中国景気、ゼロコロナで失速 4~6月減速予想多く

中国景気、ゼロコロナで失速 4~6月減速予想多く
3月新規雇用18%減、サービス業直撃
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM184050Y2A410C2000000/

『【北京=川手伊織】中国経済が失速している。1~3月の実質国内総生産(GDP)は前年同期比で4.8%増えたが、3月に限ると小売売上高や雇用が減少に転じた。新型コロナウイルス対応として事実上の都市封鎖(ロックダウン)が広がったためだ。「ゼロコロナ規制」が最大の足かせとなり、4~6月の経済成長は減速するとの見方が増えている。

国家統計局が18日発表した。1~3月のGDP前年同期比伸び率は、2021年10~12月(4.0%)より拡大した。地方のインフラ投資が下支えした。ただ季節要因をならした前期比では、22年1~3月は1.3%と、21年10~12月(1.5%)より鈍化した。

失速がはっきり表れたのはサービス業だ。3月のサービス業の生産指数は前年同月比0.9%低下した。新型コロナが初めて中国経済を襲った直後の20年4月以来のマイナスだ。

習近平(シー・ジンピン)指導部による昨年来のIT(情報技術)や不動産への締め付けも影を落とす。学習塾を含めた規制強化は、大量解雇などリストラを招いた。「政策不況」にあえいでいたところに、新型コロナ対応の厳しい行動制限が追い打ちをかけた。

GDPの5割超を占める第3次産業への打撃は、雇用悪化を通じて家計にも及んだ。3月の都市部の新規雇用は18%減少し、2月の22%増から失速した。

消費動向を映す社会消費品小売総額(小売売上高)も3.5%の減少に転じた。1割近くを占める飲食店収入が16%減と大幅に落ち込んだほか、衣類や化粧品、貴金属、家電なども軒並み前年同月を下回った。

雇用や所得の先行きに不安を抱く家計は、生活防衛の姿勢を強めている。中国人民銀行(中央銀行)が1~3月に預金者を調べたところ「より多くのお金を貯蓄に回す」との回答が55%に達し、直近で最も高かった20年1~3月(53%)を上回った。いったん高まった節約志向を覆し、消費を回復させることは容易ではない。

ゼロコロナ規制で強まった景気の失速は抜け出す糸口が見えない。3月末に始まった上海市の都市封鎖はなお続いている。移動制限は陝西省西安市や江蘇省蘇州市など他の大都市にも広がる。

4月初旬の清明節連休の旅行客数は前年同期より26%減った。省をまたぐ移動の制限が続けば、5月1日の労働節を挟んだ大型連休も旅行需要は期待できない。

物流が混乱し、製造業への打撃も大きくなる恐れがある。物流管理のG7によると、トラックなどの国内貨物運送量を示す指数は3月半ばから前年同期比マイナスに転じた。直近4月上中旬は同3割まで低下幅を広げた。

香港中文大学などの研究者は「上海市や広東省深圳市が半月間の都市封鎖を実施すると、同期間の中国の実質総所得をそれぞれ4%、2.8%減少させる」と試算する。

金融市場では4~6月の中国経済は減速が避けられないとの見方が多い。野村は「4月の経済データが悪化し、4~6月のGDPが前年同期比で減少に転じるリスクが高まっている」と分析する。政府が22年の成長目標として掲げる「5.5%前後」の実現は、ハードルが高まるばかりだ。

政府も景気の下支えに動く。人民銀は、過去に積み上がった6000億元(約12兆円)の利益を4月中旬までに国に還元した。国を通じて企業や地方政府にお金が流れるため、人民銀が市場に同額の資金を供給したとも言える。人民銀によると、市中銀行から強制的に預かるお金の比率を示す預金準備率を0.25%下げたのと同じ効果がある。

需要創出では地方のインフラ投資も頼みの綱だ。国務院(政府)常務会議は地方政府に発行枠3兆6500億元のインフラ債を9月末までに発行しきるよう指示した。

ただ物流の混乱で建材の調達が滞り、インフラ投資も支障を来しかねない。感染力が強い変異型「オミクロン型」が広がり、厳格な行動規制でも封じ込めが難しくなっている。ゼロコロナ規制への固執がサプライチェーン(供給網)問題などを長期化させ、習指導部が描く景気回復シナリオに水を差す恐れがある。

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