タイ親軍政権に汚職・セクハラ疑惑 幹部が相次ぎ辞任

タイ親軍政権に汚職・セクハラ疑惑 幹部が相次ぎ辞任
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGS19B7I0Z10C22A4000000/

『【バンコク=村松洋兵】タイで軍政の流れをくむプラユット政権が不祥事に揺れている。

プラユット首相の側近には宝くじ販売を巡る汚職疑惑が浮上し、連立与党の幹部は複数の女性から性被害の告発を受け、それぞれ辞任した。野党は内閣不信任案の提出を準備しており、プラユット政権は防戦に追われる。

プラユット氏の側近で首相府大臣政務官を務めていたセクサコン氏が18日に辞任した。政府が販売する宝くじの卸売業者への割り当てで、便宜供与を図ったとみられる会話の録音が流出していた。宝くじの流通は利権となっており、同氏が販売適正化を担う政府組織の委員だったことから、強い批判を受けた。

セクサコン氏は親軍の最大与党「国民国家の力党」に所属していたが、1月に離党し別の政党を立ち上げた。党内の内紛で政権基盤が揺らいだプラユット氏を新たな与党を立ち上げることで支える狙いだった。次の下院総選挙で、国民国家の力党がプラユット氏を首相候補としない場合でも、自らの政党は同氏を支持すると表明していた。

プラユット氏は19日「セクサコン氏は私を苦しませないために自分から辞任を申し出た」と述べた。

連立与党の一角である民主党では、副党首だったプリン氏が14日に辞任した。18歳の女子学生がセクハラを訴えたのをきっかけに、少なくとも14人の女性が性的暴行などの被害を届け出た。同氏は無実を主張している。

プリン氏は世界貿易機関(WTO)や国連貿易開発会議(UNCTAD)で事務局長を歴任したスパチャイ元副首相を父に持つ。タイでは有力者の親族が罪を免れることが珍しくないとされ、透明性の高い捜査を求める声が強まっている。

政権交代を狙う野党は5月にも下院に内閣不信任案を提出する。連立与党は定数500議席の下院で野党を数十議席上回るが、与党の一部が造反して不信任案が可決されれば、首相は即時失職する。

不信任案が否決されても、下院は2023年3月に任期切れを控えており、それまでに総選挙の実施が見込まれる。

チュラロンコン大のウィーラサック准教授(政治学)は「(相次ぐ不祥事で)与党は支持者から信頼を失った。野党は総選挙に向けて追及を強めるだろう」と指摘する。