鎌倉殿:「13人も覚えられない!」人への早分かり

鎌倉殿:「13人も覚えられない!」人への早分かり、注目はこの5人の争い(5)
https://www.nippon.com/ja/japan-topics/c10904/

 ※ 今日は、こんなところで…。

 ※ 北条氏の支配が確立するまでには、こういう「ドロドロした」「権謀術策」があったんだな…。

 ※ 大体の流れ(政治史)としては、

 守護・地頭の設置 → 鎌倉幕府の成立 → 承久の乱(後鳥羽上皇vs.鎌倉幕府、北条政子の有名な檄)→ 鎌倉幕府側の勝利 → 御成敗式目の制定 → 元寇 → 勝利するも、領地を分配できず、鎌倉幕府の弱体化 → 混乱 → 室町幕府の成立 → しかし、有力守護大名の連合体で、幕府の支配力は弱かった → 応仁の乱 → 戦国時代に突入…、という感じか…。

 ※ 経済史としては、「荘園公領性」で、相も変わらず「国衙」由来の「公領」と、「荘園」の二本立てが続くんだよね…。
 その中から、戦国大名が「一円知行」の支配を行い、「太閤検地」で「一地一作人」が推し進められて、やっと「重層構造」が解消したらしい…。

 ※ 文化史としては、室町幕府の支配力が弱かったために、「文化」が隆盛となった…。「年貢」として取り立てる力が弱く、ある程度「庶民」の取り分が残ったんだろう…。
 ※ 能、茶の湯、生け花なんかの、いわゆる「日本文化」は、殆んど「室町時代」由来だ…。

 ※ 「文化活動」には、「庶民のゆとり」が不可欠だといういい例だな…。

『「2代目は無能」のウソ

なぜ頼家の時代に有力御家人の合議制に移行したのか。以前は「2代目の頼家は能力不足で遊びほうけているから」と言われていた。よく取り上げられるエピソードとして、御家人同士の土地争いに立ち会った頼家のいい加減な裁定ぶりがある。鎌倉時代の史書『吾妻鏡』には、頼家の発言としてこんな記述がある。

「土地の広狭は、その身の不運によるべし。使節の時間を費やして現地を実検することは無駄である」

『吾妻鏡』の1200年=正治2年=5月28日条より(国立公文書館所蔵)

頼家はこう言って、地図に適当に線を引き、裁定したとされる。ほかにも、蹴鞠(けまり)にうつつを抜かしたり、御家人が出陣して鎌倉を留守にしたのを機に、その彼女を我が物にしようとしたりするなど、『吾妻鏡』に描かれた頼家はとにかく評判が悪い。

しかし、近年はこうした「頼家=無能」説に疑問が投げ掛けられている。『吾妻鏡』はもともと北条得宗家(本家)が編さんした書とされ、当時、頼家から政権奪取を望んでいた北条家の立場を正当化するため、頼家が必要以上に無能者として描かれている可能性がある。

鎌倉歴史文化交流館の山本みなみ学芸員は、著書『史伝 北条義時』(小学館)の中で、別の史書『六代勝事記』を引用しながら、頼家が「実際は武勇に優れ、鎌倉殿にふさわしい人物であったといえる」と指摘している。

動機は北条時政の権力掌握

1199年に「13人の合議制」が発足したが、全員がそろって話し合った形跡すらないと言われる。

東大史料編纂所の本郷和人教授は著書『鎌倉13人衆の真実』(宝島社)の中で、合議制について、北条時政が野心をたぎらせ「(2代)将軍の権力を制限し、幕府の実権を握るための方策だった」と記している。

発足当初こそ、「腰の低い謙虚な時政に二心ありとは誰も思わなかったのではないだろうか」と本郷氏。確かに、その後の展開を見ると、時政は孫に当たる2代将軍・頼家やライバルの有力な御家人を次々と追い落としていく。

13人の詳細なプロフィールは「『鎌倉殿の13人』って、いったい誰?」を参照していただくとして、この中から「主要人物」をあえて5人に絞って概観してみたい。

「北条」対「反北条」

北条時政は娘の政子に婿を取り、初代将軍・頼朝の舅(しゅうと)として鼻高々のまんざらでもない生活を送って来た。

ところが、頼朝の死で権力喪失の危機に目覚めたのだろうか。

一方、ライバルの実力者、比企能員(よしかず)も2代将軍・頼家の舅という立場を利用して、虎視眈々(たんたん)と権力の座を狙っていた。この2人は激突(比企の変、1203年)し、時政に軍配が上がる。これが第1ラウンドだ。

比企一族の墓がある妙本寺(鎌倉市大町)=筆者撮影

第2ラウンドは親子対決である。初代執権となった時政は権力を握った途端、専制に走る。

若い後妻「牧の方」を寵愛(ちょうあい)する時政は、その気まぐれに振り回され、やがて息子の北条義時に「武士の鑑(かがみ)」との誉れ高かった畠山重忠を討つよう命じた。

「謀反を図ろうとしたから」というのだが、明らかな冤罪(えんざい)であり、義憤を抑えきれぬ義時は父・時政と継母を鎌倉から追放する。

北条義時邸があったとされる現在の宝戒寺(鎌倉市小町、鶴岡八幡宮そば)=筆者撮影

そして義時に残されたライバルはただ一人。軍事を司る侍所の初代別当(長官)だった実力者、和田義盛だ。

両者の対立は将軍御所を中心に大規模な市街戦(1213年)に発展したが、相手の軍勢を打ち破った義時は、もはや「敵なし」の地位にまで上り詰めた。

和田塚の石碑(江ノ島電鉄「和田塚」駅から徒歩1分)=筆者撮影

もう一人の実力者は、頼朝の側近で義経追討に暗躍した梶原景時だが、第3回の「太刀洗」でも取り上げたように、重用され過ぎとの御家人衆の嫉妬を買い、1199年に早々に失脚。

頼朝・頼家派の重鎮の退場は「13人衆」のパワーバランスを崩し、北条優位に傾くきっかけとなった。

ここまでが5人を巡る権力争いのあらましだ。

初代将軍・頼朝から2代将軍への順当な代替わりは起こらず、隙あらば有力御家人たちが覇を競ってしまう。平家という「共通の敵」を失ったことが関係しているのかもしれない。

約400年後に発足する江戸幕府は将軍を頂点とする統治システムが確立していたのと違い、初期の鎌倉幕府はまだまだ不安定だった。

朝廷と闘った武将

鎌倉幕府内の政争を勝ち抜いた北条義時が、その先に立ち向かう相手は何と朝廷である。
かねて幕府を朝廷の管理下に置き、支配しようと考えていた後鳥羽上皇が、ある出来事をきっかけに「義時追討の院宣」を出した。武家が朝廷の権威に立ち向かうのは、恐れ多いことだったが、「売られた喧嘩(けんか)」を看過したままでよいものかどうか―。

対応を協議する幕府側の歴史的な軍評会議で、「13人」の中でも文官(実務官僚)である大江広元と三善康信の長老2人、そして尼将軍・北条政子の言葉が座の空気を決する。

果たして、この決戦の行方は?

バナー写真:13人の合議制の成立を記した『吾妻鏡』の一節(1199年=建久10年=4月12日条、右ページ)。

「様々な訴訟は羽林(頼家)が直接、判決を下すことを停止する」として、13人の名を挙げて「話し合って処置すること」とある(国立公文書館所蔵)

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持田 譲二(ニッポンドットコム)MOCHIDA Jōji経歴・執筆一覧を見る

ニッポンドットコム編集部チーフエディター。時事通信で静岡支局・本社経済部・ロンドン支局の各記者のほか、経済部デスクを務めた。ブルームバーグを経て、2019年2月より現職。趣味はSUP(スタンドアップパドルボード)と減量。』

ソロモン諸島に政務官派遣政府、中国の軍事拠点懸念

ソロモン諸島に政務官派遣
政府、中国の軍事拠点懸念
https://nordot.app/889816206126465024?c=39546741839462401

『日本政府は21日、中国の軍事拠点化が懸念される南太平洋の島国ソロモン諸島に、三宅伸吾外務政務官を派遣する方針を固めた。4月下旬を軸に検討している。ソロモン諸島との安全保障協定に署名した中国の動きを踏まえた対応。また林芳正外相は、台湾と外交関係を結ぶパラオを5月上旬に訪問する方向で調整に着手した。複数の日本政府筋が明らかにした。

 中国がソロモン諸島と結んだ協定は、中国艦艇の寄港や軍隊、警察の派遣を認める内容とみられる。政府は、太平洋での中国軍事動向を警戒する米国、オーストラリアと連携しながら、ソロモン諸島の首脳らと意思疎通を図る考え。』

小沢氏勢力、巻き返しへ背水の陣

小沢氏勢力、巻き返しへ背水の陣 参院選岩手 達増知事前面「タブーなし」
https://kahoku.news/articles/20220421khn000037.html

 ※ 注目の選挙区だ…。

 ※ 小沢さんの「影響力」が、残っているのか、残っているとして、どの程度のものなのか…。それを図るバロメーターになる…。

 ※ 階猛衆院議員(岩手1区)が、キーパーソンのようだ…。

『夏の参院選岩手選挙区(改選数1)は、立憲民主党現職を擁する野党勢力と久々の議席奪還を狙う自民党が激突する。昨年秋の衆院選では立民県連最高顧問の小沢一郎氏が小選挙区で敗れ、県政界の力学に「地殻変動」が起きた。岩手の参院選は非自民が9連勝中だが、小沢氏を中心に鉄壁と称された組織力の陰りは否めない。巻き返しを図る小沢氏勢力にとっては、かつてない背水の陣だ。(盛岡総局・横川琴実、野界航也)

地元入り頻繁

 野党共闘で再選を目指す立民現職の木戸口英司氏(58)の後援会役員会が16日、盛岡市内であった。

 「失敗を深刻に受け止める。木戸口君のため一生懸命できる限り郷里に戻り、お願いしていく」

 反省の弁を述べたのは小沢氏。昨年の衆院選岩手3区で敗れ、比例復活に甘んじたことをわびた。選挙後から立民県連の幹事会をはじめ、連合岩手や経済関係者との会合にも小まめに顔を出している。

 木戸口氏は「小沢先生を中心に岩手で守ってきた改革の議席。守らなければいけないとの思いは、この6年間で6乗になった」と変わらぬ結束を強調した。

 岩手の参院選で自民が勝ったのは1992年が最後。以降、小沢氏直系がほぼ独占してきた。今回、木戸口氏が苦戦を強いられれば、小沢氏の求心力低下は避けられない。頻繁に地元入りするのも「失敗」できない戦いだからだ。

 「タブーなしで、今までやったことのないようなこともやるだろう」

 刺激的な言葉で木戸口氏支援を表明したのは、小沢氏を師と仰ぐ達増拓也知事だ。全県的に知名度のある知事が国政選挙で前面に立つのは小沢氏勢力の基本戦略だが、今回は一段とギアを上げている。

複雑な方程式

 懸念材料の一つは野党共闘が「不完全」な形で推移していることだ。立民、共産、社民各党は木戸口氏を統一候補としたが、今月発足した国民民主党県連はまだ対応を決めていない。

 加えて、立民県連は党所属の階猛衆院議員(岩手1区)と政治資金を巡って係争中だ。かつて小沢氏に師事した階氏。昨年6選を果たした際は立民公認だったが、小沢氏主導の野党共闘に加わらず、参院選に関しても沈黙している。木戸口陣営の関係者は「激戦は必至。階氏の協力は欲しいところだ」と打ち明ける。

 自民は新人で弁護士の広瀬めぐみ氏(55)を擁立した。衆院選で小沢氏を退けた藤原崇氏は「岩手の流れを変えるスタートの戦い」と強調する。選対本部長には藤原氏の選挙に続き、小沢氏直系だった平野達男元参院議員が就いた。

 かつての同門の因縁が交錯する。その中心にいる小沢氏は攻勢へどんな一手を打つのか。前哨戦から複雑な方程式が浮かぶ。』

自民の安保議論「悪乗り」 立民幹部

自民の安保議論「悪乗り」 立民幹部
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022042100576&g=pol

『立憲民主党の小川淳也政調会長は21日の記者会見で、国家安全保障戦略改定に向けた自民党内の議論に関し、「防衛費(GDP比)2%や敵基地攻撃能力など挑発的で非常に悪乗りした議論だ」と批判した。小川氏は「周辺国を刺激し過ぎる。国民を危うい状態に置きかねない。慎重な議論を要請したい」と述べた。』

自衛隊機の着陸拒否明言せず 民間機は許可と説明―インド

自衛隊機の着陸拒否明言せず 民間機は許可と説明―インド
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022042101198&g=pol

『【ニューデリー時事】インド外務省のバグチ報道官は21日の記者会見で、ウクライナ周辺国への人道支援物資を運ぶ自衛隊機の着陸をインドが拒否したとされる問題について、自衛隊機の「上空飛行は認めている」と説明した。ただ、着陸許可に関しては明言を避けた。

インド、自衛隊機受け入れず ウクライナ支援、派遣ずれ込み

 報道官は「日本側からは民間機の着陸と支援物資積み込みを求められ、許可した」と述べた。 』

ウクライナ侵攻「歴史の大転機」 北方領土は不法占拠―外交青書

ウクライナ侵攻「歴史の大転機」 北方領土は不法占拠―外交青書
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022042200274&g=pol

『 林芳正外相は22日の閣議で、2022年版外交青書を報告した。軍事力など圧倒的なパワーで米国が世界を主導した時代から「米中競争の時代に突入した」と表現。

ロシアによるウクライナ侵攻を「冷戦後の世界秩序を脅かすもので、歴史の大転機」と位置付けた。昨今の激変する外交・安全保障環境を印象付ける内容で、日米同盟の一層の強化を唱えている。北方領土に関しては、ロシアによる「不法占拠」という記述が復活した。

北方領土は「不法占拠」 外交青書原案に明記

 青書は中国など新興国の存在感が高まり、「米国が圧倒的な政治・経済・軍事力で主導力を発揮し、国際社会の安定と繁栄を支える時代から、米中競争、国家間競争の時代に本格的に突入した」と指摘。ウクライナ侵攻を「人類が過去1世紀築き上げた国際秩序の根幹を揺るがす暴挙」と非難し、「制裁措置の実施を通じ、一連の行動に高い代償が伴うことを示す」との決意を示した。

 その上で、民主主義など普遍的価値を共有する国々と結束し、「力による一方的な現状変更の試みに対抗する国際社会の取り組みを主導する」と提唱。「日米同盟の抑止力・対処力を一層強化し、日本の平和と安全を確保する」と明記した。

 ロシアとの平和条約交渉に関し「北方領土は日本固有の領土であるが、現在ロシアに不法占拠されている」と言明。「日本固有の領土」は11年、「不法占拠」は03年以来の表現で原則的立場に回帰した。ウクライナ侵攻が続く中、「交渉の展望を語れる状況にない」と判断している。 』

ホンジュラス、前大統領を米に引き渡し 汚職や麻薬取引

ホンジュラス、前大統領を米に引き渡し 汚職や麻薬取引
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2204T0S2A420C2000000/

『【メキシコシティ=清水孝輔】中米ホンジュラスは21日、エルナンデス前大統領の身柄を米国に引き渡した。エルナンデス氏は汚職や麻薬組織の取引に関与した疑いがあり、大統領を退いた直後に米国の要請で逮捕された。ホンジュラスの最高裁判所は3月下旬に同氏による控訴を棄却し、身柄引き渡しが確定していた。

エルナンデス氏を乗せた航空機が21日に米国に向けて出発した。同氏は南米から米国にコカインを運ぶ取引に関与し、麻薬組織から賄賂を受け取った疑いがある。米国はホンジュラスに対し、身柄の引き渡しを要請していた。今後は米国で裁判を受ける見通しだ。同氏はこれまで容疑を否定してきたが、主張は認められなかった。

ホンジュラスでは2021年11月の大統領選で左派野党連合のシオマラ・カストロ氏が当選し、政権交代が決まった。エルナンデス氏は14年から2期連続で大統領を務めたが、カストロ氏の就任に伴って22年1月に退いていた。退任から約3カ月後に米国に身柄を引き渡されたことになる。』

韓国軍、SLBMを連続発射 聯合ニュース報道

韓国軍、SLBMを連続発射 聯合ニュース報道
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM21DVO0R20C22A4000000/

『【ソウル=甲原潤之介】韓国の聯合ニュースは21日、韓国軍が18日に潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を連続発射していたと報じた。20秒間隔で2発撃ち、400キロメートル先の海上の目標に命中したとしている。事実上の最終試験と伝えており、実戦配備に向けて進展があったとみられる。

韓国軍は北朝鮮の核・ミサイル開発の活発化に対抗し、SLBMの開発を進めている。海中で運用するため相手から発射地点が探知されにくく、抑止力の強化につながるとされる。

韓国軍が2021年9月に発射実験を成功させた際は、翌10月に北朝鮮も新型のSLBMを発射した。今回の発射も南北間の緊張を一層高める可能性がある。』

TPPルール水準堅持で一致 経産相・NZ貿易相が会談

TPPルール水準堅持で一致 経産相・NZ貿易相が会談
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA213F30R20C22A4000000/

『萩生田光一経済産業相は21日、ニュージーランド(NZ)のオコナー貿易・輸出振興相と会談し、中国や台湾などからの加盟申請が相次ぐ環太平洋経済連携協定(TPP)について、ルールの水準を堅持することで一致した。両国は東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)などにも参加している。2国間の協力強化に向けて意見交換した。

萩生田氏は「NZと日本はアジア太平洋経済協力会議(APEC)やTPP、RCEPなどにともに参加し、共通の価値観を持つ戦略的協力関係だ」と述べた。オコナー氏は「ビジネスの拡大には、通商分野における国際的なルールが不可欠だ」と応じた。

両国が加盟するTPPには中国や台湾、エクアドルから加盟申請が来ている。

オコナー氏は農業担当の閣僚も兼任している。21日には金子原二郎農相とも会談した。両氏は酪農などの分野で研究開発協力を強化することで一致した。

オコナー氏はNZのアーダーン首相とともに20日に来日した。新型コロナウイルスの感染拡大後で初めてとなる外遊先に日本とシンガポールを選んだ。』

[FT]欧州向けのアルジェリア産天然ガス 供給余力乏しく

[FT]欧州向けのアルジェリア産天然ガス 供給余力乏しく
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB211FP0R20C22A4000000/

『アルジェリアに好機が到来したはずだった。北アフリカに位置する同国にとって、ロシア産ガスから離れようとする欧州の動きは、輸出を最大限に増やして欧州のエネルギー市場でシェアを高める絶好のチャンスになるものだった。

3月には米国のブリンケン国務長官がアルジェリアを訪問した=ロイター

欧州がロシア産ガスへの依存度を減らそうとする中で、欧米がアルジェリアの石油・ガス資源に新たな関心を向けていることを示す動きがここ数週間のうちにあった。イタリアのドラギ首相や米国のブリンケン国務長官などの要人が首都アルジェを訪問し、エネルギー安全保障について協議している。

この化石燃料の輸出国への関心と石油・ガス価格の高騰は、2014年秋以降の原油価格急落を境に外貨準備を減らしてきたアルジェリアにいくらかの救いをもたらしている。

しかし、エネルギー専門家は、欧州への天然ガス供給で第3位、約8%のシェアを占めるアルジェリアに、早急に輸出に振り向けられる十分な量の余剰なガスはないと指摘する。

石油・ガス部門への外国投資が長年にわたり不足し、増産能力は限られているという。一部の専門家は、アルジェリアの最大の外貨獲得源である石油・ガスをめぐる政策がしばしば、透明性を欠く政治エリートの派閥抗争の焦点となり、頻繁なルール変更につながっていることも挙げる。

イタリアやスペインにガス供給

すでにイタリア石油・ガス大手のイタリア炭化水素公社(ENI)や仏エネルギー大手トタルエナジーズなどが、パイプラインでガスをイタリア、スペイン、ポルトガルに供給するアルジェリアに進出している。政治リスクコンサルタントのアンソニー・スキナー氏は「アルジェリアは潜在力をフルに発揮するチャンスを逃した」と語る。「困難な契約条件や、官僚主義と意思決定の遅さが特徴となっている全体的な操業環境のせいで、国際石油大手の投資が長年不足していることが原因だ」という。直近14年の石油・ガス開発のライセンスラウンドで、落札されたのは31鉱区のうちわずか4鉱区にとどまった。

英オックスフォード・エネルギー研究所のモステファ・オキ上級研究員は、「短期的にはアルジェリアは欧州へのガス供給を数十億立方メートルしか増やせない」と話す。

ドラギ氏が訪問中の11日、アルジェリア国営炭化水素公社(ソナトラック)とENIが交わした契約により、アルジェリア側は徐々に輸出量を増やし、23~24年に追加量は90億立方メートルに達する。イタリアは現時点で年間210億立方メートルを購入している。

オキ氏は「新たなエネルギー地政学により、アルジェリアの石油・ガス部門の川上に国際提携が戻るようになるだろう」との見方を示す。だが、新たなガス供給の共同開発は長いプロセスとなり、欧州の脱炭素化計画と矛盾をきたす可能性もある。オキ氏は、アルジェリア国内の天然ガス需要の増加が輸出拡大の足かせになるとも指摘した。

一部の専門家は明るい材料になりうる兆しとして、石油・ガスに関する政策の調整を目的に、テブン大統領が議長を務める国家エネルギー評議会が最近発足したことを挙げる。
投資環境の整備遅れる

シンクタンク国際危機グループ(ICG)で北アフリカプログラムを統括するリカルド・ファビアーニ氏は「アルジェリアがただ目先の利益に焦点を合わせるのではなく、長期的戦略について考えることに役立つ可能性がある」と話す。「絶え間ないルール変更で、アルジェリアは投資環境が安定しないという認識が固まっていた」

公式統計によると、石油・ガスの輸出額は20年の200億ドル(約2兆6000億円)から21年の350億ドルへと増えている。この増収で政府は国民に不評な増税と補助金改革の計画を棚上げし、「怒りを抱く若者をなだめる」(スキナー氏)ための月額90ドルの失業給付も新たに導入できた。世界銀行が引用している最新データでは、アルジェリアの若年失業率は20年時点で31.4%に及ぶ。

アルジェリアでは数十年来、専制支配を受け入れるのと引き換えに政府が国民に補助金と雇用を与えるという暗黙の取引が政治システムを支えてきた。だが、14年秋以降の原油価格急落でこの仕組みにほころびが生じた。

テブン氏の前任ブーテフリカ氏は19年、汚職や生活水準の低下、専制支配に嫌気が差した国民の大規模な反政府デモの波が広がり、辞任を余儀なくされた。デモは1年にわたり続いたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響と政府の弾圧の下で消えていった。

ファビアーニ氏は「誰が大統領になっても権力基盤は限定的で、財政状態が厳しく、そうすることがより難しい時期に困難な改革の決断を下そうとすることになる」と説明する。「ひとたび原油価格が上がれば、改革をやめて人気取りのために金をばらまき始める」

改革に消極的な政治体制

英王立国際問題研究所(チャタムハウス)の中東・北アフリカプログラムのアソシエートフェロー、アデル・ハマイジア氏によると、テブン政権は農業や起業などの分野で民間投資を促そうといくつかの改革に着手したが、まだ「混然とした状況で、政府は改革の道筋を見つけ出そうとしているが、すでに寿命が尽きた超過利潤の分配を核とする社会契約に固執している」という。

持続可能な開発の専門家で、アルジェでコンサルティング会社AHCを率いるアリ・ハルビ氏は、経済成長と雇用創出、外資及び民間部門による投資はアルジェリア経済に必要な改革に不可欠だと強調する。

「今の私たちが持っているチャンスは、追加的な歳入を構造改革に使うことだ」と同氏は言う。「補助金やこれまでと同じ国営企業に振り向けられるべきではない。しかし、これは政治的問題だ。この国は独裁体制で官僚と軍に支えられている。彼らはある程度まで民間部門による開発を許容するが、常に統制を失うことを恐れている」

By Heba Saleh

(2022年4月20日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation. 』

ゴーン元会長に仏検察が国際逮捕状 米報道

ゴーン元会長に仏検察が国際逮捕状 米報道
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB221I40S2A420C2000000/

『米ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版、WSJ)は21日、フランスの検察当局が日産自動車の元会長のカルロス・ゴーン被告に対する国際逮捕状を発付したと報じた。ヨットの購入など個人的な支出のために、オマーンの自動車販売代理店を通じて、仏ルノーから数百万ドルを流用した疑いがあるためという。

同紙によると、国際逮捕状が発付されたのは、ゴーン被告に加えて、オマーンの自動車販売代理店のスヘイル・バウワン・オートモービルズ(SBA)の現オーナーと元取締役らの計5人。仏検察当局はゴーン被告がトップだった時期に、ルノーがオマーンの販売代理店に支払った資金が、同被告や家族側に還流していた疑いなどについて捜査を進めていた。
ゴーン被告は日本で金融商品取引法違反容疑で逮捕されたが、初公判前の2019年12月にプライベートジェット機で日本を不正出国。現在は国籍を持つレバノンに逃れている。レバノンは自国市民の身柄の引き渡しを行っていないため、実際に仏検察当局が逮捕して訴追できるかは不透明だ。

ゴーン被告の不正を巡っては、日本では3月に東京地裁が日産自動車元会長時の報酬過少記載事件の判決で、ゴーン被告への未払い報酬は存在したと判断し「有罪」を認定している。同時に元代表取締役に、懲役6月、執行猶予3年(求刑懲役2年)の判決を言い渡した。

【関連記事】
・日産がケリー元役員を提訴 14億円賠償請求、横浜地裁に
・不在のゴーン元会長の「有罪」認定 日産企業体質を非難
・日産元役員の裁判が問うた「ペイガバナンス」の不在 』

マリウポリ近郊に大規模な「集団墓地」 衛星画像解析

マリウポリ近郊に大規模な「集団墓地」 衛星画像解析
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB220O00S2A420C2000000/

『ウクライナ南東部にある港湾都市マリウポリの近郊で、多数の新たな墓がつくられていることが22日までにわかった。ロイター通信や米CNNが報じた。マリウポリはロシア軍に包囲され激しい戦闘が繰り広げられており、犠牲が広がっている可能性がある。

米衛星運用会社マクサー・テクノロジーズが3月中旬から4月中旬にかけて撮影した画像を分析した。マリウポリから約20キロメートルの場所にある村で、3月下旬に墓地の拡張が始まった。墓は直線的に並び、長さ約85メートルの墓地が4区画ある。

埋葬は200以上に及び、過去数週間にわたって拡大し続けてきたという。マリウポリではロシア軍の攻撃で多くの民間人が死亡してきた。同市近郊の集団墓地はロシアによる戦争犯罪を隠蔽するために設けられた可能性がある。

マリウポリはアゾフ海に面した要衝。ロシア側が制圧すれば2014年に併合したクリミア半島からロシア領土まで陸続きでつながる。ロシア軍は侵攻開始以降、同市を包囲して激しい攻撃を加えてきた。

ロシアのプーチン大統領は21日に「解放のための戦闘は終了し、成功した」と事実上の掌握を宣言したが、ウクライナ側は抵抗を続けていると主張している。

【関連記事】
・ロシアがマリウポリ掌握宣言 ウクライナ「抵抗継続」
・ロシア「掌握」のマリウポリ、市民12万人残留 退避難航
・バイデン米大統領、「マリウポリ完全陥落の証拠ない」
・ウクライナ被害、少なくとも600億ドル 世銀が円卓会議
・米、ウクライナ追加支援発表 軍事8億ドル・財政5億ドル 』

[FT]「中国は外国ワクチンに切り替えを」 専門家が提言

[FT]「中国は外国ワクチンに切り替えを」 専門家が提言
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB210TQ0R20C22A4000000/

『新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」に対する中国製ワクチンの有効性について懸念が募るなか、科学者らが中国に対し、オミクロン型の感染拡大と闘うため2種類の国産ワクチンに代わるワクチンを探すよう呼びかけている。
人影のない上海の街路=ロイター

中国は新型コロナのパンデミック(感染大流行)下で最悪の感染急拡大に直面し、2つの問題に苦しめられている。1つは追加接種(ブースター接種)のペースの鈍さで、当局は今週、60歳以上の人口のうち3回の接種を完了した人が57%にとどまると明らかにした。もう一つは外国製ワクチンより効果が大幅に劣る国産ワクチンだ。

複数の研究は、中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製ワクチンは、独ビオンテックや米モデルナが生産している「メッセンジャーRNA(mRNA)」ワクチンなど、より効果が高いワクチンの追加接種で免疫を補強することを推奨している。中国医薬集団(シノファーム)製ワクチンについてはデータがほとんどないため、多くの研究者は同社製ワクチンもオミクロン型にあまり効かないと考えている。

米スクリプス・トランスレーショナル研究所のエリック・トポル所長は、データは「限られている」ものの、ウイルスの死んだ部分を使って生産される「不活化ワクチン」は競合ワクチンより効果が劣り、時間とともに効果がさらに落ちると話す。

オミクロンで問題が露呈

「ワクチンの有効性は60%で、そもそも有望ではなかったが、オミクロンによって問題がすっかり露呈した」

中国は直近の感染拡大に対処するため、国産ワクチンのブースター接種を急速に進めるだけでなく、外国製ワクチンの承認に消極的な姿勢も克服しなければならないかもしれない。さもないと、莫大な数になりうる死者を防ぐために、中国は恐らくより厳しく、コストもかかるロックダウン(都市封鎖)を余儀なくされるだろう。

3月に発表された香港大学の研究では、シノバック製ワクチン「コロナバック」を2回接種した60歳以上の人は、ビオンテックと米ファイザーが共同開発したワクチンを2回接種した人に比べ、新型コロナで死亡する確率が3倍に上ることが分かった。

この論文はピアレビュー(同分野の専門家による評価)をまだ受けていないが、どちらのワクチンでも3回目の接種は重症化を防ぐ高い効果があると結論づけている。

シノバックにコメントを求めたが、返答がなかった。

香港大学の疫学者ベン・カウリング教授は、中国製ワクチンの3回目の接種は「ブースター」ではなく、単に最低限の接種コースの完了と見なすべきだと話している。

「世界保健機関(WHO)が高齢者には不活化ワクチンの3回接種を推奨しているのを知っておくことが重要だ。2回では不十分だと指摘している」

重要なのは、香港大学の論文が、3回接種の効果がどれくらい続くか示すのは時期尚早だと記していることだ。同大の金冬雁教授(ウイルス学)は、論文で検討された3回目の接種の多くは香港での2022年の感染拡大の波の直前に実施されたため、コロナバックがオミクロン型に対して時間と共にどれほど効果があるかは実証されていないと語る。

どんな効果も急激に衰えるとの懸念から、多くの科学者は今、不活化ワクチンに依存している国は別のプラットフォーム(基盤技術)で作られたワクチンでの追加接種を検討すべきだと提言している。中国はワクチン外交戦略の一環として、低所得国や中所得国に国産の不活化ワクチンを送っている。

ブラジルでは、21年9月から22年3月にかけてエビデンス(科学的根拠)を収集した研究で、コロナバックのブースター接種は追加の予防効果が限られていたが、ファイザーのブースター接種は少なくとも3カ月間、重症化を防ぐ効果があることが分かった。

米エール大学の研究はさらに踏み込み、不活化ワクチンを2回接種した人はmRNAワクチンのブースター接種が2回必要かもしれないとしている。

エール大の免疫学者で論文の執筆に携わった岩崎明子教授は、不活化ワクチンはCD8と呼ばれる(タンパク質を発現した)免疫系のT細胞から大きな反応を引き出さない傾向があると語る。つまり、長期的な効果が当てにならないかもしれないということだ。

「このため、シノバック製ワクチンを2回接種した人は、中和抗体価(抗体の量)をmRNAワクチンの3回接種と似たようなレベルに引き上げるためだけに、mRNAワクチンのブースターを2回接種する必要がある」

中国製品使用減る国も

多くの国は別のワクチンで追加接種を実施している。インドネシア、パキスタン、ブラジルは中国製ワクチンを大量に受け入れた国に数えられるが、英医療調査会社エアフィニティによると、3カ国ともブースター接種では中国製ワクチンの使用が大幅に減っている。

ブラジルの生物学研究機関、フィオクルス財団の感染症専門家のジュリオ・クロダ氏は、大半の中南米諸国は特に高齢者については、別のワクチンプラットフォームを推奨していると語る。

だが、一部の国は不活化ワクチンに代わるワクチンを入手できず、世界でのワクチン供給全体に占めるシェアも小さいという。

ビオンテックはファイザーとの提携を発表する以前、開発に成功したコロナ向けmRNAワクチンを中国に提供するため、20年3月に上海復星医薬との提携に調印していた。だが、それから2年以上たった今も、中国は本土での使用についてビオンテック製ワクチンを承認していない。

金教授は、中国当局は「直ちに」同ワクチンを承認すべきだと語る。

中国企業は独自の新型コロナ向けmRNAワクチンの開発に取り組んできた。康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス)は最近、国内でmRNAワクチンの臨床試験(治験)を始める許可を得た。シノファームもmRNAワクチン候補を開発している。

だが、金氏はこうしたmRNAワクチンも同じように有効かどうかは誰にも分からないと話す。mRNAワクチンは遺伝情報を使い、免疫系にウイルスの「スパイクたんぱく質」を認識するよう教える仕組みで、一見シンプルに見えるが、成功したワクチンには特許で保護されている多くのイノベーションが盛り込まれている。ワクチンメーカーの独キュアバックは21年、市場のリーダーより有効性が低かったために、初代のmRNAワクチンの開発を打ち切った。

中国企業による努力は最近、挫折に見舞われた。艾博生物科技(アボジェン・バイオサイエンシズ)が開発したmRNAワクチン候補について、オミクロン型に対抗できるほど多くの抗体を生まないことが初期の研究で示された。

研究機関インフォーマの医療専門家、ブライアン・ヤン氏は、中国当局は国産ワクチンの開発に力を入れてきたが、mRNAへの投資は必ずしも成功につながらないと指摘する。

「中国は常に、十分な資金と正しい専門知識をつぎ込めば必ずうまくできると考えるが、mRNAは大量の蓄積された知識が必要になる」

By Hannah Kuchler, Eleanor Olcott and Andy Lin

(2022年4月20日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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「世界各国の電力事情」

電気の豆知識 第6回 「世界各国の電力事情」<前編>
https://jumbo-news.com/12876/

『 2019/5/23 2019/11/7 ・ 特集 電気の豆知識

世界各国の電力事情を比べてみる(1)

 日本の電気普及率は100%です。

 どんな山奥の村でも、また洋上遥かな離島であっても、管轄の電力会社から途切れることなく電気が供給されます。私たちはそれを当然のことと受けとめて日々の生活を送っています。ところが世界には、電気の通っていない地域がまだ数多く残っているのです。

  そこで今回と次回の2回に分けて、世界各国の電力事情、また電気に関するさまざまな問題点などをご紹介したいと思います。

  まず今回は「世界の電力格差」から。

 宇宙から見た地球の夜の写真があります。

 気象衛星が撮影した数百枚の画像をつなぎ合わせると、地球全体の夜の光景が現れます。その美しさはまるで光り輝く宝石のようです。

 とくに明るい場所は人口が集中している大都市。ほかにも住宅地であったり、幹線道路を走るクルマ、あるいは鉄道に沿って光が続いています。

 ヨーロッパの沿岸、アメリカ大陸の都市部、日本や韓国、中国などアジア諸国の都市部も明るく輝いています。

 その反面、まったく光のない地域があります。南アメリカ、アフリカ、アジアなどの内陸部は闇に包まれています。光の量は人口の多さや経済活動の活発さを表すバロメーターなのです。

  世界各地の「電力普及率」を見てみましょう。

 ヨーロッパ・北アメリカ・ロシア・アジアの先進国・オセアニア・北アフリカなどは99%、また中東や南アメリカでも90%以上に電気が普及しています。

 一方、アジアの発展途上国は83%、アフリカ大陸のサハラ砂漠より南の地域になると、なんと32%の地域しか電気が通っていません。

  世界の無電化地域(電気が供給されていない地域)の人口は約13億人だといわれています。つまり世界の全人口の約20%(5人に1人)が、いまだ電気のない暮らしを送っているのです。

 ではなぜアフリカでこれほど電気の普及が遅れたのでしょう?

 電力に限らずこの地域のインフラ整備が遅れている理由は、過酷な自然環境以外にも、紛争や内戦、また宗教上の対立などさまざまな要因が挙げられています。この地域の経済成長と治安の安定は、電力の普及と切り離せない重要課題となっているのです。

 私たち日本人も遠い国のことと思わず、関心を持って見守っていきたいものです。

 出典:資源エネルギー庁ウェブサイト(https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/tyousakouhou/kyouikuhukyu/fukukyouzai/sk/p-1.html)

  次に世界各国の「電力消費量」についてご紹介しましょう。

 世界全体の電力消費量は23兆kWh(2016年)です。電力消費量が多い国ランキングは、1位・中国、2位・アメリカ、3位・インド、4位・日本、5位・ロシア…。以下はドイツ、韓国、カナダと続きます。

 電力消費量が突出しているのは中国とアメリカで、なんと世界の約40%を消費しています。

 それ以外は人口の多い国や主要先進国が顔を揃え、順当といったところでしょうか。ところが一人あたりの電力消費量を比較すると、少し違った順位になります。

 1位・カナダ、2位・アメリカ、3位・韓国、4位・日本、5位・フランス…。以下はドイツ、ロシア、イタリア、イギリス、中国。

 なぜカナダが1位なのかと意外に思うかもしれませんが、カナダは湖や河川など豊富な水資源に恵まれており、電気料金がきわめて安いのです。

 一方、中国は人口が多いため全体の電力消費量はトップですが、一人あたりの電力消費量は世界平均程度です。この中国、近年は経済成長が著しいため、電力不足が深刻化しているともいわれています。

 電力消費量に関して、話をアフリカ諸国に戻してみましょう。アフリカの電力事情を示した数字です。

 2時間ドラマを観る(5kWh)> ケニア人の1日分の電力消費量

ドライヤーの1回分(3kWh)= ガボン人の1日分の電力消費量

冷蔵庫の1日分(4.3kWh)> ボツワナ人の1日分の電力消費量

エアコンの1日分(11kWh)= モロッコ人の1日分の電力消費量

電気ヒーター1日分(36kWh)> ナイジェリア人の3ヶ月分の電力消費量

いかがでしょうか。驚くことにこれが世界の現実なのです。

  お次は「世界各国の電気料金」についてです。

 日本では2016年の電力自由化によって電気代の値下がりが期待されていますが、現在のところ全国平均で1kWhあたり約24円程度となっています。

 一番安いのが東北電力で約22円、一番高いのは北海道電力で同じく30円となっています。

 これを基準にして、世界各国の電気代を見ていきましょう。

 世界でもっとも電気代が高い国はデンマークで1kWhあたり約37円。

 アメリカは国が広いため地域によってバラつきがありますが、平均すると1kWhあたり約10~12円くらいで、なんと日本の約半分。しかしアメリカは家が広く、大量に電気を消費するので、毎月の電気代は日本と同じくらいなんだとか。

 イギリスは日本より若干安めの1kWhあたり約23円ほど。

 ドイツは先進国の中でかなり高く1kWhあたり約36円。なぜ高いのかというと、再生エネルギーへの取り組みと原子力発電の縮小が原因といわれています。

 フランスは電気料金が安く、1kWhあたり約17~19円程度。安い理由は原子力発電の割合が高いから。

 韓国はアメリカよりさらに安く、1kWhあたりなんと約8~10円程度。その理由は電力会社の株を国が保有しており、日本円に換算して毎年500億円以上の赤字を国が補填しているため。また原子力依存度が高く生産コストが安いという理由もあります。

 グラフにはないですが、中国の電気料金は1kWhあたり約9~11円。韓国ほどではないが、日本よりはるかに安い値段に設定しています。これは石炭や天然ガスなどの資源が豊富なうえ、国策として国民に安価な電気料金を提供しているからです。

  こうしてみると、日本の電気代は先進国の中ではけして高額ではなく、ほぼ平均程度といえるでしょう。世界に先駆けてクリーンエネルギーを追求しながら、それに掛かったコストを電気料金に上乗せするというシステムは、それなりに評価できるかもしれません。

  次回は世界各国の「発電供給の割合(火力・水力・原子力・自然エネルギーなど)」と、「今後の電気エネルギーが抱える課題」などについてご紹介したいと思います。

出典:ヒロスケさんによる写真ACからの写真 』

中国で原発建設6基承認 総投資2兆4000億円

中国で原発建設6基承認 総投資2兆4000億円
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM218C70R20C22A4000000/

『【北京=多部田俊輔】中国政府は20日、原子力発電所3カ所の建設プロジェクトの認可を出した。中国メディアによると、3カ所にそれぞれ2基、合計6基を建設し、総投資額は1200億元(約2兆4000億円)に達する見通し。2030年には原発の発電能力を現状の2倍以上に増やして「脱炭素」を加速する。

政府が原発の新設を認可したのは、中国国有原子力大手の国家電力投資集団が運営する海陽原発(山東省)、中国核工業集団が運営する三門原発(浙江省)、中国広核集団が運営する陸豊原発(広東省)。

陸豊原発では、米仏の加圧水型軽水炉(PWR)をベースに、中核集団と中広核が独自に開発したと主張する第3世代原子炉「華竜1号」を採用する。海陽原発と三門原発はそれぞれ、米ウエスチングハウスが開発したPWR「AP1000」をベースとする「CAP1000」を導入する。

中国では21年末時点で53基の原発が稼働する。発電能力は約5500万キロワットで、世界では米国、フランスに次ぐ規模だが、国内の発電能力の2%強にとどまる。21年の発電量でも、原発は全体の5%を占める規模だ。

習近平(シー・ジンピン)指導部は60年までに二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにする目標を掲げる。排出量世界1位の中国が脱炭素社会に移行するには、石炭が中心の火力発電からの依存脱却が不可欠で、その一環として原発の活用を進める。

中国政府は25年に原発の発電能力を7000万キロワットまで増やす計画で、30年には1億2000万キロワットから1億5000万キロワットを視野に原発の建設認可を進めており、フランスと米国を追い抜く可能性もある。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Business/Energy/China-greenlights-6-new-nuclear-reactors-in-shift-away-from-coal?n_cid=DSBNNAR 』

米中の国防閣僚協議、にじむ偶発衝突回避の思惑

米中の国防閣僚協議、にじむ偶発衝突回避の思惑
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN211C90R20C22A4000000/

『【ワシントン=坂口幸裕、北京=羽田野主】米中両政府は20日、バイデン政権が発足して初めてとなる国防閣僚による電話協議を開いた。ウクライナや台湾問題に関する立場の隔たりはあるものの、中国がこれまで慎重だった米国との対話に応じたことで、双方とも偶発的な軍事衝突を避けたい意思があることを印象づけた。

【関連記事】「対ロ軍事支援控えよ」、米要求に中国反発 国防相協議

「ウクライナ問題を利用して中国に泥を塗ったり、圧力をかけたりすべきではない」「台湾問題がうまく処理されないと両国関係に破壊的な影響を及ぼす」――。中国の魏鳳和国務委員兼国防相は20日、オースティン米国防長官に繰り返し警告した。

米国はウクライナへの攻撃を続けるロシアへの支援について中国に経済制裁をちらつかせて停止を求めてきた。オースティン氏は20日の協議で、ロシアに対する軍事支援を控えるよう重ねて要求したもようだ。中国はこれまで軍事支援の可能性を否定する一方で「ロシアと正常な経済や貿易活動は継続する」(中国外務省)としてきた。

台湾問題でも対立は続く。米国は「台湾海峡の平和と安定を損ねたりする一方的な取り組みに強く反対する」(バイデン大統領)などと繰り返し伝達。台湾への武器供与を強化し、台湾軍への訓練を実施するなど軍事面で接近している。

今回は3月の米中首脳による電話協議を踏まえた対話になった。米メディアによると、「重要な問題について大きな進展は期待していなかった」(国防総省高官)ものの、2021年1月に発足したバイデン政権で国防分野のトップ同士による対話は信頼醸成への一歩になった。

これまで台湾海峡や南シナ海で米中両国の軍が意図しない形で衝突するリスクが指摘されてきた。オースティン氏は「米中は責任のある方式で競争とリスクをコントロールし、両軍が直面する難題を適切に処理しなければならない」と訴えた。

中国はこれまで米国の要請を拒否してきたが、今回の対話には応じた。中国共産党系メディアの環球時報は21日付の社説で「中米関係が緊張している状況のもとで、国防相の対話は対外的によいシグナルを出した」と評価した。中国の外交・安全保障政策に詳しい米シンクタンク、ランド研究所のライル・モリス上級政策アナリストはロシアによるウクライナ侵攻が「対話のきっかけになった可能性がある」と指摘する。

幅広いテーマで隔たりが大きい米中にウクライナ問題という新たな火種が加わった。モリス氏は「国防相の間で意思疎通の仕組みを確立するだけでも価値がある。緊張や対立する分野があるからこそお互いに意見を交換し合うことは常に重要だ」と話す。』

米失業保険、受給者数52年ぶり低水準 申請は18.4万件

米失業保険、受給者数52年ぶり低水準 申請は18.4万件
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN21DEU0R20C22A4000000/

『【ワシントン=長沼亜紀】米労働省が21日発表した失業保険統計(季節調整済み)によると、10~16日の週間の新規失業保険申請件数は18万4000件で、前週の改定値から2000件減った。また3~9日の週の総受給者数は前週から5万8000人減の141万7000人となり、1970年2月以来52年2カ月ぶりの低水準となった。

労働市場の逼迫で、解雇の動向を映す新規申請件数は歴史的な低さで推移している。新規申請件数の減少は2週ぶりだ。ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(18万2000件程度)はわずかに上回った。

解雇されて失業保険を受け取っている人の数を示す総受給者数も減少傾向が続く。解雇が減っているのに加え、求人が豊富で保険を受給してもすぐに再就職できるのが要因とみられる。

総受給者数は新型コロナウイルスの感染拡大による経済封鎖で、2020年5月には2313万人に達した。その後、労働市場の回復に伴い、減少が続いている。

労働省によると22年2月の失業者数627万人に対し、求人件数は1126万6000件もあった。直近の失業率は3.6%に下がっており、働きたい人がほぼ全員仕事に就くことができる「完全雇用」に達しつつある。』

「ロシアに『従来通り』はない」 G20退席の米財務長官

「ロシアに『従来通り』はない」 G20退席の米財務長官
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN21E6T0R20C22A4000000/

『【ワシントン=高見浩輔】イエレン米財務長官は21日の記者会見で、前日に開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を途中で退席したことについて「ロシアに『従来通り』はない」と述べた。ウクライナに侵攻したロシアが国際協調を前提にした会議に出席すべきではないと改めて不快感を示した。

「ロシアの言い分を聞くために、ロシアの参加を認めることはない」と断言した。バイデン米政権はかねてG20の枠組みからロシアを排除すべきだと訴えている。イエレン氏はロシア側が発言をする前に英国やカナダの代表とともに退席した。日本の鈴木俊一財務相らは、ロシア側に強い抗議をしつつ退席はしなかった。

イエレン氏はロシアへの制裁やウクライナへの支援について今後も追加を検討する姿勢を強調したが、欧州がロシアからの資源輸入を止めることについては慎重な考えを示した。欧州のロシア産資源への依存度は高く、原油価格の上昇などを通じたデメリットのほうが大きいと指摘した。

記者会見は世界銀行と国際通貨基金(IMF)の春季総会に伴うもので、米財務省のなかで対面方式で実施された。』

IMF委も共同声明出せず、侵攻非難の記述にロシア反対

IMF委も共同声明出せず、侵攻非難の記述にロシア反対
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA21F4E0R20C22A4000000/

『【ワシントン=江渕智弘】国際通貨基金(IMF)は21日、運営方針を決める国際通貨金融委員会(IMFC)を開いた。春と秋の開催ごとに出す共同声明を見送った。ロシアのウクライナ侵攻を非難する記述にロシアが反対し、まとまらなかった。20日の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議も声明を出せず、ロシアの存在が国際枠組みに影を落とす。

IMFCはIMFの諮問機関として1999年に設立した。IMFに理事を送る国の財務相ら24人で構成する。「ロシアの戦争が甚大な人道的影響をもたらす」などと侵攻を非難する文案にロシアの代表が反対し、全会一致を原則とする共同声明を断念した。日本の同行筋によると設立以来、共同声明を出せないのは初めて。かわりに議長声明を公表した。

出席した鈴木俊一財務相は「民間人に対する残虐な行為は戦争犯罪だ」などとロシアを非難した。ロシアの代表に「出て行け」と求める参加者もいたという。

鈴木氏は日本の新たな途上国支援も表明した。IMFから新規配分される特別引き出し権(SDR)と呼ばれる外貨調達枠の20%を途上国などに融通する。80億ドル(約1兆円)ほどに相当する。このうち10億ドル相当をまず拠出するという。』

[FT]世界経済秩序の刷新を 米国は「価値観の共有」重視

[FT]世界経済秩序の刷新を 米国は「価値観の共有」重視
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB2078H0Q2A420C2000000/

『イエレン米財務長官は先週、大々的には報じられなかったが極めて重要な発言をした。貿易体制を再び、価値観と結びつけたのだ。

イエレン氏は、米国が多数の信頼できる国・地域に供給網を整備することを目指すと語った=ロイター

イエレン氏は13日、ワシントンで開催された米シンクタンク、アトランティック・カウンシルでの講演で、ドルを基軸通貨とする第2次大戦後の金融秩序を定義したブレトンウッズ体制のような新たな枠組み作りや、今週春季総会を開催中の国際通貨基金(IMF)と世界銀行の改革を呼びかけた。

また、プーチン大統領のロシアがウクライナに侵攻したことと、米国をはじめ30カ国以上が実施している対ロシア制裁に中国が協力しなかったことが世界経済の転換点となったと明らかにした。

今後の米通商政策は単に市場の自由に任せる方針から脱却し、一定の原理原則を守ることを軸に据える。この原理原則には国家主権やルールに基づく秩序、安全保障、労働者の権利などが含まれる。イエレン氏は米国は「自由かつ安全な貿易」を目指すべきだと語った。
信頼できる国・地域に供給網を整備

さらに、どの国・地域も「重要な原材料や技術、製品に関する市場での地位を利用して、経済を混乱させるための力を持ったり、不必要に地政学的影響力を得たりする」ことは許されるべきではないと述べた。

これは明らかに石油を政治的手段として使うロシアを念頭に置いた発言だと思われるが、半導体製造における台湾や、レアアースをため込む中国(新型コロナウイルスの流行時には個人用防護具も対象となった)などにも無理なく当てはまる。

イエレン氏の講演ではこのポスト新自由主義時代を表す新しい言葉も飛び出した。「フレンドショアリング」だ。米政府は今後は「世界経済のあり方について一定の規範と価値観」を共有する「多数の信頼できる国・地域にサプライチェーン(供給網)を整備するフレンドショアリング」を目指すという。

また、デジタルサービスや技術規制といった分野でも、(イエレン氏が陣頭指揮を執った)2021年の国際課税に関する新ルールでの合意のように原理原則に基づく連携を模索するという。

これは「米国孤立」でもなければ「米国第一」ですらない。だが、自由貿易は各国・地域が共通した価値観のもとに対等な立場で行動しなければ本当の意味では自由にならないという、政治が深く絡んだ経済の現実を認めたことになる。

これは、過ぎ去りつつある新自由主義時代と異なる部分もあれば、重要な点において似ている部分もある。

もともとの「新自由主義」の意味

「新自由主義」という言葉が最初に使われたのは1938年にパリで開かれたウォルター・リップマン会議で、経済学者や社会学者、ジャーナリスト、実業家らが集まって世界の資本主義をファシズムや社会主義から守るための方策を議論した。

当時の状況は様々な意味で今と一致する。欧州は第1次大戦でずたずたになっていた。29年まで約10年にわたって金融緩和政策が続いたものの急激な政治的・経済的変化に対応できず、社会に深刻な分断が生じた。

労働市場や家族構成も変化しつつあった。スペイン風邪のパンデミック(世界的大流行)、インフレ、そしてその後は大恐慌やデフレ、貿易戦争に突入し、欧州の経済は壊滅的な状態にあった。

当時の新自由主義者らは世界の市場をつなげることでこれらの問題を解決しようとした。各国を超越した一連の機関によって資本と貿易をつなぐことができれば世界は無秩序に陥りにくくなると考えた。

この考え方は長い間機能した。その一因は自国の利益と世界経済とのバランスがあまりにもかけ離れることはなかったからだ。確かに、保守派が強かったレーガン米大統領、サッチャー英首相時代の80年代でさえも世界貿易は各国の利益のためにあるべきだという感覚があった。

レーガン氏は自由貿易を推進したかもしれないが、日本に制裁関税を科し、国ぐるみの産業政策を支持した(他のアジア各国の大半や多くの欧州の国々でも同じことをしていたし、今もしている)。

米国では90年代のクリントン政権下で変化が表れ始めた。米国は各国と相次いで自由貿易協定を結び、最終的には2001年の中国の世界貿易機関(WTO)加盟にこぎつけた。

当時は中国が豊かになればもっと自由な国になるだろうという希望があったからだ。もちろんそれは実現しなかった。そして今、あらゆる国・地域の指導者が一国二制度ならぬ、「一世界二制度」がもたらす現実を受け止めている。

中国が新自由主義体制の恩恵を大いに受けてきたこともあり、イエレン氏は世界が「二極化した制度には行き着かない」ことを望むと述べた。「だが、真の課題が浮上している」と続けた。「中国は様々な面で国有企業に依存しており、米国の安全保障上の利益を不当に損なうと思われる行為をしている」

また、多数の国・地域にまたがるサプライチェーンは「非常に効率的でビジネスコストの削減という意味で優れているが、レジリエンス(復元力)は低かった」とした。どちらの問題も解決する必要があるとの考えを明らかにした。

第2次大戦後の状況と相似

岐路に立つ今の世界経済はもともとのブレトンウッズ体制を作り上げた新自由主義者らが直面していた状況と似ていなくはない。その出発点はレッセフェール(自由放任主義)の市場は素晴らしいという信念ではなく、極めて現実的な問題に対処することだった。

当時の人たちは戦争で引き裂かれた世界を継ぎ合わせ、自由と繁栄が保障された、安全でまとまりのある社会の実現に向けて模索した。市場だけではそれを実現できないため、新しいルールが必要となった。

これは今の我々がいる状況と一緒だ。振り子が戻る時機はとうに過ぎていると考えるのは筆者だけではないだろう。世界の資本主義はこの20年間、個々の国の国内の課題を置き去りにして、ひたすら突っ走ってきた。

政治や経済はもとより倫理的な枠組みさえも著しく異なる国があり、そのすべてが世界共通のルールで競ってきたわけではない。こうした状況では公正で自由な市場は崩壊し始める。

新しいブレトンウッズ体制を作る過程は始まったばかりだ。だが、自由民主主義にとって大切な価値観を出発点としたのは幸先がよい。

By Rana Foroohar

(2022年4月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation. 』