ロシア、マリウポリ掌握宣言 ウクライナ「抵抗継続」

ロシア、マリウポリ掌握宣言 ウクライナ「抵抗継続」
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『【ロンドン=佐竹実】ロシアのプーチン大統領は21日、ロシア軍が包囲攻撃するウクライナ南東部の港湾都市マリウポリについて「解放のための戦闘は終了し、成功した」と事実上の掌握を宣言した。ウクライナ軍が立てこもって抵抗を続ける製鉄所アゾフスターリを巡っては、掃討作戦停止と一帯の封鎖を命じた。国営テレビで述べた。

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放送では、ショイグ国防相がマリウポリの支配確立をプーチン氏に報告した。プーチン氏は「ハエも飛んでいかないように産業地区の封鎖」を求めた。

一方、ウクライナメディアによると、同国のゼレンスキー大統領は21日、ロシア軍による大半の占領を認めたうえで「一部には我が軍が残っている」と述べた。同国大統領府のアレストビッチ顧問も同日、「ロシアの部隊はそれ(製鉄所)を奪うことが物理的にできない」と述べ、現地での抵抗を続けるとした。

バイデン米大統領も同日「マリウポリが完全に陥落した証拠はない」と指摘した。

マリウポリはアゾフ海に面した要衝。陥落させれば、ロシアが2014年に併合したクリミア半島と自国をつなぐ陸続きの回廊ができあがるため、ロシア軍は市街地に無差別砲撃を加えるなどして制圧を急いできた。ウクライナ側によるとロシア軍は製鉄所の地下施設を破壊できる特殊貫通弾(バンカーバスター)も使用した。

マリウポリはロシアが「ネオナチ組織」と敵視してきた「アゾフ大隊」が主力となって防衛してきた。ウクライナにとっては愛国主義的な徹底抗戦を象徴する重要な拠点なだけに、プーチン氏が侵攻の「成果」をアピールできる内政的な効果も小さくない。

ロシア国防省は製鉄所に立てこもるウクライナ軍に対し、繰り返し投降を要求してきたが、ウクライナ側はこれを拒否している。プーチン氏は21日「命を保証し、国際法規に従って処遇する」と述べ、改めて投降を呼びかけた。

ロシア軍は2月24日にウクライナ侵攻を開始した。攻略に苦戦し、民間人虐殺も明らかになった首都キーウ(キエフ)周辺からは4月初旬までに撤退したが、ウクライナ東部に再展開してドンバス地方の制圧を目指している。

製鉄所は広大な地下施設を有している。ウクライナ側に封鎖を解く余力は残っていないが、ロシア側が突入を強行すれば双方に多数の死傷者が出る。最低限の兵力を残して封鎖を続け、余剰戦力をドンバス地方の主戦線に投入する方が得策と考えた可能性がある。

ウクライナのベレシチューク副首相は21日、「民間人約1000人と負傷兵500人はきょう製鉄所から救出されなければならない」とSNS(交流サイト)で語った。

ゼレンスキー氏は、マリウポリには約12万人が閉じ込められたままだと説明している。21日の仏テレビとのインタビューでは「建物の95~98%が破壊された」と述べ、学校や幼稚園、居住用のアパート、工場をはじめ民間施設が壊滅的な被害を受けていると訴えた。

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ウクライナのポドリャク大統領府顧問は20日、マリウポリから民間人を退避させる人道回廊の設置について、継続中の停戦交渉とは別に「前提条件をつけず特別交渉をする用意がある」と述べた。大規模で組織的な市民の退避はこれまで実現しておらず、ウクライナ側はロシア軍の妨害を非難してきた。』