「世界各国の電力事情」

電気の豆知識 第6回 「世界各国の電力事情」<前編>
https://jumbo-news.com/12876/

『 2019/5/23 2019/11/7 ・ 特集 電気の豆知識

世界各国の電力事情を比べてみる(1)

 日本の電気普及率は100%です。

 どんな山奥の村でも、また洋上遥かな離島であっても、管轄の電力会社から途切れることなく電気が供給されます。私たちはそれを当然のことと受けとめて日々の生活を送っています。ところが世界には、電気の通っていない地域がまだ数多く残っているのです。

  そこで今回と次回の2回に分けて、世界各国の電力事情、また電気に関するさまざまな問題点などをご紹介したいと思います。

  まず今回は「世界の電力格差」から。

 宇宙から見た地球の夜の写真があります。

 気象衛星が撮影した数百枚の画像をつなぎ合わせると、地球全体の夜の光景が現れます。その美しさはまるで光り輝く宝石のようです。

 とくに明るい場所は人口が集中している大都市。ほかにも住宅地であったり、幹線道路を走るクルマ、あるいは鉄道に沿って光が続いています。

 ヨーロッパの沿岸、アメリカ大陸の都市部、日本や韓国、中国などアジア諸国の都市部も明るく輝いています。

 その反面、まったく光のない地域があります。南アメリカ、アフリカ、アジアなどの内陸部は闇に包まれています。光の量は人口の多さや経済活動の活発さを表すバロメーターなのです。

  世界各地の「電力普及率」を見てみましょう。

 ヨーロッパ・北アメリカ・ロシア・アジアの先進国・オセアニア・北アフリカなどは99%、また中東や南アメリカでも90%以上に電気が普及しています。

 一方、アジアの発展途上国は83%、アフリカ大陸のサハラ砂漠より南の地域になると、なんと32%の地域しか電気が通っていません。

  世界の無電化地域(電気が供給されていない地域)の人口は約13億人だといわれています。つまり世界の全人口の約20%(5人に1人)が、いまだ電気のない暮らしを送っているのです。

 ではなぜアフリカでこれほど電気の普及が遅れたのでしょう?

 電力に限らずこの地域のインフラ整備が遅れている理由は、過酷な自然環境以外にも、紛争や内戦、また宗教上の対立などさまざまな要因が挙げられています。この地域の経済成長と治安の安定は、電力の普及と切り離せない重要課題となっているのです。

 私たち日本人も遠い国のことと思わず、関心を持って見守っていきたいものです。

 出典:資源エネルギー庁ウェブサイト(https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/tyousakouhou/kyouikuhukyu/fukukyouzai/sk/p-1.html)

  次に世界各国の「電力消費量」についてご紹介しましょう。

 世界全体の電力消費量は23兆kWh(2016年)です。電力消費量が多い国ランキングは、1位・中国、2位・アメリカ、3位・インド、4位・日本、5位・ロシア…。以下はドイツ、韓国、カナダと続きます。

 電力消費量が突出しているのは中国とアメリカで、なんと世界の約40%を消費しています。

 それ以外は人口の多い国や主要先進国が顔を揃え、順当といったところでしょうか。ところが一人あたりの電力消費量を比較すると、少し違った順位になります。

 1位・カナダ、2位・アメリカ、3位・韓国、4位・日本、5位・フランス…。以下はドイツ、ロシア、イタリア、イギリス、中国。

 なぜカナダが1位なのかと意外に思うかもしれませんが、カナダは湖や河川など豊富な水資源に恵まれており、電気料金がきわめて安いのです。

 一方、中国は人口が多いため全体の電力消費量はトップですが、一人あたりの電力消費量は世界平均程度です。この中国、近年は経済成長が著しいため、電力不足が深刻化しているともいわれています。

 電力消費量に関して、話をアフリカ諸国に戻してみましょう。アフリカの電力事情を示した数字です。

 2時間ドラマを観る(5kWh)> ケニア人の1日分の電力消費量

ドライヤーの1回分(3kWh)= ガボン人の1日分の電力消費量

冷蔵庫の1日分(4.3kWh)> ボツワナ人の1日分の電力消費量

エアコンの1日分(11kWh)= モロッコ人の1日分の電力消費量

電気ヒーター1日分(36kWh)> ナイジェリア人の3ヶ月分の電力消費量

いかがでしょうか。驚くことにこれが世界の現実なのです。

  お次は「世界各国の電気料金」についてです。

 日本では2016年の電力自由化によって電気代の値下がりが期待されていますが、現在のところ全国平均で1kWhあたり約24円程度となっています。

 一番安いのが東北電力で約22円、一番高いのは北海道電力で同じく30円となっています。

 これを基準にして、世界各国の電気代を見ていきましょう。

 世界でもっとも電気代が高い国はデンマークで1kWhあたり約37円。

 アメリカは国が広いため地域によってバラつきがありますが、平均すると1kWhあたり約10~12円くらいで、なんと日本の約半分。しかしアメリカは家が広く、大量に電気を消費するので、毎月の電気代は日本と同じくらいなんだとか。

 イギリスは日本より若干安めの1kWhあたり約23円ほど。

 ドイツは先進国の中でかなり高く1kWhあたり約36円。なぜ高いのかというと、再生エネルギーへの取り組みと原子力発電の縮小が原因といわれています。

 フランスは電気料金が安く、1kWhあたり約17~19円程度。安い理由は原子力発電の割合が高いから。

 韓国はアメリカよりさらに安く、1kWhあたりなんと約8~10円程度。その理由は電力会社の株を国が保有しており、日本円に換算して毎年500億円以上の赤字を国が補填しているため。また原子力依存度が高く生産コストが安いという理由もあります。

 グラフにはないですが、中国の電気料金は1kWhあたり約9~11円。韓国ほどではないが、日本よりはるかに安い値段に設定しています。これは石炭や天然ガスなどの資源が豊富なうえ、国策として国民に安価な電気料金を提供しているからです。

  こうしてみると、日本の電気代は先進国の中ではけして高額ではなく、ほぼ平均程度といえるでしょう。世界に先駆けてクリーンエネルギーを追求しながら、それに掛かったコストを電気料金に上乗せするというシステムは、それなりに評価できるかもしれません。

  次回は世界各国の「発電供給の割合(火力・水力・原子力・自然エネルギーなど)」と、「今後の電気エネルギーが抱える課題」などについてご紹介したいと思います。

出典:ヒロスケさんによる写真ACからの写真 』