G20議長国インドネシア、ロシア産石油の輸入再開検討

G20議長国インドネシア、ロシア産石油の輸入再開検討
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB20DP70Q2A420C2000000/

『東南アジアの大国インドネシアがロシア産石油の輸入再開を検討し始めた。ウクライナに侵攻したロシアへの米欧の制裁で国際市場では原油が大幅に値上がりし、インドネシアの燃料価格へも上昇圧力が強まる。ロシア産を割安に入手できれば、ジョコ政権の安定につながるが、20カ国・地域(G20)の議長国として「制裁逃れを助けた」と非難を受けるのは必至だ。

インドネシアのエネルギー・鉱物資源省によると、同国はこの数年、ロシアから石油を輸入していない。だが、インドネシア国営石油プルタミナの社長は3月下旬、「手ごろな価格」でロシア産の石油を輸入する許可を国会で求めた。社長は「制裁を受けていない(ロシアの)会社を相手にすれば、政治上の問題はない」と主張。「インド経由での決済の可能性についてもすでに協議を始めた」と明らかにした。

ウクライナ側が「ブラッディオイル(血みどろの石油)」と呼ぶロシア産石油の輸入構想について、ジャカルタのシンクタンクの専門家はインドネシア政府に慎重な対応を促す。「親ロシア」とみなされ、国際社会で孤立する可能性があるという。

一方、インターネット上ではロシア産の輸入を支持する意見が目立つ。「インドネシアの主権を示せる」という表現で、米欧の制裁に従う必要がないと主張もある。
原油価格の上昇がインドネシアにも波及してきた(2018年、ジャカルタのガソリンスタンド)

プルタミナの担当者は日本経済新聞に対し、構想は「プルタミナの内部で検討している段階」で、インドネシア政府からロシア産の輸入許可は得ていないと述べた。

プルタミナは2016年から、首都ジャカルタのあるジャワ島の東部で、ロシア石油大手のロスネフチと合弁の製油所を建設する計画を進めてきた。合弁会社の幹部はこの事業が「石油製品の輸入依存を下げることで国益につながり、急務だ」と語った。当初の合意によれば、(製油所の稼働後に)インドネシアは原油輸入の5分の1近くをロシアから調達することになる。

インドネシアの指導者は物価高への対応に神経をつかってきた。通貨危機がインドネシアに波及した1998年には当時のスハルト大統領が燃料価格の値上げに踏み切り、ジャカルタを中心に市民らの激しい反発を受け、退陣につながった。

最近では市民らが、ジャカルタのロシア大使館の近くでウクライナ侵攻に抗議する集会を開催。主要都市ではガソリンなどの値上がりに抗議する学生らが目立つ。ジョコ政権は補助金予算の拡大にはある程度、目をつぶり、燃料価格の抑制に努める構えだ。
ジャカルタのロシア大使館の近くでウクライナ侵攻に反対する市民ら(3月30日)=ロイター

インドネシアは11月、議長国としてG20首脳会議(サミット)を開く予定だ。米欧は「ロシア排除」を求めるが、ジョコ氏は3月の日本経済新聞のインタビューでG20サミットは「経済協力(の枠組み)だ」と指摘した。政治とは切り離すべきだとの構えで、ロシアの扱いは明言していない。

ロシア産のエネルギー資源の輸入を模索するアジアの国はほかにもある。3月下旬のロイター通信によると、スリランカはロシア企業のシンガポール法人から割安な価格で石炭を輸入していた。インドメディアによると、同国に対してはロシアが安値での原油輸出を提案し、インド側も検討している。

(柴田奈々、ジャカルタ=エルウィダ・マウリア)
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Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Spotlight/Asia-Insight/Indonesia-in-spotlight-as-it-weighs-buying-Russia-s-blood-oil/?n_cid=DSBNNAR 』