インドネシア大統領、首都移転最優先 支持率テコ入れ

インドネシア大統領、首都移転最優先 支持率テコ入れ
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『【ジャカルタ=地曳航也】インドネシアのジョコ大統領は20日、2024年10月までの2期目の任期の折り返しを迎えた。今後、首都移転の実現を自身の政治的レガシー(遺産)にするために最優先政策として進める。ただ、頼みの世論の高支持率には陰りもみえる。

「任期延長や3選の観測や噂を喚起してはならない」。ジョコ氏は10日、閣僚を集め訴えた。予定通り24年2月に大統領選を実施する方針を強調し、任期を全うして退任する考えを明確にした。インドネシアの憲法は大統領の任期を2期10年までと規定している。

インドネシアでは4月に入りジャカルタなどで学生らによる政府への抗議デモが相次いでいる。ロシアのウクライナ侵攻に伴う物価高が直接の原因だが、任期延長や3選の観測も理由に挙げられる。いずれも憲法改正が必要で、世論の批判が根強い。

一方で与党やジョコ氏の支持団体からは、新型コロナウイルスで傷ついた経済の再生とウクライナ危機への対応のため、ジョコ氏の任期を延長すべきだとの声が上がっている。現政権での既得権益を守りたい思惑があるとみられる。ジョコ氏は再三「憲法を守る」と否定してきたが、任期延長の観測は消えない。

経営者出身のジョコ氏は地方政界を経て14年に大統領の座に駆け上がった。「親しみやすさ」を売りに幅広い層に支えられてきたが、民間調査機関SMRCの3月の調査では「仕事ぶりに満足している」との回答は減少傾向にある。

ジョコ政権は最近、物価高対策として低所得者向けの現金支給策も打ち出した。月給350万ルピア(約3万円)以下の労働者880万人を対象に1人につき100万ルピアを支給する。5月初めのイスラム教のラマダン(断食月)明けの大祭の時期は各世帯の出費がかさむため、間に合うように手当てする。

ジョコ氏が世論対策を強めるのは首都移転計画への影響を懸念するからだ。民間調査機関の2月の世論調査では移転に反対する回答が半数超を占めた。ジョコ氏は19年4月の大統領選直後に首都移転を2期目の主要政策として打ち出したが、新型コロナウイルスの影響で計画は大幅に遅れている。

ジョコ氏は計画が後戻りできないよう着々と手を打っている。1月に首都の名称や位置を定めた関連法案を国会で可決。3月には新設した担当の行政機関のトップにアジア開発銀行(ADB)副総裁だったバンバン氏を任命した。

ジャカルタは人口が集中し交通渋滞や大気汚染、地盤沈下などの都市問題が深刻化する。
ジャカルタから北東に約2000キロメートル離れたカリマンタン島(ボルネオ島)東部への首都移転により、人口過密を緩和するとともに、経済の地域格差を解消する狙いがある。

同じ東南アジアでも、ミャンマーが首都をヤンゴンからネピドーに移したり、マレーシアが行政首都機能をクアラルンプールから近郊のプトラジャヤに移転したりした例がある。
ジョコ氏は24年前半には大統領府や国会など首都機能の一部の移転を実現したい方針だ。』