リビア最大油田が停止、NY原油109ドル台に上昇

リビア最大油田が停止、NY原油109ドル台に上昇
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR18D2C0Y2A410C2000000/

『【カイロ=久門武史】北アフリカの産油国リビアは18日、同国最大のシャララ油田で一時的に売り手への出荷義務を免れる「フォースマジュール(不可抗力)」条項を宣言した。前日にエルフィール油田でも操業を停止した。供給不足の懸念からニューヨーク市場の原油先物は18日、一時1バレル109㌦台と前週末比3%上昇し、3週間ぶり高値をつけた。

リビア国営石油会社は声明で、集団が施設に侵入し生産を妨げていると明らかにした。集団が何者かは特定していないが、ロイター通信によると暫定政権のドベイバ首相の退陣を求めているという。

リビアでは2011年にカダフィ長期独裁政権が崩壊後、東西の勢力に分かれて内戦が続いた。20年の停戦合意後も政治の混乱が長引き、東西に「2人の首相」が併存する事態になっている。今年2月に東部を拠点とする代表議会が新首相にバシャガ元内相を指名したが、西部出身のドベイバ氏は続投の構えを崩していない。

国際エネルギー機関(IEA)によるとリビアの産油量は3月に日量110万バレルと世界の1%強を占めた。ウクライナに侵攻した主要産油国ロシアの原油輸出が米欧日の制裁で滞るなか、原油相場に上昇圧力をかける可能性がある。中国での新型コロナウイルス感染拡大で、上昇基調には一服感が出ていた。

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小山堅
日本エネルギー経済研究所 専務理事 首席研究員
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ひとこと解説

原油相場は3月初の130ドル台突破から、様子見の展開が続いてきた。中国・上海のロックダウンや、IEAの備蓄放出もあって100ドルを切る状況も現れたが、G7/EUのロシア産石炭禁輸決定のあたりから、また市場には緊張感が戻っている。

ロシアの石油が禁輸対象になるのでは、との観測が広がり、そこにリビアでの供給支障のニュースが重なった。場合によっては、市場は再び上げ相場となる材料探しに向かう可能性もある。

2022年4月19日 7:49

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志田富雄
日本経済新聞社 編集委員
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ひとこと解説

米国や日本などは石油備蓄を協調放出して供給量を上積みしている間に、米国のシェール企業や中東などの産油国が増産し、ロシア産原油が国際市場から排除される分を穴埋めしてくれることを期待しています。

有力産油国であるリビアの供給減少は、米政府などが考えるシナリオが綱渡りであることを改めて認識させられます。

米国の先物市場ではファンドなどの原油先物の買い越しが昨年10月の直近ピークから3割近くも減少しています。売り残高、買い残高ともに大きく減っています。これが、今後の相場変動にどう影響するかも気になります。

2022年4月19日 7:01 (2022年4月19日 7:07更新)』