【限定公開】元NATO軍最高司令官に聞く 世界の行方と日本の役割

【限定公開】元NATO軍最高司令官に聞く 世界の行方と日本の役割
プーチンによる戦争に世界は決して屈しない

ジェイムズ・スタヴリディス (元NATO欧州連合軍 最高司令官)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/26408

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 「Wedge」2022年5月号に掲載されている特集「プーチンによる戦争に世界は決して屈しない」記事の内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。


プーチンによる暴挙は決して許されるものではない。今回の事態をどう見るべきか。元NATO欧州連合軍最高司令官のジェイムズ・スタヴリディス氏に聞いた。
文・ジェイムズ・スタヴリディス
取材協力・宮川眞喜雄
構成・編集部 大城慶吾、鈴木賢太郎
ジェイムズ・スタヴリディス(James Stavridis)
元NATO欧州連合軍 最高司令官
1955年生まれ。アナポリス海軍兵学校を卒業後、米海軍に入隊。複数の駆逐艦や空母打撃群の指揮を執り、7年にわたり海軍大将を務める。2009年から13年まで、北大西洋条約機構(NATO)欧州連合軍最高司令官。その後、5年間米タフツ大学フレッチャー・スクール学長。近著に『2034 米中戦争』(二見文庫)。

編集部(以下、──) なぜ、プーチン大統領はこのような暴挙に出たと思うか。

ジェイムズ・スタヴリディス(以下、JS) プーチン氏は戦術家としては優れているが、戦略家としては無能だ。アフガニスタンで西側諸国の対応が崩壊し、コロナ禍で世界が混乱し、米国の内政が激しく分断されているのを好機と見たのだ。しかし、勇敢なウクライナ人の抵抗の強さも、米国をはじめ西側全体の決意の固さも、双方を見誤った。

 今回ロシアは軍事的に四つの深刻な失敗を犯した。第一はプーチン氏の配下の将軍たちが効果的な戦闘計画を立てることができなかったことだ。彼らはあまりに多くの方向に一度に攻撃をしかけ、力を分散し、ウクライナ軍を陵駕できなかった。第二は兵站(ロジスティックス)の拙劣さだ。極寒の中で主要部隊は食糧も、燃料も、防寒着もない貧相な準備だった。第三は、徴兵や予備役が多すぎて、戦闘任務を明確に認識している戦闘員が僅かだったことだ。 最後は腐敗だ。プーチン氏は弾薬や装備の不足について報告されていなかった。おそらく、さまざまなレベルで軍資金が「かすめ取られて」いたのだろう。

NATOはこれまで勢力圏を拡大してきたが……
(出所)外務省欧州局政策課の資料を基にウェッジ作成
(注)地図上は省略されているが、アメリカとカナダも1949年の原加盟国である 写真を拡大

 この侵略を北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大のせいにするのは、絵空事だ。プーチン氏にとって、攻撃対象はロシアの西方にある脆弱な国ならどの国でもよかったのだろう。運よくNATOに加盟していた国々の守りは固かったが、NATOの加盟国でないウクライナは脆弱だった。ただそれだけのことだ。』

『最前線でロシアと対峙する
NATOが果たす役割とは?

──日本の読者に改めてNATOの存在意義を示してほしい。また、NATO加盟国やパートナーは、それぞれどのような役割や機能、責務を果たし、ロシアの脅威に対応しているのか。

JS NATOは純粋に防衛のための同盟であり、近隣諸国を攻撃したことはない。私は最高司令官として、NATOのあらゆる戦争計画を見て、研究して、許可を与えたが、それらの戦争計画は100%防衛的性質であった。

 NATOは非常に強固な経済基盤を有し、ロシアとの比較では、軍事費で10対1、兵員数で4対1、戦闘機数で5対1、軍艦隻数で4対1の割合であり、全てにおいてロシアを圧倒している。

 いかなる同盟でも、その本質は加盟諸国が直面する課題や負担をその諸国間で共有することにある。個別の国が対応するより加盟国全員で対処する方がはるかに大きな力になる。

 例えば、ルーマニアは情報の処理と発信に高い技量を発揮する。ドイツはディーゼル潜水艦の運用において異例の能力を有し、英国とフランスは……

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