[FT]中国の中間層、都市封鎖嫌い国外脱出目指す

[FT]中国の中間層、都市封鎖嫌い国外脱出目指す
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『中国の複数の移民コンサルタントによると、3月末に上海にロックダウン(都市封鎖)が導入されてから、国外脱出を希望する裕福な個人からの問い合わせが急増している。そこからは中国政府が打ち出したゼロコロナ政策に対する国民のいら立ちが強まっている状況が浮かび上がる。

上海に導入された厳格な行動規制で市民が生活必需品を入手するのも困難になっている=ロイター

新型コロナウイルスのオミクロン型感染拡大で当局が厳格な行動規制を課したのをきっかけに、4月に入ってから移民手続きの問い合わせが急増したと十数人のコンサルタントが口をそろえる。

移民に関連するキーワード検索も急増した。対話アプリ「微信(ウィーチャット)」で検索されたキーワードの人気を示す公開モニター「微信指数」によると、4月初め以降、「移民」の検索回数がほぼ7倍に跳ね上がっている。

移民コンサルタントらは、新型コロナ感染の恐れや海外で敵意を向けられることへの不安から一度は海外移住を先送りするか、取りやめていた顧客が再び移住を検討し始めたと指摘する。

上海に拠点を置く移民コンサルタントのジェームズ・チェンさんは「季節性インフルエンザより少し症状が重いだけの病気と戦うために、当局は市民に必需品にも事欠く生活を強いている」と言う。「当社の顧客が移住を選択する背景には、当局への反発がある」

問い合わせが1日で200件以上

上海を拠点とする移民サービス会社QWOSの担当者も「ここ数週間は多くの問い合わせを受けており、すぐには返信できないほどだ」と語る。16日には200件以上の問い合わせがあったという。

四川省成都市で移民コンサルタント会社を営むルーシー・ワンさんは、顧客からの要望に対応するために1日12時間も働いていると話す。「こんなに忙しいのは久しぶりだ」という。

上海の住民の間では、行動規制へのいら立ちが次第に高まりつつある。多くの住民が食料品や医薬品など基本的な生活必需品を手に入れるのも困難だと訴え、市内で先週、小規模な抗議行動が発生した。

中国政府はゼロコロナ政策への支持を広げるためにプロパガンダを強化しており、厳格な措置に対する批判をオンラインに書き込んでもすぐに削除されてしまう。

上海では3月以降、35万人以上の新規感染者が報告されているが、医療専門家は公的データの信頼性を疑問視している。当局は18日、持病のあった高齢者3人がコロナで死亡したと発表した。足元の感染拡大局面で、当局が正式に認めた上海市内の死亡事例はこれが初めてだ。60歳以上の上海市民のうち、ワクチンを3回接種した人の割合は38%にすぎない。
「食べ物もろくにない状態で長期間自宅に閉じ込められるなんて、考えてもみなかった」。そう語る上海の市場調査員ジェーン・ワンさん(38歳)は、4週間以上にわたる自宅隔離から解放された後、QWOSと連絡を取った。「上海で起きていることを見て不安になった。恣意的な隔離を心配しなくていい場所で暮らしたい」と話す。

米国やカナダの人気は低下

米国やカナダは長い間移民先として人気だったが、中国との関係悪化を受けて人気がやや落ちている。その一方、シンガポールやアイルランドなど中国政府と比較的良好な関係を保ってきた国の人気が高まっていると移民コンサルタントは説明する。

「米国の政治家や報道機関が中国について否定的なことを言い続けているのを見ると、中国人移民は米国では歓迎されないと感じる」。そう話す北京在住エンジニアのジョン・リさんはサンフランシスコに転居する夢を諦め、シンガポールの居住許可を得るために先週、代理店に4万元(約80万円)を支払った。「どうせ引っ越すなら中国人が敬意をもって扱われる国がいい」と話す。

しかし専門家は、中国の中産階級が不満を抱えていたとしても、国際的な渡航制限や仕事がみつからないことから中国を離れるのは難しいと警告する。

寧波諾丁漢大学の曹聰教授は「他の国に住みたければ、その国に受け入れられ、複雑な移民手続きをクリアする必要がある」と指摘する。「上海を含む中国の多くの都市の現状に嫌気が差した中産階級の間で国外脱出が加速する可能性があるが、この動きが流行と呼べるようになるかどうかはまだ不明だ」と同教授は話す。

By Sun Yu

(2022年4月18日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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