米、対ロ制裁同調求め圧力 中印発着機への給油に罰則も

米、対ロ制裁同調求め圧力 中印発着機への給油に罰則も
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『【ワシントン=鳳山太成】バイデン米政権がウクライナに侵攻したロシアへの制裁に加わらない中国やインドへの圧力を強めている。中印との間で運航したロシアの航空会社3社に罰則を科した。中国やインドの企業がこの3社を含むロシア行きの航空機に給油などのサービスを提供した場合、罰則を科すことも辞さない構えだ。ロシアの「制裁逃れ」を防ぐためだが、中印との対立が深まるリスクもある。

「我々の輸出規制を無視する人は、危険を覚悟でやっているということだ」。レモンド米商務長官は14日の声明で、制裁に違反した企業に厳しい姿勢で臨むと強調した。

同日更新した「違反事例リスト」にはロシアとベラルーシの企業が運航する航空機153機が並ぶ。ほぼすべてが米ボーイング製だ。商務省の許可なく米国製航空機をロシアなどに飛ばしたため、ハイテク製品の輸出規制を順守していないと判断した。
レモンド米商務長官は対ロシア輸出規制の違反に厳しい罰則を科す構えだ

商務省はこれに先立ち、違反事例の中からロシア最大手アエロフロートなど同国の航空会社3社に罰則を科したと7日発表した。3社は米国の部品供給やサービスを受けられず、運航の継続が難しくなる。

米政府の視線はロシアの先にある。商務省は声明で、アエロフロートの航空便が3月上旬、それぞれ中国の北京、インドのデリー、トルコのイスタンブールとアンタルヤ、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイからモスクワに飛んだと国や都市を特定して批判した。

米国の輸出規制は米国外への幅広い適用が特徴だ。罰則を受けるのは、米国製航空機を飛ばすロシアの航空会社だけではない。「違反になるのを知りながら」給油や修理など製品やサービスを提供すれば、中国やインドの企業も罰則対象になり得る。

日本などロシアとの直行便をやめた国は多いが、同国との関係が深いアジアや中東などの国々は続けている。米国のリスト公表や罰則発動は、ロシアとの関係を断ち切るよう圧力をかける狙いがある。

米政府は半導体など電子部品の輸出にも神経をとがらせる。外国製品でも米国製の半導体など規制部品を価格ベースで25%超含んでいれば、対ロ輸出の禁止対象になる。さらに米国の製造技術でつくった外国製品も規制対象とする新規則も設けた。

米ピーターソン国際経済研究所によると、ロシアの2020年の半導体輸入のうち中国関連は57%を占めた。米欧日が輸出を止めても、中国が供給を続ければ、ロシアが戦闘機などウクライナ侵攻に必要なハイテク製品を引き続き、調達できてしまう。

米政府高官は「中国など外国の企業が(業績拡大のため)ウクライナ危機につけ込もうとしている」と警戒する。中芯国際集成電路製造(SMIC)など中国企業が米国の製造装置や設計ソフトでつくった半導体をロシアに輸出すれば、罰則を科す可能性がある。

米国が対ロシア制裁違反の名目でロシア以外の国に強硬措置を講じれば、強い反発を受けるのは必至だ。バイデン大統領は3月のオンライン協議で中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席に対し、制裁に違反しないようクギを刺した。

米商務省高官によると、同省は在米中国大使館の担当者に、米国の規制や罰則がいかに広く適用されるかを説明し、抵触しないよう注意を促している。実際に違反を見つけても罰則を科すかどうかは高度な政治判断になる公算が大きい。

制裁の効力を高めるため、参加者を増やす取り組みも同時並行で進む。米主導の対ロ輸出規制への参加国は計37カ国に増えた。日本や欧州連合(EU)加盟国は2月当初から参加し、3月に韓国、4月8日にはスイスなど4カ国が加わった。

米国の輸出規制を巡っては、過去に中国の華為技術(ファーウェイ)の経営に大きな打撃を与えた。日本や台湾なども一斉に半導体の供給を止めた。罰則という実力行使をちらつかせて他国からも協力を引き出す仕組みだ。

米国が独自にロシア産原油の輸入を禁じたが、輸入を続ける他国を罰する規定はない。バイデン氏は11日、インドのモディ首相にロシア産原油の輸入を増やさないように求めたが、ロシアからの輸入抑制については、これが精いっぱいの対応だ。
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Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Business/Transportation/U.S.-turns-up-heat-on-Chinese-Indian-companies-servicing-Aeroflot?n_cid=DSBNNAR 』