「対ロ軍事支援控えよ」、米要求に中国反発 国防相協議

「対ロ軍事支援控えよ」、米要求に中国反発 国防相協議
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM20DK10Q2A420C2000000/

『【北京=羽田野主、ワシントン=中村亮】オースティン米国防長官は20日、中国の魏鳳和国務委員兼国防相と電話協議した。オースティン氏はロシアに対する軍事支援を控えるよう重ねて要求したもようだ。魏氏は反発した。

バイデン米政権の発足後、国防相同士の電話協議は初めて。

米国防総省のカービー報道官は声明で、ロシアによるウクライナ侵攻を取り上げたと明らかにした。オースティン氏はかねて中国がロシアに軍事支援する可能性に懸念を表明してきた。

魏氏は「ウクライナ問題を利用して中国に泥を塗ったり、圧力をかけたりすべきではない」と応じた。中国はこれまで軍事支援の可能性を否定する一方で「ロシアと正常な経済や貿易活動は継続する」(中国外務省)としてきた。

中国国防省の発表によると、魏氏は米国の台湾問題への介入に懸念を示した。「台湾問題がうまく処理されないと両国関係に破壊的な影響を及ぼす」と主張し、バイデン米政権を批判した。

そのうえで「中国軍は国家主権と領土の保全を断固として守り抜く」と強調した。4月のバイデン政権の台湾への武器売却の決定などに強く反発した。

オースティン氏は「米中は責任のある方式で競争とリスクをコントロールし、両軍が直面する難題を適切に処理しなければならない」と話した。

今回の協議は3月の米中首脳電話協議を踏まえたものだ。中国側によると、オースティン氏から電話をした。

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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
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分析・考察

魏国防相の「中国軍は国家主権と領土の保全を断固として守り抜く」というステートメントは、台湾の文脈では米国に対抗するものですが、ロシアのウクライナへの侵攻にも反するものとなっています。

ロシアのウクライナ侵攻は「国家主権と領土の保全」という中国外交の大原則に反します。

実は原則を重視する中国の外交姿勢にとっては悩ましいところです。しかもウクライナは中国の友好国です。

オースティン国防長官は、中国の対露軍事援助をけん制する上で、台湾問題を出すことによって、効果的な言質を取ったとも解釈できます。

2022年4月21日 8:15 (2022年4月21日 9:12更新)

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菅野幹雄
日本経済新聞社 上級論説委員/編集委員
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分析・考察

バイデン政権ができて1年3か月。これまで米中の国防相同士が直接話もしなかったという事実自体が異様です。

当然、台湾問題を巡って激しい意見対立がありますし、それを互いに強調したいところでしょう。

とはいえ興味深いのは「中国に泥を塗るな」と魏国防相が色をなして反論したところです。オースティン国防長官が牽制するロシアへの軍事支援の疑いは「濡れ衣だ」と言わんばかりです。

国家主権の尊重という中国の原則、さらにウクライナ、ロシア双方との関係を巡り、整合性をとるのに腐心している様子もうかがえます。

いずれにせよ中国があからさまにロシアに軍事支援することはできないだろうとの印象を持ちました。

2022年4月21日 8:43 (2022年4月21日 8:44更新)

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

新冷戦の構図がますます鮮明になってきた。

北京はワシントンの要求を十分に理解しているはず。

ただし、ロシアに支援するかどうか、北京の計算による。

ワシントンは次の一手を問われている。

今の国際情勢はまさに合従連衡の戦国時代のようなゲームになっている。相手を倒すために、誰と連携するかが戦略である

2022年4月21日 7:19 』