更新)

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滝田洋一
日本経済新聞社 特任編集委員
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ひとこと解説

ルペン氏がマクロン氏を追い上げながら敗れたのは、ロシアとのカネをめぐる関係が懸念されたからでしょう。

WSJによれば、ルペン氏の国民連合は、米国が制裁対象に指定しているロシアの軍事会社(アビアザプチャスト)に対して、1200万ユーロ(約16億7000万円)の負債があります。両者の契約に基づきその返済を始めたところです。

そのルペン氏は24日、「敗れはしたが、私には希望がみえる」と語り、6月に予定される国民議会(下院)選挙に向け、引き続き勢力拡大を目指す構えです。

マクロン派の議員たちは前回の選挙で風に乗って当選した向きが多いとあって、6月の選挙結果次第では政権と議会のねじれが生じます。

2022年4月25日 6:06 (2022年4月25日 7:17更新) 』