米中、南太平洋で勢力争い激化 中国・ソロモン安保協定

米中、南太平洋で勢力争い激化 中国・ソロモン安保協定
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM19B1T0Z10C22A4000000/

『【ワシントン=中村亮、シドニー=松本史】南太平洋をめぐる米国と中国の覇権争いがいっそう激しくなってきた。中国は19日、ソロモン諸島と安全保障協定に署名したと発表した。米国は中国軍がソロモンに軍事拠点を設けて活動範囲を南太平洋の全域に広げると懸念し、ソロモンに翻意を促す。

米国家安全保障会議(NSC)の報道担当者は19日、中国とソロモンの安保協定について「透明性の欠如や協定の曖昧な本質を懸念している」と強調した。両国は3月末、協定に基本合意していた。内容は明らかでないが、3月下旬にSNS(交流サイト)に流出した草案ではソロモンへの中国軍派遣や中国艦船の寄港を認める内容が盛り込まれていた。

NSCのカート・キャンベル・インド太平洋調整官が率いる米国の外交団は週内にソロモンを訪れる。NSCは「ソロモン諸島政府ではなく中国から協定の報道があったことを踏まえると、中国がこれを一方的に発表したようだ」と指摘した。中国が協定の既成事実化を急いだとの見方を示すものだ。

現地関係者も「(署名は)5月に入ってからだと思っていた」と語り、このタイミングでの署名発表に驚きを隠さなかった。ソロモン政府のホームページでは20日早朝時点で協定署名について発表していない。

ソロモンはオーストラリアの北東約2000キロメートルに位置する要衝で、米豪の海上交通路(シーレーン)上にある。ソロモンの首都ホニアラのあるガダルカナル島は太平洋戦争で日米が激戦を繰り広げた。米海兵隊のバーガー総司令官は4月中旬、訪問先の豪州でのイベントで「ソロモンは当時もいまも重要だ」と訴えた。

中国がソロモンに軍事拠点を確保すれば、米軍や豪州軍の活動に影響を及ぼす。豪州は米英から技術供与を受けて配備する原子力潜水艦の拠点港湾を豪州の東海岸につくる計画を検討している。米英の潜水艦の寄港も想定する。中国はソロモンから哨戒機を飛ばすことで、米英豪の潜水艦の動向を監視しやすくなる。

米軍は中国が小笠原諸島や米領グアムを経由してパプアニューギニアに至る「第2列島線」の内側に米国や同盟国の部隊をなるべく近づかせない戦略をとっているとみている。第2列島線の近くに位置するソロモンに軍事拠点を設ければ、有事の際に豪州に展開する米軍や豪州軍の介入を防ぐ能力が高まる。

ソロモンのソガバレ首相は中国による軍事基地の建設の可能性を否定しているが、米太平洋軍(現・インド太平洋軍)司令官の特別補佐官を務めたエリック・セイヤー氏は安保協定について「太平洋やインド洋にわたる重要地域にアクセスを増やす中国の忍耐戦略の一環だ」と分析する。

これは軍事拠点を突然設けると国際社会から批判を浴びるため、時間をかけて拠点を確保しようとしているとの見方だ。中国は南シナ海の軍事拠点化を否定しながら、人工島の造設などを通じて軍事拠点化をゆっくりと進めていった経緯がある。

ソロモン国内では親中姿勢を強める現政権に対する不満が高まっている。2021年11月には政権に抗議するデモ隊が暴徒化し、中国系住民が多く住む地域で死者が出た。これを受けてソロモンは12月、中国から警察関係者を受け入れることを決めた。これが今回の安保協定の布石になったとの見方もある。

バイデン米政権は太平洋諸国との関係強化を急ぐ。焦点になるのが、マーシャル諸島やミクロネシア連邦、パラオの3カ国と結ぶ「コンパクト(自由連合協定)」の更新交渉だ。米国は3カ国への財政支援や安全保障を担う。マーシャル諸島には米国のミサイル実験基地もあり、米軍のインド太平洋戦略を支える。

バイデン米政権は3月、コンパクトの交渉役として北朝鮮担当特別代表を務めたベテラン外交官のジョセフ・ユン氏を起用した。ロイター通信によると、マーシャル諸島とミクロネシア連邦との交渉期限が23年、パラオが24年に迫っている。バイデン政権は今回の人事をきっかけに、滞っているとの見方が多いコンパクトの交渉を加速したい考えだ。』

『ソロモン諸島は、祖先からの繋がりのある台湾と断交し、中国と国交を樹立しました。』
https://4travel.jp/travelogue/11544791